会社分割の乱用-続き | 早起き税理士・会計士の「本業ブログ」 by 船戸明会計事務所

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こんにちは。
大阪南船場の早起き税理士・公認会計士(船戸明)
の「本業ブログ」にようこそ。


 昨日、公認会計士協会近畿会主催で「最近の事業再生の実務と公認会計士の役割」という研修会があったので参加してきました。


 講師は、事業再生に詳しい公認会計士の溝端浩人さん。少し前のロプロ案件や、現在進行中の武富士案件にも関与されている方です。


 その中で、昨日書きました会社分割の乱用について、民事再生の中でのトピックスとして次のようなコメントがありました。


 東京地裁では、会社分割に対する警戒感が強まっており、民事再生手続き中の会社が、会社分割をする場合、当裁判所の許可が必要、という文言が主文に入るようになっている、とのこと。会社分割手続きを再生の手続外でするのは難しいということのようです。


 講義終了後、挙手して溝端さんに質問をしました。


一、大阪ではどのような扱いか
一、債権者保護の不備を巡る会社法改正の動きについて、ご見解を教えて下さい。


 前者の質問は、最近東京案件が多いので、ということでしたが、注意しておく必要があることは間違いないでしょう。


 後者については、最近弁護士の間でも、会社分割の乱用、会社法における債権者保護規定の不備についてはかなり話題に上がっており、次回会社法改正で何らかの手当がされることになるだろう、とのご見解でした。


 どうも会社分割の乱用によって債権者が害される事態を防ぐため、債権者保護手続きを見直す、という路線は既定路線のようですね。会社法改正の動きには注目していきたいと考えています。



 あと、印象的だったのは、仮に資金繰りが立ち行かなくなっている会社さんがあった場合、再生手続きに向けて、単に知り合いの弁護士さんを紹介するのではなく、分割や再生に詳しい弁護士さんを紹介してあげて下さい、という話。


 溝端さんによれば、平成20年頃からか、弁護士さんの数も増え、なかなか仕事がない方も増えてきた。そうすると経験のない方も企業再生や民事再生などの法的手続きに関与するようになってきた。そこで、営業所の切り離しで再建できたはずなのに破産している会社、事業自体の価値が下がっているのに民事再生を選んだ会社など、会社の状況と手続きが見合っていないケースも増えてきたそうです。


 そうなると、結局不幸なのは会社であり、そこで働いている従業員です。再生できるはずもないのに再生という茨の道を歩まないといけない、という事態にもなりかねません。

 私の数少ない経験で言うと、「とりあえず民事再生」という表現には注意が必要だと感じています。民事再生は「とりあえず」で出来る手続きではなく、再生するんだという強い意思と、従業員の協力がなければなしえない手続きで、破産で万歳してしまうより余程ハードな手続きです。


 誰かのメンツとかそんなことではなく、全ては会社や従業員が幸せな最後を送れるように、手続きを選択し、適切な方と協力して仕事を進める必要があるのではないでしょうか。



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