新しき必要性 | 新・ユートピア数歩手前からの便り

新しき必要性

私が愛読している「現代農業」の11月増刊号は「田園・里山ハローワーク:希望のニート・フリーター」というテーマを扱っています。言うまでもなく、このニートやフリーターといった存在は豊かになった時代だからこそ許されるものであり、貧しかった時代には到底あり得ない現象でしょう。しかし、異なる視点からすれば、彼等は現代の豊かさが「人間にとって真の豊かさかどうか」を問うているような気がします。すなわち、現代の豊かさが近代に発する競争原理によってもたらされたものだとすれば、彼等はその価値観そのものに対して本能的な拒否反応を示しているのだと思うのです。確かにそれは甘さによる単なるドロップ・アウトにすぎないのかもしれません。また企業側の論理(正社員の削減)も大きく影響していると思われます。しかし若者をはじめとする少なからぬ人達が新しい価値観・新しい生活の在り方を必要としていることは間違いありません。貧困からの脱却という必要性もさることながら、そうした新しき必要性も無視できないと思う所以です。


さて、冒頭に述べた雑誌を読むと、すでに企業的共同体(会社人間)を超えようとする試みが日本各地で生まれていることがわかります。この点において、新しき村は決定的に遅れています。しかし、もはや村の現状を嘆いても仕方ありません。結局、一から出直しするしかないようです。