向精神薬が海の生態系を変えるかもしれない | 医薬翻訳のアスカコーポレーション 社長ブログ

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大阪北浜、東京田町にオフィスを持つ医薬・バイオ分野の語学サービス会社 アスカコーポレーション社長 石岡映子のブログ。

サイエンス誌2月15日号に、薬剤が生態系に及ぼす影響について意外な研究論文が発表された。人に処方される向精神薬の一種が下水を通じて川に流れ出して自然界の魚に蓄積すると、用心深さを失うなどの異常を引き起こす可能性があるというスウェーデンからの報告だ。


医薬品が排せつ後に水に流され、下水処理場で処理された後、最終的に世界中の水路に行きつくことで、生態系に思いもよらない影響を徐々に引き起こす可能性があるという。抗不安作用を持つ薬剤オキサゼパムに曝された魚は早食いで大胆になり、また、非社会的行動をとることを発見したという。この精神病薬は、ヒトの不安治療に使用されている。ほんの少量でもこれらの魚の挙動と採食速度に変化を与える可能性が示された。具体的には、薬剤に曝された魚は単独でいるにもかかわらず、安全な隠れ家を出てあえて新たな危険が潜む場所に行こうとしたり、オキサゼパムに曝されていない魚よりも素早く貪欲に餌を食べていた。この奇行は、時間と共に水中の生物種の構成を変え、藻類開花の増加など、さまざまな生態の変化を引き起こすかもしれないと研究者らは言う。

薬剤が自然界に与える影響についての研究であるが、病んでいるのは人間ばかりでないはずだ。

自然界の動植物も「生きにくい」と思っているかもしれない。
人間の開発した薬剤が、動植物の見えないストレスを軽減させているとしたら興味深い。
原文は、http://www.sciencemag.org/content/339/6121/814.abstract