私は、初めて自分の意志でお酒を飲んだのは、確か16歳の夏の時、

高校を中退したんだけど、その歳の夏に基礎工事(きそこうじ)と言う、まぁ、土木関係の仕事についたんですよ。

そこで、初めての職場でもあり、色々とハードな仕事や、暑さや、社会の大変さを目の当たりにしたのです。

あんときは本当に真夏だったから今でも覚えてるけど、真っ黒になるまで日焼けして、あぁ、仕事って本当に大変だなって思いながらやってました。

そんな仕事も終えて、親方と他の職人が帰りの車でお酒を『グビグビ』

んまい!

いや~たまらないね~!

と楽しそうに飲んでた。

俺は、何だこのおっさん達は、酒臭いし、汗臭いし、しかもあの液体の何がどう美味いんだろとか思いました。

そんなある日、

親方から、
『おい!お前もどうだ?仕事終わりのビールは美味いぞー』
と買って来てくれたお酒を手渡される。

んで、なぜか断れない私は、そのビールを『グビグビ』

いかせてもらいました。

…。

『まずっ…』

てか苦いしなんか臭いしちょっと吐(は)き気をもよおしました。

…。
あー、のど越しが最高ですねー。
と、心に無いことを適当に言ったんですがね(笑)


だが、それから数秒後、

頭がポヮーン

なんだこの気持ち?
唇が痺(しび)れると言うか、なんか顔が麻痺(マヒ)してると言うか、なんとも言えないこの気持ち、

しばらくすると、足がすくんで来て、今までの疲れてだるかった体が元気になっていくでわないですか。

これがお酒って言う物なのかとその時は小さく感じた。

美味い?

うーん、まずいけど…
気持ちい。


難しい感覚だった。
なんとも言えない。
だが、仕事終わりのビールには、それからはまっちゃいましたね。