ブログラジオ ♯73 Can’t Help Falling in Love | 浅倉卓弥オフィシャルブログ「それさえもおそらくは平穏な日々」Powered by Ameba

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エルヴィス・プレスリーの歌唱で
あまりにも有名な、
名曲『好きにならずにいられない』である。

もっとも、本企画がアメリカに至るのは、
まだまだずっと先のことなので、


今回のご紹介は、前回の予告通り
UB40なるバンドである。


ブリティッシュ・レゲエの雄とまで
いってしまってかまわないかと思われる。

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よく名前を挙げる、プリテンダーズの
クリッシー・ハインドとの共演で、


85年にI Got You Babeが、
88年にBreakfast in Bedが
それぞれ大ヒットとしている。


結成はもっと昔なのだけれど、
僕の耳に名前が届いてきたのは、
大体この辺りの時期だったと思う。


スカ、レゲエ、カリプソといった、
カリブ海界隈起源の音楽が、


遠く離れたイギリスで、
注目を集めるといったレヴェルを通り越し、
一つのスタイルとして定着していく。


その功績の一画を確実に担っていたのが、
このUB40だったことは
おそらく疑問の余地がない。

80年代英国に登場した、
最も重要なバンドの一つではある。


ただ彼らの場合も、僕自身は
当時からさほどはまった訳でもないので、


恐縮ながらやっぱり、キャリアをざっと
俯瞰している程度の把握である。

まあでも、この人たちの音楽も、
前回のマッドネスと同様、
本当に芯のところで
微塵もぶれていないように思える。



93年のReggae Musicなんて曲は、
バンド自身の、この音楽への、
いってみれば尽きない愛が、


上手く歌に昇華されていて、
なかなかにいい曲だとも思っている。


しかし、前回も少し触れたけれど、
改めてこのUB40の、
とりわけ本国における


シングル・チャートでの実績には
相当ものすごいものがある。


こおUB40、フロント・マンの名を
アリ・キャンベルといい、

前掲のI Got You Babeや
Breakfast in Bedなんかのビデオで、


クリッシー・ハインドと二人、
どこかちょっとシット・コムのような、
まあ口さがなくいってしまえば、
演技ともいえないような演技をしながら、


終止楽しそうに歌っているのが
個人的にはすごく
印象に残っているのだけれど、

このアリの脱退までの30年間で、
リリースしたシングルの総数、
実に50枚にも上るのである。


そしてそのうちの、ほぼ半数に迫る
24曲をトップ20に、


そこからさらに16曲を
トップ10にまで押し込んでいる。

しかも、それが
間歇的にとでもいえばいいのか、


何年か間を空けてはまた、
それこそ思い出したように


びっくりするような
大ヒットが出ているところが、
実にすごいなあ、と思うのである。

こういう息長く人気を
保ち続けているバンドというのは、


ほかにはなかなか
見つからないような気もする。


何よりもまず、
そんな記録が達成されるためには

そもそもバンド自体が
存続し続けていなければならない。


なのにこのバンド、メンバーのうち4人が、
2011年に揃って、破産宣告を
受けていたりもするから不思議である。



さて確かにこの、
Can’t Help Falling in Love

二拍目にアクセントを置く
レゲエのリズムに
気持ちいいくらいによくはまる。


聴いていてすごく耳に馴染んでくる
トラックであることは間違いがない。



ただ、好きな方には
少なからず申し訳ない気もするのだが、

僕自身は、実は彼らの作品を
さほど好んで聴いてはいない。


前述のように
本当に安定した実力の
持ち主だとは思うのである。


だから、むしろスタイルが
ぶれていないからこそ、
言葉を選ばずいってしまうと、

レゲエの同じリズムばっかりが続くと、
なんだかすぐ飽きてしまうのである。


しかも、そもそもサウンドそのものが
いわばまったりといているから、


執筆のBGMには
正直あまり向かなかったりもする。

要は、緊張が弛緩してしまうのである。

だからたぶん、やっぱり南の島辺りで、
何も考えず日光浴などしながら、
流しているのが相応しい音楽なのだと思います。



ちなみにこのUB40という変わったバンド名
イギリスの、失業保険か何かを

申請する際の書類の
形式番号なのだそうです。


この辺がやっぱり、英国人特有の
アイロニーだよなあ、という気もします。



さて、では今回もトリビア代わりの、
バンドに起きたその後の諸々。

このUB40も、よくよく調べてみると、
現在は実は前々回のザ・ビートと
ひどく似たようなことになっている。


オリジナルのラインナップが二分され
ずっと活動を続けているUB40に対し、


ヴォーカルのアリ・キャンベルを
中心とした三人が、
UB40リユニオンドなるバンド名を
名乗って活動することを始めている。

しかも、すったもんだの末に、
裁判所からもこのネーミングを、
どうやら認められてしまって
いるようなのである。


アリがバンドを去ったのは、
ついこの間の08年のことだそう。


30年も同じメンバーで続けてやって、
これだけすごいことを
成し遂げているんだから、

また一緒になってしまえばいいのにと、
外野としては思わないでもないですが。


まあこればかりは、当人たちにしか
わからないような種類の理由も
少なくなくあるのでしょうけれど。



でもやっぱり、
もうちょっとなんとかしましょうよ。

ここでリユニオンって言葉を
使ってしまったら、


本当にリユナイトする時に、
どうにも表現できなくなって
しまうではありませんか。


だけどある意味ではこのネーミング、
アリ・キャンベルの側からの

そういった固い決意の
表れなのかもしれないなあ、とは
多少思わなくないですけれど。


ちなみに一時期、少し前に取り上げた
マキシ・プリースト(♯64)が


このアリの代わりに、
本家とでもいえばいいのかな、

とにかくオリジナルの方のバンドの
フロントに入るなんて噂も、
まことしやかに
囁かれていたりもしたらしいです。


こちらはどうやら、噂だけだったようですが。