風土の味住めば都



今では【秩父生まれよりも秩父を宣伝しているよ】と微笑ましく言われる私だが、
移転当時は太麺のラーメンが好きで、細麺が多く味も濃い目の秩父のラーメンには中々馴染めなかった。
ところが10年以上寒暖厳しい日々を送るうちに、
【こうでなきゃ】くらいに細麺大好き人間に変貌(汗)。
そういえば以前、銀座の画廊のオーナーから、こんな話を聞いていた・・
【フランスに数年住んでいた頃、喫茶店で普通に珈琲を頼むと、真っ黒で濃く苦いのが出てきた。
最初は薄めて飲んだが、暮らしていく内に、その味が一番合うようになった。食文化って言うでしょ、
その土地・風土だからそういう味になったんだよね。】
沖縄知念で個展開催の時、地元の居酒屋【ゆんたく】で定番ゴーヤちゃんぷるを頼もうとすると、
メニューに聞きなれない料理が・・おばちゃん、この【ソーメンチャンプルー】って何?と聞くと、
疲れた時これ食べると良いんだよとの答えで激うま。細麺好きになっていた自分にもピッタリ(笑)。
さて秩父土産でお渡しするものの一つに、杓子菜(しゃくしな)漬がある。
雪白体菜(せっぱくたいさい)が正式名称で、耐暑・耐寒性が強い野菜で秩父向き、
昔は白菜の代わりとして栽培していたようだ。葉の根元の一辺が杓子(おたま状)に似ているので定着した名前。
漬物でもシャキシャキした食感が嬉しく、酸味も私は大好き。
美味しさの実感も、住めば都なんですね。
漬物が島ラッキョウしかない沖縄の人に、杓子菜が喜ばれました。



レシピ「杓子菜そうめんチャンプルー」
◎用意するもの(4人分)=杓子菜漬物(小)1袋、
素麺4束、豚小間肉300g、玉ねぎ1個、人参1本、
ピーマン2個、エノキダケ1袋
ゴマ油、鳥ガラスープ200cc、片栗粉、
オリーブオイル、ラー油 など

①素麺を茹でて、水洗い、ザルに移す。
②フライパンにごま油を敷き、杓子菜を炒める。
③野菜類を切る。
④鳥ガラスープ(中華出汁)を作る
⑤中華鍋に豚肉、野菜、エノキの順に炒めて
⑥そうめんを混ぜ、④に溶いた片栗粉を入れる
⑦杓子菜(※②)を上に散らす。

イラストに入れる手書き文字
①硬めに茹でる。水切り
②食べやすい大きさに杓子菜を切る。
③玉ねぎ(スライス)、人参とピーマン(細切り)エノキは ばらす。
④小さい鍋で。できるだけ添加物無しのもので
⑤中華鍋にオリーブオイル、肉は強火。野菜は中火
⑥片栗粉は少しずつ混ぜてとろみ具合を見る。
⑦好みでラー油をかける。



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庶民の味方幸せの味



一個の卵の値段は昔と変わらないと聞く。
若き両親が苦労して幼い自分と兄を育ててくれた昭和、
給料日の夜だけは食堂に連出し【何でも食べて良いぞ】と父。
私の注文は決まって大好物のオムライス。
フワフワ玉子と甘めのチキンライスのコラボに舌鼓。
満面の笑みで一気に平らげた。
すると不思議な事にニコニコと僕らを見ているだけで
注文もしない父母。あれえ、おなか空かないのかなあ?
でも今はその心境わかる気がする。
【お前たち美味しそうに食べるなあ(笑)
よし、明日からがんばるぞ】と、
おなかより心がきっと満たされていたのだろう、
毎月の生活費の支払いに追われ、大変な一か月が待っていても。
玉子は、貧しいながらも家族の幸せの味として記憶に残っている。
さて今は大量生産となって、着色料・添加物入り餌による流通
がある中で、秩父のレストラン・サルベージ(宮側町)の
経営者兼シェフの坪内浩さんは、健康な鶏を育て、
昔同様の美味しいプラチナ玉子を生産している。
しかも地元の他業種生産者から得た具材を
売買でなく物々交換で仕入れ循環するという
地域を活かす取り組み。豆腐屋から(おから・絞り汁)、
農家から(米ぬか)、魚屋(アラ)、飲食店(揚げ油)
これらを混合して発酵させ、出来立ての新鮮な餌を作る。
鶏がそれを毎日食べることで胃腸快調で元気な卵を産んでくれ、
各仕入れ先に供給できるという一石二鳥(鶏?)。
貧富の差なく明け暮れるお日様は、黄身の色合いに似ている。
絵の題名は【つぶれぬ黄身幸せ労い】



レシピ「筍飯デ・オムライス」
◎用意するもの(4人分)=筍1個、
鶏卵8個、白米3合、白味噌、パプリカ1個、
木の芽、鰹出汁、水、片栗粉、オリーブオイルなど

①炊飯器で筍ごはんを作る
②溶き卵を作る
③フライパンに溶き卵、さい箸でかき混ぜ
④中央から筍ごはんを横並びに盛る
⑤木べらで手前の方から玉子を返し・・
⑥大皿に移して、整える
⑦筍穂先で特性ソースを作り中央にかけ、盛り付け。

イラストに入れる手書き文字
①米ぬかでアク抜きした筍を食べやすい大きさにカット
鰹出汁と塩少々でご飯を炊く
②ボウルに、鶏卵2個、小さじ1の水とオリーブオイル
(一人前の分量)
③オリーブオイルを敷き、少し卵液を落として
ジュッと 半熟状で火を止める。
④両端は残す。多すぎないように
⑤フライパンを斜めにしてフライパン奥に寄せ
⑥皿を受けながら。
⑦白味噌、鰹だし汁、水、筍穂先、水溶き片栗粉
刻みパプリカ。木の芽を添える。

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絵描き男の料理徒然草⑤・「野草」・笑顔満開春の香り

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その少女の顔はなぜか曇っていた。
長瀞町の岩根山に初めて登った時、山道の傍らで少女はお婆さんと敷物を広げていた。
売っていたのはタラノメなどで、おそらくお婆さんが苦労しながら採ったのであろう、
棘(とげ)の多い植物。セリも同様に、この時期だけの香りと風味は格別だ。
うれしくなって私が両方とも買って一礼すると、
少女は驚いて目を輝かせ、晴れの顔になった。そうか、なるほど、
「こんなもの誰が買うか…」と思っていたのだろう。それでさっきまで曇り顔だったのか。
少女の視線の先には、お婆さんの笑顔があった。
手渡してくれた野草は、地から届いた旬の“花束”のようだった。
帰宅して早速、天ぷらにしたら、春の香りに喜びを感じた。
もう10年以上前のことなのに、2人の笑顔が忘れられない。

さて、私の生まれ故郷の岡山では、この時期はサワラが旬。
漢字も魚へんに春と書き、上品な味で焼いても煮てもおいしい。
それを“第二の郷里”ともいえる秩父のセリやクレソンとコラボして料理を作る。
クレソンの子供のころのイメージは、ステーキなどに添えてある苦い緑の葉っぱだった。
実は「最強の野菜」とも言われ、抗菌効果、動脈硬化予防、血圧にも筋肉にも
良い影響があるらしい。
水の恵み、大地の恵み…、五感で春を満喫して生きたい。
秩父はそれを足元に感じられる処だ。今回の作品名は「野草の花束」。

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レシピ「鰆(サワラ)の香草焼き」
◎用意するもの(4人分)=サワラ切り身4個、
クレソン1束、セリ1束、トマト1個、レモン1個
小麦粉、バター、オリーブオイル、ニンニク、
塩、コショー、生醤油

①クレソンとセリをさっと塩茹でする
②3分の1各々はみじん切り
③サワラに、②と塩、コショー、小麦粉
④フライパンにバターとオリーブオイルで、サワラを焼く
⑤塩ゆでした①を、さっと炒める
⑥トマトを4つに、レモンはスライスカット
⑦盛り付け、少しのソースをかける。

イラストの説明文字も参照ください。
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