泉屋博古館 分館で開催中の “木島櫻谷 ―京都日本画の俊英―” に行ってきました。
こちらは、明治時代から昭和にかけて京都で活躍した木島櫻谷 (1877~1933) の25年ぶりの回顧展です。
今でこそ、あまり名の知られていない木島櫻谷 (このしまおうこく) ですが。
当時は、毎年のように大きな展覧会で入賞する超実力派で、
京都画壇で竹内栖鳳と人気を二分するほどの人気画家だったのだとか。
ちなみに、こちらの 《剣の舞》 は、櫻谷が24歳の時の作品↓
明治34年(1901) 櫻谷文庫蔵
人物の描写、甲冑の描写、桜の描写。
どれをとっても完璧です。
文句の付けようがありません。
あえて無理やり文句をつけるなら、若手らしさがないことくらいなものです (笑)
24歳にして、すでにベテランの域に達している気がします。
今回の美術展では、そんな木島櫻谷の代表作の数々が紹介されていますが。
その中でも特に必見なのが、 《寒月》 という一枚です。
あまりの素晴らしさゆえ、久しぶりに絵を観た瞬間に、電撃が走りました!
まず間違いなく、現時点で今年に見た作品の中でNo.1です (今年が始まって、まだ半月ですがw)
大正元年(1912) 京都市美術館蔵 (注:展示は、1月11日~19日、2月11日~16日です)
この作品を見た第一印象は、 「なんという映像美!」 でした。絵画作品なのに。
絵の前に立つと、4Kテレビで雪景色を見ているかのような臨場感を覚えます。
また、絵の前に立ったなら、画面の右から左へとスクロールするように観賞するのがオススメ!
くっきりとしたモノクロームの世界から、次第にぼんやりとした世界へ。
その流れが、まるで映像が切り替わるエフェクトのようで、
月に照らされる雪景色に一匹のキツネが現れ、そして回想シーンへ・・・と、
映画の1シーンを見ているような感覚を味わえるのです。
この 《寒月》 に出会えただけでも、泉屋博古館 分館に足を運んだ甲斐がありましたが。
下の 《柳桜図》 をはじめとする木島櫻谷の金屏風作品だけで埋め尽くした第1展示室にも感動しました。
大正6年(1917)泉屋博古館分館蔵
展示ケース全てがゴールドで埋め尽くされ、なんともゴージャスで贅沢な空間となっています。
ただ、いかに金ピカしていようとも、櫻谷の金屏風作品には、
どれも凛とした品格が漂っているので、悪趣味という印象は全く受けません。
いくらでも、このゴールデンな空間に浸ってられる気がしました。
ちなみに、木島櫻谷は動物画を得意としていたそうで、
今回の美術展でも、様々な動物画が紹介されていました。
個人的に一番印象に残っているのが、 《獅子》 。
大正~昭和時代 櫻谷文庫蔵
クリント・イーストウッドとかトミー・リー・ジョーズとか、
ハリウッドのベテラン俳優のような貫禄が漂うライオンの姿です。
この 《獅子》 の顔も、その傾向にあるのですが。
《厩》 という作品に描かれていた馬の顔をはじめ、
イノシシや鹿など、櫻谷が描く動物の顔は、どれも皆一様に顔が面長なのです。
なぜ??
櫻谷本人の肖像写真を見て、答えがわかりました。
木島櫻谷も面長。
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