篠山紀信と言う人 | 荒井修のブログ

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ある雑誌の企画で篠山紀信の撮影現場に立ち会った。

とてもソフトな雰囲気での撮影であったが、一枚づつのスタッフへの指示は的確で、凄いと思った。

撮影現場は中村座であり、あの小屋の良さがはっきりと見えた。

その後七之助の舞台でのスナップ写真をいろいろ見せていただいたが、今、七之助が凄いということを一枚一枚にあらためて感じさせてくれた。

私は篠山紀信という人と話をした事がなかったので、いろいろ聞いてみたくなり、歌舞伎についてもいろんな話を聞きたくなり、「この瞬間を撮るにあたっては事前に舞台を見て狙っているんですか?」と聞くと、「いや、歌舞伎の事もよく判っていないし、次にどんな場面かも知らない事が多いよ」と言うのである。

自分でポーズを作らせるわけでもなく、芝居の流れの中で切り取った一瞬が、これほど凄みとなって、ましてや所見で写せるということは美に対する反射神経の鋭さなのだろう。

一枚撮るごとに見せてくれているのだからモータードライブのように連写してるわけでもなく、確実な一枚なのだから、そんなにシャッターを押しているのではないのに凄い。こんな様子を見て旅先での写真を何枚も撮る我々は、ずいぶん無駄にシャッターを切っているものだと思う。

事のついでに私まで撮ってくれたのでそのうち私の手元に来る事だろうと思うが、いかに篠山紀信といえどモデルが私では料理の使用がないであろうと思うが、これも私にとって貴重な経験だと思い撮っていただいた。

カメラマンと言う仕事は私がかつて若い頃憧れた仕事で、今でも写真を撮る事は好きだがこの道を目指さず、店を継いで良かったと思わせてもらった一夜である。