■ 節分は「厄祓~い!」~2つの文言
節分。豆を撒き、鬼を退散させます。
もとは、豆は撒くよりも、紙に包んで門前や道端に置きました。
勢いよく、高台から、裃(かみしも)をつけて、掛け声とともに一握り豆を投げるのは、有名寺院のイベント。
少しの「銭」と豆を、紙に包み置きました。籠を背負った、「厄祓い」人がそれを回収する。これが、昔の節分の光景だったようです。
その厄祓いで街を歩かれる方々の文言は・・・・・・。
「おん厄払いましょ!、厄落とし!!」これは江戸風。
上方では、「♪あ~らめでたや、めでたやな、めでたいことで祓うなら。鶴は千年、亀は万年、浦島太郎は三千歳、東方朔(とうぼうさく)は九千歳(くせんざい)、三浦の大介(おおすけ)百六つ。かかるめでたき折からに、如何なる悪魔が来ようとも、この厄払いが引っ掴み、西の海へさら~り、厄(や~く)払いまひょ」
「長寿づくし」の文言です。
「引っ掴み、西の海にさら~り」あたりで、手振りと声のトーンが上がれば、それらしく、祓われた感が高まりそうです。
そして、もう一つの呪文のような・・・・幸運を招きそうな文言。大伴家持の記録上、最後の和歌です。
数日前、首都圏では雪が降りました。古来、年の変わり目の雪は、「瑞兆」、良い事が起る前触れとされています。
♪新しき 年の初めの 初春の 今日降る雪のいや重け吉事
(あらたしき としのはじめの はつはるの きょうふるゆきの いやしけ よごと)
意味は、「年初の今日、雪が降りつもるように、良き事が重なれ!」です。
この和歌は、前述の通り、大伴家持にとって最後であり、また万葉集掲載の和歌4516番目の最後でもあります。
万葉集の編者である、大伴家持は、自作の和歌を最後にもってきています。「いや重(し)け吉事(よごと)」の気概、いえ宣言は、大切な心意気です。現状が良い方は、それが続くように、良くない方は、改善してみせるぞとの気持ち。
その当時、どのような節回しで読み上げたのでしょうか。
相当な迫力のある声、節回し、あるいは静かに朗々と謳いあげても、「厄祓い」の効果がありそうな気がします。
神社の神主さんがあげる祝詞(のりと)でも、修験者などの呪文でもありませんが、当時、街を歩いた「厄祓い」の文言、大伴家持の最後の和歌、2つ紹介しておきます。節分でなくても声に出して見て下さい。「魔除け」「厄除け」「厄祓い」に!