掴みたきひとはけの雲更衣     酒井恍山

更衣は平安時代の宮中から伝わる儀式だ
天皇の着替えの役目の女官の職名を更衣(こうい)といい、
当時は中国の風習に倣って4月1日と10月1日に行われた
現代の衣替えは6月1日
街に出ると、以前に比べてネクタイなし上着なしのクールビズの人が随分増えた
私の中学、高校の頃には暑くても寒くても一斉に6月1日に実施されたが、
今の学校は緩やかに冬服から夏服に衣替えをしているようだ
夏服に着がえたときの軽やかさ、
日焼けしていない腕を太陽にさらすときの面映さが
「掴みたきひとはけの雲」なのだ
一刷毛の白い雲と白いシャツ、、、清清しい夏の情景が浮ぶ    蓼