博士取得者のキャリアパス 日米比較 | あるらのアメリカ大学院留学記

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博士号取得者のキャリアパス 日米比較 <New>

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トラックバックしていただいたBlogからの情報で

とてつもなく面白い情報を読むことができました。

科学技術人材の活動実態に関する日米比較分析
 -博士号取得者のキャリアパスー 
科学技術政策研究所  (株)日本総研 
2005年3月


これは私の体験や周りの話を総合して「こうじゃないかな」と

思っていたことが実際に調査結果として数字で出ているので

今後じっくり読んで議論していこうと思います。

以下数値データーはすべて上記のレポートを参照しています。


(1)博士の企業就職は厳しい?!

米国と日本の博士取得者の就職先

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アメリカに比べると日本では企業に就職する博士の割合は少ないんですね。

調査結果から、

アメリカの企業は設計製造部門には修士を、研究開発部門には博士を採用するけれど

日本企業はどちらにも修士を採用する傾向があると書かれています。


ここで短絡的に

「アメリカ企業は博士を採用している。

だから日本企業も博士を採用するべきだ」

というのはちょっと無理がありますよね。(そんなことは誰もいってませんけど)

現実問題として今までそれぞれ異なった採用モデルで

世の中は機能してきているわけですから、

まず、この採用モデルの違いはどこからくるのかと考えたいと思います。


単純に

(1)日米で企業の研究・ビジネスモデルが違うから

(2)日米で修士・博士の中身が違うから

の両方面からの原因が考えられます。


まず(1)について、

レポートの中でアメリカでは研究開発型ベンチャーに博士人材が流れるという記述があります。

これは日米のビジネスモデルの違いからくる採用モデルの違いを指摘しており、確かに一理ありますが、果たしてそれがどのくらいの雇用人数の差を生み出しているのか、微妙な気がします。


(2)にについて、

アメリカでは博士人材の研究能力に定評があるけれど、日本では評価が低いとあります。

確かにアメリカの大学院教育は全体として高い評価を受けているといえるでしょう。

では日本の博士教育のレベルがそんなに低いのか?というと、

日本の大学の研究水準への評価はそれほど低くもないわけで

単純に博士課程の教育が企業研究向きではないという要因の方が強いのではないかと思います。


むしろ私が個人的に注目したいのは、以前にも書きましたが

「日米の修士教育の違い」

からくる雇用モデルの違いです。


例えば私の学部の場合に3種類の修士があります。

(1)授業単位だけでとれる修士

(2)授業単位+研究プロジェクトの修士

(3)授業単位+修士論文でとる修士


日本の場合、学部4年生で研究室に所属し、そのまま同じ大学の院に進学する割合が高いので、

修士卒でも3年間は研究しているわけです。

一方アメリカの場合、学部と院で大学を替えるのが普通なので、

研究を本格的に始めるのは普通大学院からになります。

すると、研究をある程度やっている(3)の修士の割合はあまり高くないと思われます。


上記で過程しているような修士課程の差が事実ならば、

企業の雇用モデルにかなり違いが生じても、

そんなにおかしくはないのではないでしょうか?


以後もっと考えていきたいと思います。