【法科学な本のお話。】

★通常シリアル・キラーに関するヒップだったりクールだったりする情報をお届けしている、コチラの悪趣味ブログ『悪趣味ズム』。
今回は視点をグルリと変えて法科学についての本のおハナシです。
殺人事件を解決に導く思いもよらない手掛かり、そして解明方法。
昨今法科学をテーマに、ドラマチックな展開を映像化した作品も増えましたので、興味をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

法科学っつーか法医学っつーか、そのアタリでワタシが思い出すのは『ツイン・ピークス』で、被害者のツメを剥がすとアルファベットが書かれた紙片が出て来るシーン。
ミシミシッ、ミシミシミシッ・・・・・パキッてアレ。
自分のツメを見ては、ムリに剥がしたりしたら、いったいどんなコトになっちゃうんだろうと考えてしまいます。

イタいんだろうなあ苦しいんだろうなあ、ああヤだようとアブラ汗を流すも、考えるコトをやめらんない。
ツメをクククと引っ張っては、ダメダメこんなんやったらシャレになんないとアブラ汗、間を開けてマタ挑んでみたりする。
こういうのってよくありますヨネ、エ、ねえヨって。
そですか、あんまりない無いあるあるネタでしたか、スンマセン。

ヒュー・ミラー 『 16の殺人ファイル 』
( Hugh Miller “ PROCLAIMED IN BLOOD — True Crimes Solved By Forensic Scientists ” )

わたしが読んだのは新潮社からの文庫版で、1996年の初版。
原書はイギリスから、1995年に出版されています。
まずハード・カバーやソフト・カバーを出して、数年後に文庫化するっていうお定まりのパターンではなく、直接の邦訳/文庫化。
コレは売れると見込んだ新潮社さんの英断が、版権の即決買い取り、リーズナブルな価格帯での発売へとつながったみたいですネ。

作者のヒュー・ミラーさんはノンフィクション/犯罪小説作家で、“法医学の造詣が深く、TVシリーズの制作スタッフにも名を連ね”ているそうですが、学者を兼ねての作家ではないみたい。
その代わりに本書には、法医学を専攻していた横浜市立大学名誉教授/横浜市総合保健医療センター長である西丸與一さんによる、解説が付記されています。


★本書は16件の殺人事件を取材し、その殺害方法や犯人解明へ寄与した法科学を中心テーマに据えた、ノンフィクション作品です。
こういう本には珍しく、イギリス人作家のテによるモノなので、アメリカとヨーロッパの事件が半々に取り上げられています。
ただし法科学についての解説がメインというコトもあり、人物名や地名が一部書き換えられている、との注釈がありました。

16の事件は、ほとんどが連続でも大量でもない単純な事件ですし、人名や名称が省かれている。
また犯人像も、特別に焦点を当てて描写しているワケでもない。
こうなると、本書を読んで興味を持ったからといって、コレらを後追いで調べたりしるのは残念ながらムツカしい。

結果、具体的な資料としてはお使いいただけないと判断し、今回は事件名や犯人の氏名などはコチラでご紹介いたしません。
新たな猟奇事件や猟奇的人物を知りたくて知りたくて毎日ナニもテにつかないヨいったいどしたらイイんだヨかくなる上は自分で、ってお考えの皆さんは、今すぐランニングでも始めてみてください。
その他の楽しみにしてくださってた方には、深々陳謝いたします。

本書に収録されてる作品は全て20~30頁の間に収まっています。
しかもカンタン且つ明瞭、スピード感と流れのある文章。
スリリングな展開があり、更にアッとオドロく結末への導き方もウマく、構成がしっかりと寝られている印象です。
サスガは映像作品の原案に関わったりしてる、ベストセラー作家だなあと、感心しきりです。

ノンフィクションを読むならこういうの、ってあらゆる方にオススメ出来る、お手本みたいな書籍でした。
タダまあイッコだけ言わせてもらえば、万人受けするってコトは、マニアや通人には受けないという側面もありましてネ。
まったくないコトもないんですが、ゾクゾクするような猟奇は期待できませんので、マニアにはモノ足りない本かも知れません。

その代わり、その代わりですヨ、巻頭に掲載されてる事件関連写真/図版はケッコウなクオリティでした。
ナニしろカバー裏のアラスジ文にも、ちゃあんと“写真多数収録”って、書いてあるくらいですし。
喫茶店でコレを読んでいるワタシの手元を覗いた友人が“・・アンタ、なんつう本読んでんの・・”って絶句したくらいですからネ。

新潮社さんはおカタい出版社のワリに、マニアの気持ちをわかってくださってるんだなあとホッコリ、ニッコリしました。
写真ソノモノもそうですが、そんな出版社さんの優しい配慮も含めると、ちょっとしたボーナスとなり得るコトは保証いたします。
文庫だからモノクロなのがオシいけど、カラーだとソレを持ってる自分に罪悪感を感じたりもするし、やっぱちょうど良いのかもネ。

この本はいろんな写真が見てみたいナって夜な夜な、特定のキーワードを打ち込んで検索したりしている方に、ゼヒ実際にテに取って読んでいただきたい書籍です。
また法科学ってナンぞやという初心者にも、ちょうど良い入門書で、具体的な知識ともなりますヨ。
ワタシも、とっても勉強になったナって思います。

ナンの勉強だヨってそりゃアナタ社会問題に真正面から見据えてですネ、コレからの日本の展望を計る上での重要な資料にですネ。
あっ、質問しといてアナタ様、背中を向けないでください。
オロカな人間の言い分も、聞くだけ聞いてやってくださあい。