日本人選手が国際大会でMVPその4 | 欧州サッカークラブとの仕事を語るブログ

日本人選手が国際大会でMVPその4

3位決定戦は予選グループでも対戦したフランスのランス。
すでに6試合(15分 x 6本)もこなしていた選手たちはかなり
疲れが見えていました。(そりゃ、8歳ですから。)


さらに準決勝での敗戦のショックで動きが固い。
とはいうものの地力には差があり、1-0での勝利。
これでバルサチームは3位が決定しました。


決勝は、フェイエノールド対スタンダールリエージュ。
スタンダールリエージュも好チームでしたが、フェイエの
あの体格、パワー、スピードは反則です。笑


結局、フェイエノールドが優勝、準優勝にスタンダール
リエージュ、3位ばFCバルセロナ、4位がランスとなりました。


この大会の表彰式は、順位トーナメントに参加したチーム
を全チーム表彰するというものでした。


16位からチームごとに読み上げられ、前にでていってカップ
をもらっていくのですが、途中で、バルサコーチのオスカル氏
が、「タケフサが、MVPらしいよ。主催者が教えてくれた。
タケには言うなよ。」と耳打ちしてくれました。


得点王があれば、得点王にはなってるかなとは思ってましたが
まさか、MVPとは。。


そして、表彰の瞬間。
まだ8歳ですが、ヨーロッパの名門チームが多数参加する
国際大会でMVPをとるというのは、そう簡単にとれるもので
はないです。


$欧州サッカークラブとの仕事を語るブログ-MVP
ゴールデンブーツ。

$欧州サッカークラブとの仕事を語るブログ-trofeo


僕が今大会の久保君を見ててとりわけ評価できるのが、
日本人チームで参加した選手が大会のMVPをとったわけでは
なく、1人の日本人が、バルサの選手として参加した大会
でMVPをとったということです。


バルサの選手たちは、常にコーチから母国語で指導を受け、
どのようなプレーをしたらいいか、バルサのサッカーとはどのよう
なサッカーかなど、常にインプットされてきている選手たちです。


そんな中久保君は、はじめてバルサの選手としてプレーしました。
コーチの指示はわからない、チームメイトとのコミュニケーションも
片言でしかとれない。さらに食事も違えば、生活習慣も違う
環境に身をおきながら、MVPという結果を残したことが素晴らしい
と思います。


欧州では、12歳までにその選手がプロとしてやっていけるかどうか
がわかると言われています。久保君には12歳までに欧州のスカウ
トの目にとまるレベルに達することができるようになってもらいたい
ですし、それに向けてのフォローができればと思います。


ここでは具体的には記載しませんが、この子は伸びるなと思った
エピソードが多々あります。それはサッカーに取り組む姿勢であり、
この年齢で自分自身を客観視できていること、メンタルの強さなどです。


今回、ベルギーに同行したことで、僕の中でもいろいろなことが
見えました。


僕がサッカー業界の仕事に携わりはじめたのは、2003年7月です。
それから7年近くがたとうとしていますが、これまで自分は何のために
この仕事をしているんだろうとか、なんかの役にたってるんだろうかと
か、考えることがありました。

自分はサッカー選手としては、全然成功した選手ではありませんでした。

小学校時代、中学校時代、自分に何が足りなくて、何が評価され
ているかも全くわかりませんでしたし、 何をすればサッカーが
うまくなるのかももちろんわかりませんでした。 今思えば、当然です。
コーチでさえ何がいいサッカーなのか、どういう風に教えたらいいかわ
かってなかったのですから。


僕は、小中学生時代、こういう風に誰かに導いてほしかった、こういう
世界を見せてほしかったという、今だから感じる想いというのが自分には
あります。


そして今、自分は誰かを導けることができるかもしれない立場にいます。
かつて自分が体験したような思いをする選手が一人でも少なくなればと
思いますし、可能性のある選手には、その可能性がどんどん大きく
なるような手助けをできればと思っています。


今回の経験で、自分のやってきたこと、考えていること、意味がある
ことなんだと認識できました。本当にこの仕事をやっててよかったと
思いました。


私見ですが、僕は日本のサッカーが世界に通用するためには、
指導者も選手もどんどん海外にでて、世界のサッカーを肌で
感じ、いろんなサッカーを日本に還元することが必要だと思って
います。


サッカーというのは、料理の世界に似ていると思います。
例えば、本物のフレンチのシェフになろうと思えば、やはりフランスで学び、
本物のフランス料理をとにかく食し、勉強しないと無理だと思います。


僕は、本場のフランス料理を食べたことのないシェフが作るフランス
料理を食べたいとは思いません。


サッカーでも同じことがいえると思います。日本だけでサッカーを
完結させてしまい、それでよしとしている世界はおかしいと思いませんか?


サッカーの本場は欧州です。
本場のものを学ばずして、本場に近づくことはできないと思います。


「日本で学べることもある」とおっしゃる方が結構いますが、
間違ったことを教えられ続けたら、時間の無駄どころか、マイナスです。


実は日本サッカーの指導方法がおかしいということは、指導者よりも
子供たちのお父さん、お母さん達が気付きはじめています。


僕はサッカー界のこの現状をなんとかしたいと思っています。
ただ、何かを変えるには、自分の考え方が正しいことを証明する必要
があります。近い将来、バルサキャンプから巣立った選手が欧州の
ビッグクラブでレギュラーをはる選手になってくれればいいなあと思いつつ
今回のレポートを終了します。