【開催報告】『ライト、ついてますか―問題発見の人間学』 D.C.ゴース、G.M.ワインバーグ | 名古屋で朝活!! 朝活@NGO

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ライト、ついてますか―問題発見の人間学
ライト、ついてますか―問題発見の人間学

5月25日(月)の朝食読書会は「ライト、ついてますか―問題発見の人間学」(D.C.ゴース、G.M.ワインバーグ)が課題でした。

日本語訳が1987年に出版されて以来、今でも広く読み継がれ、特にSE、プログラマ系の仕事をされている方にとっては名著として知られています。ワインバーグ自身も作家、コンサルタントになる以前には、IBMにプログラマ、開発者として勤めていました。

日本語訳が読みづらいという意見もありましたが、ボリューム自体が少な目な割には「気づき」が多い一冊。これは研修や読書会向きだと思います。



【管理人の読書メモ】
P.7 問題を抱えているのは誰か?
そして、それが自分だという人ごとに
あなたの問題の本質は何ですか?
とたずねてみるがよい。

P.17 問題とは、望まれた事柄と認識された事柄の間の相違である
ということを学んだ。(中略)
 とすれば、問題は欲求を変えること、または認識を変えることによって解決できるわけである。たとえば認識を変えることによって解決できるわけである。たとえば認識は、待ち時間をほんとうに短縮することによって変えることも、それを短く見せかけることによって変えることも可能である。

P.53 われわれは決して問題を追い払うことはできないのだ。問題と、解答と、そして新しい問題は、終りのない連鎖を織り出している。期待できるのはせいぜい、「解いた」問題がよりやっかいさの少ない問題で置き換えられることである。

P.62 だが(視点の新鮮さという点で)もっとも有益な経験は、外国からの旅行者を連れて、自分の国を歩くことである。

P.70 われわれは、可能な場合にはいつでも、問題をまず自分たちにとって最大の快適さをもたらすような意味的レベルに置いてみるものだ。

P.130 実際それらは問題を見ないでも「解けた」のである!
(中略)典型的な選択肢は次のようなものだった。
(a) 31938
(b) 31929
(c) 31928
(d) 32928
(e) 31828

P.155 たとえば問題解決者は、問題が解けたために失業するかも知れない。軍縮はその例である。

P.158 われわれが死の原因を一つずつ取り除いていったとすれば、人が老人の人口が増えるという「副作用」に驚くのはなぜだろうか?

P.160 問題解決に目を奪われるあまり、人は自らが解答を道徳的に容認できるかどうか考えるのを忘れる。一人にとっての罪悪は、別の一人にとっては美徳であるかも知れないのだ。

副題に「問題発見の人間学」とありますが、課題解決の前に「問題」自体が適切かどうか、そしてその「問題」に向かう姿勢を問うことの重要性に気付ける本です。いくつかのエピソードをもとに、「問題解決」以前の「問題発見」についてのヒントを語っています。

簡単な文章と軽妙な語り口ではありますが、内容はかなり哲学的な領域に踏み込んでいる印象。

訳者の切口上(前書き)にも、

「学校では問題を解くことを教わる。だが問題は、解くより発見する方がずっとむずかしく、ずっと面白い。実人生で本当にものをいうのはそこなのだ」

とあるように、そもそもの問いを立てることに真摯に向き合った内容です。また様々な理由から、本質的には解決される問題はないのでは、ということにも気づかされます。

長く読まれる理由は、読者に考える余地がかなり残されているからではないでしょうか。

警句が多く散りばめられていますが、ちょっと解釈に迷うものも多く、それが翻訳のせいかどうかはよく分かりません。逆にあまりにも単純に思えるけれども、よく考えると深く響くものもあります。

・問題とは、望まれた事柄と認識された事柄の間の相違である

・結論に飛びついてはいけないが、自分の第一印象は無視するな

・新しい視点は必ず新しい不適合を作り出す

・問題の出所はもっともしばしばわれわれ自身の中にある


ディスカッションしてみると、本書の面白みはさらに増すと思います。読書会や研修資料に最適です。理系の方に読まれることが多いかも知れませんが、文系の方にもオススメです。



6月の朝食読書会は

【名駅】
6月1日(月)『エッセンシャル思考』(グレッグ・マキューン)
http://ameblo.jp/asakatsu-ngo/entry-12021712632.html

【藤が丘】
6月14日(日)『データの見えざる手』(矢野和男)
http://ameblo.jp/asakatsu-ngo/entry-12028208364.html

【伏見】
6月15日(月)『美しい日本の私』(川端康成・角川ソフィア文庫)
http://ameblo.jp/asakatsu-ngo/entry-12027062462.html

【栄】6月22日(月)『松浦弥太郎の仕事術』(松浦弥太郎)
⇒ 後日募集開始


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