横浜美術館で、昨日より開催が始まりました “ドガ展” 。
一足先に、その内覧会にお邪魔させて頂きました。
フランス印象派の画家エドガー・ドガ。
印象派関連の美術展でその作品を見かける機会が多いだけに、
ドガの回顧展と聞いても、そこまで目新しい気はしなかったのですが…。
意外にも、日本でドガの回顧展が行われるのは、21年ぶり (!) とのこと。
実は、今回の “ドガ展” は、かなり貴重な美術展なのです。
今回の見どころは何と言っても、
オルセー美術館より、ドガの作品が45点も来日している点。
これだけまとまってドガの作品が来日するのは、おそらく最初で最後の機会とのことです。
もちろん、来日しているのは、ドガの一級品ばかり。
美術の本でお馴染みの 《浴盤 (湯浴みする女) 》 も展示されています。
実は、これもかなり貴重なこと。
というのも、こちらは油彩画ではなく、パステル画。
油彩画よりも繊細なパステル画は、
国内移動ですら、ほとんど行われないほど。
ましてや国外などいわんや、です。
またオルセー美術館以外からも、ドガの代表作が続々集結。
ボストン美術館からは、 《美術館訪問》 が。
ポー美術館からは、 《綿花取引所の人々 (ニューオリンズ) 》 が。
まさにドガの回顧展の決定版!
これを越えるドガ展は、
国内は元より、海外でも実現出来ないのではないでしょうか。
“横浜美術館の奇跡” と言えましょう (←?)
有名どころの作品から、そうでもない作品まで、
約120点にも及ぶドガ作品が展示されていたわけですが。
今回は、いつにも増して、紹介したい作品が多いです。
(それだけオモシロ作品が多かったということ)
紙面の許す限り、紹介してまいりましょう。
まずは、「踊り子の画家」 と呼ばれたドガらしく、
バレリーナを描いた作品から、ご紹介いたします。
《緑の部屋の踊り子たち》
バレリーナの絵はバレリーナの絵ですが。
描かれているのは、舞台裏でのバレリーナ。
華麗さや優美さとは対局的な感じです。
あぁ~、コントラバスに足をかけちゃってるよ。。。
あぁ~、大股開いちゃっているよ。。。
こんなバレリーナの姿は観たくなかったとです。
もう一枚、バレリーナの観たくない姿を描いた一枚を。
ドガの代表作の一つ 《バレエの授業》
画面の一番左。黄色い帯を巻いた女の子に注目です。
恥じらいも無く、背中をポリポリ掻いています (笑)
というか、それ以外の子も、
振付師のおじいちゃんのレッスンを、真面目に受ける気がないような雰囲気。
さらに、しばらく観ていると、
一人ポツンとして見える小さいおじいちゃんが、段々と、池乃めだかのように見えてきました (笑)
振付師「おのれら、ちゃんとレッスン聞かんか。
わしが、この棒を取りだすとどうなるかわかっとんのかい。」
バレリーナ「どうなんねん?」
振付師「身長が一緒や」
(一同こける)
というやり取りが行われていそうです。
お次は、大喜利のお題で使えそうな一枚 《腕を組んだバレエの踊り子》
Q.絵画で一言。
(解答例)
・「私のヤクルト飲んだでしょ?」
・「・・・・・・・・・で、オチは?」
皆様の答えもお待ちしております。
絵画作品よりも個人的に好きだったのが、
展示の最後にあるドガの彫刻のコーナー。
何がしたいのかわからないですが、何とも絶妙なポージング。
妙な存在感を放っていました。
さてさて、ラストに紹介しますのは、
やはり今回のドガ展の一番の目玉 《エトワール》
ドガの最高傑作の呼び声が高い一枚です。
しかも、初来日作品。
ここまでいろんな作品を紹介して来ましたが、
正直言って、この 《エトワール》 に比べたら・・・・・・。
そう感じてしまうほど、抜群に素晴らしかったです。
これほどまでに、一目観ただけで、
「あ、これは傑作だ」
と、直感出来る作品は、そうありません。
久しぶりに、超一級品に出会いました。
パステルで描かれているという物理的な理由もあるのでしょうが、
バレリーナを照らすスポットライトの眩しさを、感じることが出来ました。
そして、制止してるはずの絵画なのに、
バレリーナのしなやかな動きをも感じることが出来ました。
よく絵の感想で、
“まるで絵の中に入っているかのような” という表現がありますが、今回はまさにそれ。
気付けば、絵の中に。バレリーナを上から観ていました。
高所恐怖症気味な僕は、ぶるっと来てしまったほど (実話)
さぁ、 《エトワール》 を観に、早速、横浜美術館に行きましょう!
そうそう。
まずは、靴下を履きましてね。
( 《靴下を履く踊り子》 より)