ポスト・モダンの帰農 | 新・ユートピア数歩手前からの便り

ポスト・モダンの帰農

昨夜のNHK「クローズアップ現代」は「若者の就職難」の現状についてリポートしていましたが、それを観て色々と考えさせられました。先ず気になったのは、依然として「仕事がない」ということが基本的に「雇用してくれる企業がない」ということを意味している点です。おそらく、「雇用の創出=企業の誘致」という従来の論理では、もはや若者達が直面している閉塞状況を打開できないのではないでしょうか。


その点、番組でも紹介されていましたが、NPOの設立によって介護など地域のニーズに対応する仕事を自分達で見出していくという試みに一つの可能性があるように思います。またヴァイタリティ溢れる若者なら、独立起業(ベンチャー)という道もあるでしょう。しかし、それらが競争社会の構造をそのままにしている限り、「雇用―被雇用」という関係を超えることはできないと思います。その意味において私が期待しているのは、帰農を志す若者達です。


勿論、一口に帰農と言っても、それは容易なことではありません。田舎へ行けば、すぐに農業で食っていけるほど現実が甘くないのは当然であり、「ビジネスとしての農業」には様々な問題が山積しています。従って、若者達が従来通りの「ビジネスとしての農業」に赴くのなら、それは余り意味がないでしょう。私が希望を抱く「帰農」はそうしたものではありません。農文協の「現代農業」的に言えば、「帰農―自給ルネッサンス―なつかしい未来へ」という一連の運動としての「帰農」なのです。これは現在の競争社会の構造を根本的に変革するものであり、その実現には多大な苦難を余儀なくされるでしょう。しかし、少なくとも雇用してくれる企業が現れるのを待っているよりも意味のある試みだと確信しています。