絵描き男の料理徒然草⑤・「蕗の薹」
春を誘うほろ苦さ

【秩父はさほど降らないよ】と移転した翌年・一昨年が大雪。
裏地も積雪1m超えとなった(苦笑)。
雪掻きして思い出すのは、新潟の豪雪地帯津南町に行っていた昔のことだ。
入った蕎麦屋で、蕗の薹の天婦羅が付いていて感激。
味はもちろん色合いと香りに春の予感があって、
残りの午後からの雪掻きもがんばれる希望が湧いた。
秩父の雪原から【こんにちは】とばかり顔を出した蕗の薹に、
雪国の思い出が重なり合う。
さて独特の苦みには、肝臓や胃腸の働きを良くし、
むくみを軽減する効果成分が含まれるそうで、
季節感だけでなく、人に良い事ずくめの旬の山菜なのだ。
スケッチを繰り返す内に、彼らが育つ環境に思いを馳せる。
真っ暗で硬い冷え切った土から滋養を吸い取り成長する彼らも、
やがて出る時を知る。春に向かう出番を待っているわけだ。
上で小さく青いオオイヌノフグリが咲き始める頃、
土中の春への控室では、ノビルやツクシやタラノメ、菜の花たちが
次は自分かと準備をしている、
その先駆けにステージ(外)に上がるのが蕗の薹
・・そんな部屋や光景があったら面白いなあ、
想像の世界に筆を滑らせ心も和む。
【良薬は口に苦し】【苦労で人は丸くなる】
苦さの中にジンワリ甘味と香りが。
寒い秩父に居て春を待つ日々に、共感できる美味しさなんですよねえ。
作品は【春への控室ふきのとう】ki
e
do
レシピ「蕗の薹とホタテのドリア」
 ◎用意するもの(4人分)=蕗の薹5個、
  ホタテ(貝柱かベビーホタテ)10個
  玉ねぎ1個、マッシュルーム3個、ご飯
  小麦粉、牛乳、バター、ブイヨン、粉チーズ
  
 ①ドリアソースを作る
 ②ドリアライスを作る 
 ③蕗の薹4個を塩茹でし水切り
 ④ホタテと②の蕗の薹をバターソテー
 ⑤グラタン皿に盛り付け
 ⑥180℃のオーブンで分焼く
 ⑦受け皿に出して、熱々をどうぞ

イラストに入れる手書き文字
 ①ドリアソース(簡易)
  A弱火の厚鍋に溶かしバター、小麦粉 だまにならないように
  B少しずつ牛乳で伸ばして、火力調整 木べら
  Cブイヨンで味調整
 ②ドリアライス
  みじん切り(蕗の薹、玉ねぎ)、マッシュはスライス
  ごはんと共にフライパン強火で炒める。塩コショー、ブイヨン
 ③さっと茹でる
 ④両面を軽くソテーし、少量の日本酒を振る
 ⑤皿の底にバターを塗り、ソースの三分の一と絡めたライスを盛る
  半分に切った蕗の薹2個ずつ、ホタテ2個を盛り付け
  具が少し見えるように、残りソースをかけ、粉チーズ
 ⑥温度設定は機種によるのでご確認ください。
 ⑦敷き紙、好みでタバスコ