御法(みのり)に守られし、醍醐寺 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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本年度よりリニューアルオープンした渋谷区立松濤美術館。
そのリニューアル記念特別展の第2弾として、 “御法(みのり)に守られし、醍醐寺”</font> が始まりました。
こちらは、醍醐寺が誇る約20万点にも及ぶ寺宝の中から、
国宝11件重要文化財11件を含む選りすぐりの44件を紹介する展覧会です。
ちなみに、東京で醍醐寺に伝わる名宝がまとまった形で紹介されるのは、実に13年ぶりとのこと。
「そうだ 京都、行こう。」 の前に、 「そうだ 渋谷区立松濤美術館、行こう。」 です。
星


展覧会の目玉は何と言っても、国宝 《過去現在絵因果経》 でしょう。
この日本最古 (おそらく世界最古) の絵巻を、なんと15m36cm全場面いっきに公開しています。
釈迦が出家してしまい王宮が悲嘆にくれる場面から、
悟りを開いた釈迦が魔王を撃退する場面まで、ノーカットで展示されているのです。
ただし、全巻展示期間は、10月7日~13日、10月28日~11月3日、11月18日~24日となっています。
ご注意のほどを。

《過去現在絵因果経》 で描かれている内容自体は、とてもスペクタクルなストーリーなのですが。
それが、8世紀の日本の絵師の実力の限界なのでしょうか。

過去現在絵因果経


絵は、だいぶ脱力系です (笑)
ちなみに、上で紹介している場面は、
「魔王が軍衆を率い妨害するも、太子 (=釈迦) は慈悲力で防ぐ。」 というシーン。
魔王の軍衆のくせに、弱そうにもほどがあります。
そして、慈悲力って何でしょう??
あんな風に、スーパーサイヤ人みたいに全身から放たれるものなのでしょうか。


《過去現在絵因果経》 が展示の目玉であることは、疑いようもないですが。
醍醐寺様 (=男性的な顔立ちの仏画) として随一と名高い重要文化財の 《大日金輪像 胎蔵界》 や、

胎蔵界
(注:展示は11/5~)


「醍醐の花見」 でもお馴染み (?) の 《豊臣秀吉像》 をはじめ、

豊臣秀吉像


見どころは、他にもたくさんあります。
個人的には、国宝の 《閻魔天像》 と再会できて嬉しい限り。

閻魔天像


以前、観た時も思いましたが、全然、閻魔様っぽくありません。
本当に、閻魔様?
ウソをついていたら、地獄行きですよ。


それと、土佐行広による 《満済像》 も、ある意味で印象に残った一枚です。満済像


ビックリするくらいに、顔の印象が残りませんでした。
というより、顔がほとんど無かったです。
いわゆる薄い顔というヤツですね。 (←違う!)
身に着けているものの柄は、あんなにもハッキリと残っているというのに。




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