一般世帯が求める子育て支援の条件・要件を考えるー | 最強の子育て共助コミュニティのプロデューサー、AsMama代表アズママの起業と子育て

一般世帯が求める子育て支援の条件・要件を考えるー

【長いですがぜひ読んで下さい。共感して頂けたら拡散お願いします】


先般、某インターネットサイトを介してのシッター利用後に、2歳男児が遺体で発見されるという心痛極まる事件が起きました。その後は、顔見知り同志が安心して気兼ねなく送迎や託児を頼り合う文化や仕組み創りに取り組むAsMamaだからこそ、と、現代の子育て事情やシッター等の支援利用時の注意事項、本事件の再発防止に繋がるコメントが欲しいと、テレビや新聞など述べ10社を超えるメディアから取材を受けています。

そうこうしているうちに、もうほんとに、庶民の実態や子育て支援に関する不安や悩み、それから子ども目線での託児環境なんて、まったく考慮されてないんじゃないかと思うような発言や文案がメディアを通じて流れてくるのを見て…、、「子育てを安心して気兼ねなく頼り合えることで今より可能性と豊かさあふれる社会を創るんだ」と本気で取り組んでいる仲間を束ねて、年間何百、何千人の親子と対面している事業者の代表として、・・・黙っていられなくなって、たまらなくなって、この記事を書くことにしました。

会社として正式に表明もだしました。
http://www.asmama.co.jp/release/r140322.php
25日には、緊急討論会を開き、メディアの方々を招致して、子育て世帯の実態を行政を含め志ある方に届くようにも動きます。
興味のある方、ぜひ連絡ください。
詳細コチラ>https://kosodate-share.asmama.jp/events/232


改めて、ではありますが、AsMamaが取り組む共助の文化と仕組み創りは、頼り合える親子ともに顔見知りのご近所ネットワークを拡げるとともに、リアルな人間関係をオンラインに同期化しておくことで、支援が必要な時に気兼ねなくそのつながりの中から「喜んで支援するよ」という人をみつけられる仕組みです。ご近所づきあいなんてない、という時代だからこそご近所の人が顔を合わせる機会創りを多数の企業とコラボレーションすることで経済的にも自走しています。また、顔見知りに子育てを頼るなんて気を遣うという現代社会だからこそ依頼の方法にはネットを活用しているんです。支援の利用は「ありがとう」の手土産代わりに1時間ワンコイン(500円)を支援を受けた人が支援をしてくれた人に直接わたします。手数料も登録料もかかりません。知り合いにお金を払うこと自体が気を遣う、というのであればクレジットカードを使ってキャッシュレスで利用することも出来ますがこの場合でもカード利用手数料とかかかりません。万一知り合い同志で子育てシェアを使って預かった人に賠償責任が発生するような事故が起きた場合は最高5000万円の保険も適用されます。仕組みの利用自体はゼロ円で保険も自動的について知人・友人同士の助け合いをクレジットカードで出来る、なんていう子育て支援の仕組みは1年前にはありませんでした。なかったから必死になって創ったんです。使い勝手はまだまだですが、本当に必要な仕組みだから創ったんです。必要な時に必要な支援を親子ともに安心して気兼ねなく得られる社会であれば、あんな痛ましい事件は防げます。


核家族化が進み、働き方は多様化し、シングルピアレントも増える中で、従来の施設設置型保育だけでは託児ニーズが全く足りてないことは現役子育て中の世帯なら肌身に感じて知っています。また、公的支援は安価だけれども事前手続きや融通が利かないものが多く、一方、利便性の高い民間支援は一般に高額で一般家庭で日常的に使えるものは少ないです。それゆえ、「公的支援も受けられない、民間支援も使えない、だけどどうしても子どもを預かって欲しい事情や用事がある」という時に、今回の事件ように、切羽詰まってネットで支援者を探してしまうという人が出てきます。

ちなみに、「シッターします」「シッター探しています」なんていうネット上の書込みは、今回の事件に前後して起こった話でも本件に直接関与したシッターマッチングサイトだけのことでもありません。もう10年以上前から掲示板や様々なSNSにあります。また、子育てを助けてくれる人の探し方はインターネットに限ってでもなく、街の掲示板でもそんな張り紙を見たことがある方もいると思います。要するに、ネットが怖いわけではなく、ネットを通じて出会った後に、もっともっとお互いを知るためのプロセスが必要だということです。ネットで出会った今日まで会ったこともなければ住む場所も名前も知らない全くの赤の他人に大事な貴重品を預ける人はいないのと同様、貴重品以上に大切な子どもを預けるには、それなりの信頼関係が重要だということです。


また、今回の事件は本当に痛ましい事件でしたが、この事件が発端となって託児ニーズの不足が露呈したことで、厚労省からはベビーシッター利用時の留意点が発表されました。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000040712.html

これは…きっとベビーシッター会社を利用するということが前提となって作られたんだと思いますが、「シッター利用時には身分証明書を提示してもらうようにしましょう」とか「預かってもらっている間にも電話をしましょう」とか…、信頼できる人に預けることを前提にされていないこと自体が危険ではないでしょうか。信頼できる人なら様子がおかしければ電話やメールで連絡してきてくれるし、黙っていても、携帯を取り出して安全な時に写メの一つも送ってきてくれます。

また、某有識者からは「安いには何かあると思った方が良い」「ベビーシッターの利用に補助金や所得控除をすればいい」などというコメントが出ています。「はぁ????」と思われた方も多数いたと思いますが、私自身も正直驚愕しました。子どもの預け先が安価であればなにかあるんだとしたら、昔ながらにある共助コミュニティは全く否定されることになります。地域への愛着から地元で子育て支援をボランティア的に携わる方も団体も多数ありますがそれも全否定かのように聞こえました。

こうした発表は、年間数千人という一般の子育て世帯とリアルに会い、対話した中から見聞きしてきたことが考慮されているとはどうしても思えません。

いざ預かって欲しい時に身分証をわざわざみせてもらわないといけないような人に子どもを預けられるんでしょうか。1時間3,000円のシッターはいつも子ども同士が仲良く遊んでいる家のママやパパより安心でしょうか。ベビーシッター券がバンバン配られたり所得控除されたりすれば、本当にそれをバンバン使う人が増えて働こう!となるんでしょうか。

今後、行政でも年間1兆円オーバーの予算を投じて保育園をどんどんつくり、就業理由ではない場合でも預けられるようにしようとしています。でも行ったこともない保育園にそんなに気軽に子どもを預けられるものでしょうか。開園時間外の支援ニーズは身分証提示のシッターに預けてその金額が控除される、というわけですか。


違うと思うんですよ、本当に。

普通に考えると、むしろ、致し方ない支援ニーズがある時に、値段さえ安ければ玉石混交なシッターを誰もが利用することを一般化する、ということの方が危険なんじゃないかと思うのです。今後、黙って過ごしていると、とんでもない方向にこれからの子育て支援が整備されてきはしないかと本気で危機感感じています。


勿論、保育園もベビーシッターも必要な社会保障であってサービスです。保育サービスが充実し、経済的負担が減れば、利用は増えます。だけど、それが子どもにとって本当に安全で幸せかは別です。知らない場所で知らない人に預けたときの子どもの不安やストレスは決して小さくありません。

私自身は人に頼るのが凄く苦手で、サラリーマン時代は出来るだけ人に頼らずにお金を払って様々な子育て支援サービスにお世話になりました。経済的余裕があったから利用したということよりもお金で解決できる支援サービスを利用する方が気兼ねしなかった、というのが一番の理由です。勿論、当時はそうしたサービスを使えるぐらいの給与所得があったことも事実ですが。
保育園をはじめ、素晴らしいシッターの方もたくさんいます。が、値段と娘との相性や私の満足度は比例するとは限りませんでした。見知らぬシッターと過ごした日や二重保育で利用した夜間保育から家に帰った後はしばらく緊張状態で、夜もすぐには寝ないこともありました。何度も背中をさすったり、ずっと抱っこで一晩中だいて寝かせたことも一度や二度ではありません。
ところが、急な残業や電車遅延でいよいよ支援サービスを頼むには間に合わないという、どうしようもない時だけは心苦しさを感じながら娘のこともよく知る近所の友人複数にお迎えやお預かりをお願いしていました。わたしとしては後者のほうがよっぽど気を遣うんですが、お迎えに行くと娘は本当に楽しそうにその家の子どもたちと遊んで待っていてました。「帰るよー」と言っても「まだ帰りたくない~」と私の手から逃げ回っていきました。事実どうかはさておき、助けてくれた人たちも楽しそうに娘と一緒に遊んでくれていて、お土産の一つも渡して何度も何度もお礼を言うとすごく嬉しそうでした。

資格があることや大手会社で保育や託児の訓練を受けた人は、知識や経験面で一般の方より安心な面もあります。でも、資格や知識だけでその人が信頼できるものではないです。値段が高いシッターは「高かろう良かろう」で、値段が安い支援は「安かろう悪かろう」ではないんです。また、子ども目線で、だれが、どこが、安全か、安心か、楽しそうか、というのはとても大事な視点だと思います。

「近所同士の素人同志の頼り合いで、何かあったらどうするんだ?」という人もいます。でも、実際には、親子ともに知っているお子さんを預かるといつも以上に安全配慮に気を使うのが一般的です。むしろ、自分の子どもだけを見ているときよりも他のお子さんを預かっている方が安全配慮に気を使い、事故率が下がるのではないかと思うぐらいです。

それでも、万一を考えると、事故時の保険や補償ぐはあるに越したことはありません。ちなみに子育て世帯であれば家族全員が「個人賠償責任保険」には絶対加入しておくべきです。これは何らかの損害保険に月額100円程度の特約でつけられ、日常生活で起こしてしまった不慮の事故に対する賠償責任に対して1億円とか無制限とかの保険が適用されます。無償での預かり合いなら、預かった子どもをケガさせてしまったり預かった子どものものが壊れてしまったり、預けた子どもが預けた先の家で物を壊してしまった場合などにも賠償責任が発生すればこの保険が適用されるはずです。

ただ、有償(これは金銭に限らず、物も含みます)で知人・友人に子育てを頼った場合は、この個人賠償責任保険は適用されない可能性が高いらしいので注意が必要です(保険屋さん曰く)。有償での支援は、日常生活の範囲で起こることではなく、それは対価を伴う「役務」とみなされる可能性があるからだそうです。

わたしがこの個人賠償責任保険をちゃんと知ったのはAsMamaを立ち上げる前後のことでした。起業時に一番不安だったのが「何かあったら、が許される事業ではない」と思っていたから保険をつけようと思ったら、そんな一般人同士が有償で頼り合う活動に適用できる保険なんてない、と。だでもタダなら個人賠償責任保険があるよ、と。でもでも、金銭的にタダなだけじゃなくて物やポイントとかも対価の対象になるかのうせいがあるよ、と。

「なんでやねん!!」と思いました。なんでタダでの頼り合いなら掛け金もほとんどかからない無制限の保険が適用されるのに、ちょっとお礼したら適用外どころか、そんな保険はありませんやねん!と。

それから3年、「子育ては一人で抱え込むより絶対周囲の知人友人と頼り合いながらした方が自分にとっても子どもにとっても良いですよ」「AsMamaはリアルな繋がりを大事にしながら、ネットの利便性を活用することで頼り合える社会づくりに取り組んでいます」と言いながら、「何かあったらどうするんですか?」と聞かれれば、「個人賠償責任保険に双方加入していることなどを確認しながら信頼できる人同士で安全に配慮して頼るか、有償なら相手が事業者として保育関連の保険に加入しているか確認してください」としか言えませんでした。また、当時は保険が適用されるわけでも何でもなかったのでAsMamaが運営するネットを活用してください、とも言えず「リアルとネットの両輪で運営しています…」と言いながら実際にやっていることは、託児利用時の注意事項に関する啓発活動を行いながら地域交流の場を展開してきた、という言っていることとやっていることが自己矛盾しているような状態でした。

その間も保険屋という保険屋を回り続けました。個人賠償責任保険の枠を拡げられないかーとか、AsMamaの会員同士の頼り合いに保険がつけられないかーと。

全く全く全く箸にも棒にも掛からぬ対応を受け続けました。もうほんとに、ココで書けないようなぞんざいな対応も受けました。が、あきらめられませんでした。

一方で顔見知り同士の頼り合いであってもより安心安全な環境を作れないかと自社内で託児に関する注意事項を保育士や有識者から学ぶ機会創りをはじめました。保育士ほどの専門知識はなくとも、ファミリーサポートの提供会員や家庭的保育者が学ぶ程度かそれ以上のことを学ぶ機会を創り、その研修を受けた人が積極的に友達の輪を地域で拡げ、おせっかいおばちゃんのごとく周囲の力になれればいいな、と。その研修を受けた人が「ママサポーター」と言われる人たちで、2011年からの取り組みです。

ママサポーターを志願する人たちの多くは、実は元保育士や幼稚園の先生です。「24時間365日休みのない子育ての大変さと、頼り処がない孤独感を知り、互いに子育てを頼り合える社会になってほしいと本気で思った」という原体験を持ってAsMamaのママサポーターとなり、1時間600円か700円で子育てシェアを通じて支援しています。(ママサポーターは通常の500円より+100円、有資格者はさらに+100円なので、一番高い支援者である「有資格者のママサポーター」でも700円です。)

そして、保険屋行脚の末、去年の4月、ようやくようやくようやくようやく、AsMamaの取り組みである、顔見知り同士が頼り合うというオンラインの仕組みに、利用者すべての支援活動に保険をつけることが出来たんです。

これまで、「高かろう良かろうでもない、保育園だけが頼り処でもない、近所に親子ともに信頼できる人が3人いれば子育てはもっと楽でもっと楽しいから、頑張ってそこだけ親として創ろう!!」と言っておきながらその保険の部分がなかったんですが、できたんです。

この仕組み自体は、超優秀な開発者や、志高いコンサルタントの人たちが知恵を結集して、もっと価値や使い方が伝わるように、もっと見るからに安心できる仕様になるように、と日進月歩進化させています。

子育てシェアを知った人たちはみんな言います。
「こんな仕組みが欲しかった」と。
支援依頼者として利用した人はみんな言います。
「気兼ねなく安心して頼れる人をみつけらて本当に助かる」と。
支援者として利用した人はみんな言います。
「喜んでもらえて、私が役に立てて、よかった!」と。

今回の事件によって、一般庶民が必要とする子育て支援の期待とはかけ離れた規制ができたり、子育てを「頼る」ということ自体に後進しないことを切に願います。そんなことになれば一層誰にも頼れず子育てを抱え込む親が増え、地域コミュニティの希薄化や少子化、育児鬱や女性の離職等につながりかねません。「子どもにとって幸せで楽しい環境だからこそ、大人は周囲と共生しながら子育てをする」、そんな社会づくりにみんなで取り組んでいけますように。