今日2本目の「Akahaる」ですが、今度は文化欄からです。といっても、内容は軍事の話。とても興味深く読みました。
例の震災支援に入った米軍の〝トモダチ作戦〟は、機動力を生かした強力な支援活動であったと同時に、米軍の立場からは、ある種絶好の〝軍事演習〟の機会でもあったという内容です。
戦後最大といわれる今回の大震災。文字通り緊急で総力を上げた救援活動が求められていました。自衛隊であれ、米軍であれ、ありとあらゆる資源を投入すべきだと思います。そのために米軍の支援力を活用することは当然であり、それをとやかく言うことはできないと考えます。
しかし、と同時に、米軍という外国軍隊の本質もまた、冷静に見つめておかなければならないということです。その点でこの石川巌氏のリポートは、一般マスコミではほとんど提出されない〝視点〟を含んでおり、たいへん興味深く、貴重なものであると思います。

※津田大介さんと言えば、ツイッターをする人なら誰でもご存知ですよね。
ニュースの現場でツイッター実況することを意味する「Tsudaる」の〝発明者〟であり、ツイッター界の寵児です。
今日の記事は、「赤旗」のウェブ版にはアップされるのか、されないのか。
そこで、記事をワタクシ得意の2本指打法でそのまま書き写し、勝手連的アナログ大公開。
題して「Akahaる」のコーナー、という次第!



『しんぶん赤旗』(9/13) ----------------------------------------------------------------------

石川巌 「検証 トモダチ作戦」
東日本大震災の救援活動 米519司令部の実戦災害版だった

〝トモダチ作戦〟の名で有名になった東日本大震災の米軍の被災地・被災者救援活動は、実は米太平洋軍(ハワイ)の〝太平洋有事519作戦〟だった。米軍が本当の名を口にしたがらなかったので、この実態に肉薄したマスコミは皆無に近かった。

■ 嘉手納の部隊 投入に不審も
以上の趣旨のことを私は月刊『軍事研究』(9月号)に書いた。なぜ私がこの真相に気づいたかというと、〝トモダチ作戦〟が始まって間もないことし3月下旬、友人のベテラン防衛記者が「ほんとは〝太平洋有事519〟という作戦らしいよ」と雑談でもらしたのを聞いたこと。
もう一つ、「あれッ、あの連中がやったのか」。津波で水没した仙台空港の機能を復旧したのが、昔から取材してきた沖縄・嘉手納基地駐屯の悪名高い第353特殊作戦航空群(夜間の隠密作戦が多いので〝コウモリネコ軍団〟の異名を持つ)だと知って、「おかしいぞ」と不審を抱いたからだった。
さっそく懸命に調べて、〝519〟について次のことがわかった。
「米太平洋軍のもとに1999年に創設された常設で4軍統合の第519司令部がやる作戦。地域の突然の有事や災害に備える狙いで有事版と災害版がある。司令官に太平洋艦隊司令官(海軍大将)、副司令官に地域の空軍戦力の空軍中将をあてる。地上部隊の主力は在沖米海兵隊とする。司令部要員は兼務者が多く約400人」等々である。
今回は地震・津波後すぐに東京・横田の在日米軍司令部内に〝災害救援統合司令部〟(JSF)の名でスタートした。これが〝太平洋有事519司令部〟だった。当初、指揮官は在日米軍と第5空軍司令官を兼ねるフィールド空軍中将だったが、決まり通りハワイから太平洋艦隊司令官のウォルシュ海軍大将が第519司令部要員90人と共に乗り込み、3月24日から指揮をとった。
〝トモダチ作戦〟の命名者は読売新聞5月2日付によると、ハワイの太平洋軍司令部の北東アジア課職員(54)だという。

■ 空母転進させ 総力つぎこむ
米韓演習に向かう途中だった空母レーガンを三陸沖に転進させたのをはじめ、米軍は総力をつぎこんだ。太平洋有事519の〝災害版の実戦〟だったからだ。戦争版と違うのは爆弾を落としたり、鉄砲を撃ったりしなかっただけだ、といえる。
嘉手納の〝コウモリネコ〟軍団は演習に行っていた韓国から地震・津波当日の3月11日には横田へ飛んできた。数日を偵察飛行にかけ、16日に特殊作戦機MC-130コンバットタロン、同コンバットシャドーの部隊が仙台空港の離着陸を可能にした。
かれらの任務は紛争地での民間空港の奪取と、特殊部隊の投入。それを実際にやってみせたわけだ。この数年、薩摩半島や屋久島空港などで猛訓練をやっていた。
在沖海兵隊は演習先だった東南アジアから日本へ急行し、4月1日に気仙沼・大島救援のための揚陸作戦を実施した。「見せ場がほしい」との要望だったという。
8月20日、横田基地の航空祭に空自浜松基地のAWACS(エーワックス、空中警戒管制機)の巨体もあった。「連日飛んで日米機の空の交通整理をしていた」と乗員は話していた。
防衛省は救援活動が感謝された余勢をかって、責任者の君塚栄治陸将を陸幕長に大抜てきしたり、馬毛島のNLP基地化など軍事力強化に拍車をかけてきている。 (いきかわ・がん 軍事リポーター、元朝日新聞編集委員)


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