靉嘔 ふたたび虹のかなたに | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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美術を、もっともっと身近なものに。もっともっと楽しいものに。もっともっと笑えるものに。

“田中敦子―アート・オブ・コネクティング” で、
カラフルな世界を堪能した後は、 “靉嘔 ふたたび虹のかなたに” へ。
こちらも、東京都現代美術館で開催中の美術展です。


靉嘔。

字面だけ見ると、一瞬、パソコンが文字化けしてしまったようにも思えますが。
文字化けではなく、靉嘔 (あいおう) というのは、
1931年茨城生まれの日本を代表するアーティストの名前です。
このヘンテコな名前は、彼が仲間たちに、

「あ・い・う・え・おの中で、好きなのはどれ?」

と尋ねたところ (←どんな質問だw)

「あ」「い」「お」 の3文字が人気上位だったことに由来するのだとか。


さて、そんな靉嘔さん。
その名前にピンと来なくても、その作品は一度は見たことがあるのではないでしょうか。

例えば、アダムとイヴをレインボーカラーで描いた 《アダムとイヴ》 や、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-アダムとイヴ


ディナーセットをレインボーカラーに彩色した 《レインボー・ディナー・テーブル》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-レインボー・ディナー・テーブル


果ては、エッフェル塔に300mの長さのレインボーの帯を取り付けた 《300m レインボー・エッフェル塔・プロジェクト》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-300m レインボー・エッフェル塔・プロジェクト


・・・などなど、とにかくレインボー尽くしの芸術家。
靉嘔と言えば、レインボー。
レインボーと言えば、靉嘔。


そんな靉嘔さんの初期の作品から、
(まだレインボーになっていない!)

《若い仲間たち》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-若い仲間たち


最新作まで。
(7色から192色へバージョンアップ!)

《マイ・いっくに・フレンズ》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-マイ・いっくに・フレンズ


とにかく膨大な数の作品で埋め尽くされた大々的な靉嘔展です。
作品が多く、しかも、それらの作品の大半がレインボーカラーなので、確実に目が疲れますw
是非、体調は万全にして臨まれてくださいませ!
ボリューム満点で、満足度は十分すぎるほど。
星星


右を見ても、レインボー。
左を見ても、レインボー。
会場の大半が、そのような感じだったので、
特に、どの作品が印象的だった、というのは無いのですが。
(1点1点というよりも、全体を通して、感動が生まれるタイプ)

アンリ・ルソー好きとしては、
アンリ・ルソーの作品を題材にしたシリーズは、別格で印象に残りました。

《ルソーの眠れるジプシー女》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ルソーの眠れるジプシー女


また、アンリ・ルソー以外にも、
ゴーギャンの作品や、鈴木春信や葛飾北斎の春画の靉嘔風が展示されていました。
他にも、こんなものの靉嘔風も↓

《四季の花(一部)》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-四季の花


花札をレインボーにした屏風作品。
この花札は、普通に欲しい!!
なぜ、ミュージアムグッズを作らなかったのか?!


さて、今回の靉嘔展には、
観るだけでなく、体感できる作品もいくつかありました。

その一つが、やたらと長いタイトルの
《レインボー・エンヴァイラメントNo.7 レインボー・タクティル・ルーム+レインボー・エイムズ・ボックス》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-レインボー・エンヴァイラメントNo.7


イナバ物置くらいはあろうかと箱の中に入ると、
やっぱりというか何と言うか靉嘔さんらしいレインボーな世界が広がっていました。
ただ、この作品、レインボーなだけではありません。
四角の一つ一つの中心に指一本入れられる穴が開いています。
そこに、指を突っ込んでみると、それぞれ違う触感が体験出来るというもの。
まぁ、ざっくり言ってしまえば、
巨大なアート版 “箱の中身はなんでしょね” と言ったところです。
ザリガニとかいないので、安心して指を突っ込んでくださいませw


他にも、暗闇の中を手すりだけを頼りに歩き周る 《ブラック・ホール》 なる体験型インスタレーションがあったり。
「お米を食べさせてください」 という謎の体験が出来る 《万才ピース》 という作品があったり。
極めつけは、自分が靉嘔作品の一部になれる写真撮影コーナーがあったり。
とっても恥ずかしかったのですが、
アートテラーとして体を張って、羞恥に耐えて、写真撮影してきました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-とに~


恥ずかしさで、顔は蒼くなるやら赤くなるやら。
まさに、虹色。




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