開館10周年記念 庭をめぐれば | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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美術を、もっともっと身近なものに。もっともっと楽しいものに。もっともっと笑えるものに。

行った方全員から、

「あそこは、いい美術館でしたよ♪」

と薦められるのが、静岡県のクレマチスの丘にあるヴァンジ彫刻庭園美術館です。
実は、昨日ご紹介したベルナール・ビュフェ美術館も、クレマチスの丘にある美術館の一つ。

北には、富士山。
南には、駿河湾。
そして、広大な敷地には、色とりどりの花々。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-花 アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-花


“こんなにも素晴らしいロケーションに恵まれた美術館は、他にないのでは?”

と思うくらいに、最高のロケーションです。
そんなクレマチスの丘で中心に位置するのが、ヴァンジ彫刻庭園美術館。
こちらは、イタリアを代表する現代具象彫刻家ジュリアーノ・ヴァンジの世界で唯一の個人美術館です。

・・・・・・・・・。

う~ん、イタリアを代表する現代具象彫刻家と言われましても。。。
正直、今まで数多くの美術館・美術展を観てきましたが、
ジュリアーノ・ヴァンジなる彫刻家の作品を、一度も観た記憶がありません。
もし仮に、観ていたとしても、名前が記憶に残っていません。

こんなにも素晴らしいロケーションなのですから、
もっと他に、ヴァンジよりも知名度がある作家の美術館を、ここに作るべきだったのでは?
その方が、絶対お客さんは入るはず!

そんな余計な心配をしつつ、ヴァンジ彫刻庭園美術館へ。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ヴァンジ庭園美術館


はい。完全に余計な心配でした (笑)

はじめて、ヴァンジの彫刻作品を目にしましたが、
ユニークな作品が多くて、すぐさまファンになりました。

《壁をよじ登る男》 がいたり、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-壁をよじ登る男


ちなみに、裏側は、こんな感じw

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-壁をよじ登る男


ガラスに顔をくっつける男がいたり、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ガラス  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ガラス密着


御影石の模様をワンピースに見立てた女性像があったり、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-花柄の服の女


階段とセットになった巨大な体験型彫刻があったり。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-天の階段  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-天の階段


今までに見たことがない独特なセンスの彫刻作品の数々。
1点1点見ただけでは、そこまで魅力的でないヴァンジの作品ですが、
まとめて目にすることで、ボディブローのようにジワジワと、その世界観にやられます。
そういう意味では、ヴァンジの個人美術館というのは、とても貴重な存在。
わざわざクレマチスの丘に作ったのも、納得です。

約50点ほど常設展示されているヴァンジ彫刻は、どれもユニークでしたが。
ひと際インパクトが大きかったのが、こちらの 《チューブの中の女》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-チューブの中の女  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-チューブの中の女


完全にスッポリ入ってますwww

この彫刻を観て、
『ごっつえぇ感じ』 のコント “とみよしさん” を連想してしまったのは、僕だけでないはず (笑)
とりあえず、この女性には、チューブの中から出てきてもらわないといけません。


と、ロケーション、ヴァンジの彫刻の数々だけでも、
十分に素晴らしいヴァンジ彫刻庭園美術館ですが。
現在、こちらでは、開館10周年を記念して、
“開館10周年記念 庭をめぐれば” という美術展が開催中!

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-庭をめぐれば


「庭」 をキーワードに、草間彌生や、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-草間彌生


奈良美智をはじめ、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-奈良美智


19組の現代アーティストとヴァンジ彫刻庭園美術館がコラボレーションした美術展。

『ロケーション×ヴァンジの彫刻×現代アート=無敵』

星星星
文句なしの3ツ星です。


19組の現代アーティストの中で印象的だった作品を、いくつかご紹介いたしましょう。
まずは、須田悦弘さんの 《てっせん》
タイトルの “てっせん” とは、クレマチスのこと。
まさに、クレマチスの丘に、ぴったりな新作です。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-てっせん  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-てっせん


相変わらず、本物の植物そっくりな木彫り彫刻を作ってしまう須田悦弘さん。
このクオリティは、さすがです。
ちなみに、須田さんの作品は、もう一点。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-雑草


《雑草》 という作品なのですが、
どこにあるかおわかりになりましたか??
正解は、こちら↓

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-雑草


これまた、相変わらず、須田さんらしい控え目な作品です。
僕の前を歩いていた人は、完全に、この作品をスルーしていました (笑)


続いて、タイトルと、見た目が印象的な竹川宣彰さんの 《構える渡り鳥日誌》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-構える渡り鳥日誌


鳥がいっぱいで、何ともにぎやかな作品。
ただし、何がしたいのかは、不明 (笑)
おそらく、 『構』 という漢字のつくりの部分を表しているのだとは、思いますが。


庭で一番のインパクトを放っていたのは、やはり草間彌生さんの 《明日に咲く花》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-草間彌生


花ではないです。
もはや花の化け物ですw
ウルトラマンに出てくる怪獣と言われたら、信じてしまうことでしょう。


最後は、こんな作品。
さとうりささんの 《こはち古墳(1:17)》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-こはち古墳(1:17)


「ん?どんな作品??」

と思って、キャプションを見てみると、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-こはち古墳(1:17)


へぇ~、体験型の作品なんだ!
抱きつくことが出来るんだ♪

早速、抱きついてみようと思ったところ。。。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-こはち古墳(1:17)


ぎゃ~!毛虫!!

抱きつけるか、バカ (泣)




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