3月11日。
豪州ウラン採掘に反対する運動家たちと過ごした2週間の旅の記録と、
その主な輸入先である日本の原子力発電のあり方、
原子力に依存する日本のエネルギー政策のあり方に疑問を唱える私の小さな記事が
載った「週刊金曜日」が発売されたその日に、
一生忘れられないような大惨事が日本で起きてしまいました。
その瞬間から今まで、私の生活はまるで変わってしまいました。
数日は妹を含む友人たちの安否確認で夜も寝られず、
こんな遠くから自分でもできることはないかと、
インターネットにかじりつき、有用な情報を海のこちらから発信する作業に
日々あけくれました。
特に、日本に居住し日本語を話さない友人たちのために、
日本語で発信される情報で役に立ちそうなものを選び、
片っ端から翻訳して自分のFacebookのサイトに投稿し続けました。
何かしていないと、気が狂ってしまいそうで。
地震が起きた直後から、反原発活動を続けている仲間の間では
震源地付近の原発はどうなってる、と心配する声があがっていました。
「福島原発は自動停止した」という首相の記者会見後も
予想されていた以上の状況悪化。。。。
一度目の水蒸気爆発後、状況を判断するための情報が圧倒的に足らず
中途半端に原発の怖さを学び始めていたところの自分は
海外の行き過ぎた報道と不足しすぎの日本の報道の間で
思い切り混乱し(苦笑)、
とにかく、最悪の状況を想定してすぐに妹に東京を離れるように頼みました。
(不必要に怖がらせないように、慎重に言葉を選んだつもりですが。。。)
続く爆発、必死の注水作業にもかかわらずあがらないコンテナ内の水位。。。
次の瞬間に何が起きてもおかしくない、緊張しきった数日が過ぎ、
現場の皆さんの必死の作業で状態はだいぶ落ち着いてきた、、、と希望的に見てます。
放射線の量だけ公開し、核種(放射線の種類)に関しての情報が数日全くでてこなかったこと
(半日かけて必死に探しても無理でした。これがわからないと本当の影響もわからないから
避難含め、対応の仕様が無いから最悪の状況を想像して動く事を進めるしかなかった。
それで「無駄に不安を煽るな」とバッシングも受けました。
風評被害については本当に胸が痛みます。
キャベツ農家の方が、福島で自殺されたそうですね。。。
放射線とは何なのか、内部被曝が何故恐ろしいのか、
どうすれば避けられるのか、福島で今何が起きていて、
どこまでが本当の危険なのか、
私たちの税金で原子力発電産業を守り、核のモノポリー社会を築き上げた挙句に
事故が起きれば事実を隠蔽し、きちんとした情報も公開しない。
このような対応が少しでも違っていえば、国民にもう少し核についての知識があれば
こんな悲しい状況は防げたはずです。
被曝者に対する差別や誤解も沢山聞きます。
被災した方が避難した旅館で、被曝していない証明を見せなければ泊められないと
断られた話、
被曝者に近寄ったら感染被曝するんじゃないかという話が出回っているなど、
聞くに耐えないものばかり。
66年前、広島と長崎に原爆が落とされてから、
日本は何も学ばなかったんでしょうか。
当時のヒバクシャが通らされた苦難が
21世紀になって今でも、繰り返されている。
その根源は悲惨で恐ろしい事実を突きつけられたことではなく、
きちんと正しい情報を得られていないことにあると思います。
これだけの被害を出し、これだけの尊い命を失い、
この先も長期的に向き合っていかなければならない放射能汚染が
実際に起きてしまった。
せめて、同じ過ちを繰り返さず、失われた、損なわれたものを無駄にしないために
私たちに何ができるのか。
今日の午前に行われた参院予算委員会で、菅首相は原発に依存する日本のエネルギー政策を
見直し、再利用可能エネルギーを積極的に活用していくと発言しました。
「原発いらない!」というだけで、それに代わる方法をきちんと提示できていない反原発派も、
「原発いやだけど、他に方法がないじゃん」とメディアの受け売りで思考をストップさせてしまう
世間の多くの人々も、
一緒に、「本当に原発がなくすことは不可能なのか」を、考えないといけないと思う。
私は原子力を全廃するのは可能だと信じてます。
東大のあるチームは風力発電で東電の電力需要を100%まかなえるという報告書を作っているし
九大のある研究所では東大のレポートで唯一課題だった水深を克服する新しい風力発電所の
モデルも作成しています。
神戸大学のある研究所では波動エネルギーの研究も進んでいるし、
あちらこちらで、小さいけれど確かな前進が起きています。
もちろんこれらの殆どは仮定のもので、実際それを作るとなるとまだ色々問題がでてくるでしょう。
でも原子力発電所はお金も技術も本当にかかるものです。それを54機も動かす力が日本にはある。
同じ投資を再利用可能エネルギーにしても無理だと、誰が言い切れるでしょう。
(原発がなくても電気は補える、その説明を活動家の田中優さんがとてもわかりやすくした
動画がありますのでここにリンクを貼っておきます)
ここ、オーストラリアは原子力発電の燃料になるウランの埋蔵量が世界一です。
なのに、原子力発電所はひとつもありません。
ほとんどが火力発電です。環境に悪い事に変わりは無い。
それを、10年で100%再利用可能エネルギーに以降できると、
科学的に立証したチームがいます。
彼らが推奨しているのは大規模は太陽熱発電。太陽光ではなく、太陽熱発電といって、
大きな鏡で一箇所に熱を集中させることで、太陽光よりも長く発電を続けることができる
新しい方法で、実際スペインやアメリカの一部で稼動している発電所もあります。
彼らのレポートを元に今は経済学者、政治家、市民団体が一緒になって
この国のエネルギー政策を変えようと、動き始めています。
そして、WWFは今年はじめに、2050年までに全世界が再利用可能エネルギーに
シフトできると、発表もしています。
そんなのできっこない、から
もう福島原発のような悲惨な事故は絶対に起こさないために
できないかもしれない、でもやってみようじゃないかと
一人でも多くの日本人が、思ってくれたら。
他の国ができて、何で日本のような資金とブレーンと技術がある国ができないか。
菅首相が今朝言ったように、世界をリードして余りある力が日本にはあると私は思う。
体の不自由なお年寄りが沢山居住する原発から20~30km圏内の地区を
強制避難させない政府、
(ガソリンも不足するような地区で、どうやって彼らが自力で脱出できるんですか?)
下請け社員ばかりを(企業名も公表せず)危険な現場に送り、
高濃度の放射性汚水で被曝させた東電
(その場で泣き崩れてしまいました。。。なんてひどいことを。。。)
まともに聞けない話ばかりが耳に入るけれど、
それを絶対に無駄にしてはいけない、そのためには
原発の本当の危険性を知る事から、一人ひとりが始める時期が来ていると
思います。
今すぐすべての原子炉を止めることは無理でも、
今から、なるべく近い将来に全廃炉を目指して動く事はできる。
まずは、
エネルギー計画の見直しを、直接官房長官の枝野さんにお願いする。
そして
再利用可能エネルギーを支持する政治家に投票すること。
更に、これから建設されようとしている原子炉の建設反対の運動を署名で支持する。
(上関原発は実際の建設は中止したものの、環境調査目的のドリリングは続行しており、
これも環境に重大な影響を与えます)
方法は沢山あります。
・・・・・って、原発についてとうとうと書かないと決めていたんだけれど。。。
ここまで書いてしまったので、載せてしまおう。
オーストラリアに全く関係の無いブログになってしまった。