手のなかのミクロコスモス展 作家インタビュー( 伊能一三 ) | 金沢アートグミ特集ページ

手のなかのミクロコスモス展 作家インタビュー( 伊能一三 )

金沢の現代美術とは?を考えたとき、作品の緻密さがひとつの特徴として挙げられます。
金沢の手仕事に通ずる、ひとつひとつ、手で作り込む制作スタイル。
そんな、作品の細部に物語や小宇宙を感じさせる作品を選出した「手のなかのミクロコスモス」展
参加アーティストに、展覧会に寄せてインタビューを行いました。

<< 作家インタビュー一覧 >>



伊能一三


$金沢アートグミ特集ページ
「へいわののりもの」


伊能一三×矩一浩×秋山英範 座談会


 矩 一浩:金沢表参道にあるギャラリー喫茶collabon オーナー。金沢のアートシーン、
      まちづくりを支える1人。
 秋山英範:SE、クレイアニメ作家。お父さんが漆芸作家で漆にも詳しく、ふらっと
      立ち寄ったまま座談会に参加。


──最近「アートの街=金沢」とメディアで取り上げられることが多いですが、
  皆さんは住んでいて実際どうですか?



秋山
金沢は工芸やアートの住み分けがしっかりあって、それぞれのミュージアムも充実しているので
ふらっと入り込んで色々見れる、アートを体感できる街だと思います。

伊能

金沢に来て今年で8年目になりますが、個人個人の繋がりがしっかりあって、
食べ物もおいしいし、海も山も温泉もあって、ちょうどいい大きさだな、と思いますね。
ものづくりをしている立場から言うと、あと東急ハンズさえあれば…という感じです。


欲しいですよね、ハンズ。
アンテナショップみたいな形でもいいので、是非金沢に進出してほしいですね。
売れ筋の商品は一通りあって、あとはカタログで注文できるみたいな。

伊能
大都市の駅地下みたいに、どこか地下道に作ればいいですよね。
あと、横安江町商店街とかどうでしょう。両サイドにずらっと店舗を並べて。


──東急ハンズが欲しいという作家さんは多いですね。この間も「ハンズには
  "そう、これが欲しかった"という素材が売ってるから良いんだ!」と聞かされました笑

  素材と言えば、伊能さんの作品って、中は発泡スチロールなんですよね?



伊能
はい。外側の「漆」という素材とのギャップを感じる人もいますね。
僕にとっては素材として等価で、漆も便利な素材の一つと考えているのですが。

秋山
僕の父は能登の漆芸作家なんですが、今回の作品で伊能さんが使っている「乾漆」と
いう技法は、穴を空けて中身を取り出すというやり方もありますよね。
ただ内側に木枠を組んだり、作品のどこかに穴を空けたりしなきゃいけない。


──伊能さんは蒔絵アクセサリーなどクラフトも色々作っていらっしゃいますよね。
  金沢では特にアートとクラフトの境は曖昧ですが、今後も
  そういったジャンルにとらわれない活動を続けていく予定でしょうか?


伊能
そうですね。「物をつくること」を続けていきたいと考えています。
あと作家主導のアートイベント"アナザームーブメント"にも参加しましたが、
僕は企画や運営にも興味があります。
なにかしら、アーティストやものづくりをする人にお金が入る仕組みが
できないかなぁと考えているんですが。
金沢という場所でしかできないようなことで…。

$金沢アートグミ特集ページ


──矩さんはどうしてコラボンを始めたんですか?


当時は地元のクラフト作家の作品を扱うお店があまりなかったので、
作家モノの品物を直接見て、触れて、買えて、交流できる場所、というお店を作りました。
お金も確実に作家に入るし、買わずとも沢山の人に知ってもらえるし。
最近はそういうお店も増えてきたので、よりコラボンらしさを考えて商品を扱うようにしてますね。

伊能
ものづくりをする人たちが、みんなで何か売るとかしたらどうでしょう?
焼き物にみんなで絵付けして売ったり。
あ、あと「湯涌温泉で制作体験しながら滞在プラン」とか。


やったらいいだろうなとは思います。ただ誰が責任を持ってビジネスとして軌道にのるまで
ちゃんとやるか、という…「誰かがやるんじゃないの」と思っていては誰もやらない。
企画はいろいろあるんですけどね。軍資金があればやる人はいると思うけどなー。

伊能
だから資金づくりのためにも、やっぱり最初に簡単に作れて売れるものを作らないと。
前に矩さんが作った「ことじ灯籠ペーパークラフトキット」とか良かったですよね。


ことじネタはまだいろいろあるんだよ笑


──ペーパークラフトいいですね!

秋山
知り合いが使ってるんですが、切り取り用のミシン目を付ける機械が意外と安いみたいですよ。


そうなんだ。調べてもらえますか?

秋山
いいですよ。

伊能
お土産をね、やっぱり作らないと。
何か作りましょうよ。


──作りましょう作りましょう。
 ちょっとずつ、ハンズみたいに「これが欲しかった」を形にしていきましょう笑




とりあえずなんぼ商店の福だるまを復活させたいですね。
collabon でコーヒーのお茶請けにしてたんですが、最近なくなっちゃったんですよ。
安くて可愛くておいしくて、お土産にも向いてたし。
そんな、手軽に味わえ、買えるそんなものもあるといいですね。


──アートグミとしてはオリジナルグミを作りたいです!
   
伊能
では金沢のお土産を考えるプロジェクト立ち上げということで、
どんどん具体的にしていきましょう。
次のミーティングいつにします?

$金沢アートグミ特集ページ
「議論は白熱し、話はあらぬ方向へ…」




伊能一三 プロフィール

1998 東京芸術大学美術学部工芸科卒業
2000 東京芸術大学大学院美術研究科漆芸専攻修了
2005 金沢卯辰山工芸工房修了
2000 うるしたのしむ展/日本橋丸善 ,東京 岡山丸善 ,岡山
2002 国際漆展石川2002/大和 ,金沢 輪島漆芸美術館 ,石川
     高岡クラフトコンペ/大和 ,富山
     いまだてcraft展/卯立の工芸館 ,福井
2003 金津創作の森 酒の器展/Art Core Museum ,福井
     富山プロダクトデザインコンペ(奨励賞)/富山総合デザインセンター, 富山
     いまだてcraft展/卯立の工芸館 ,福井
     マトリョーシカ!展/金沢、東京、大阪、京都、福岡
     金沢市工芸展(奨励賞)/Meitetsu M'za, 金沢
2004 Design For Kids 子供たちのためのデザイン展/石川県デザインセンター, 石川
     -Works-卯辰山工芸工房の現在/ワコール銀座アートスペース, 東京
     Another Movement 2004 イベント企画・運営・展示/銀の波・箔座, 金沢
     ざぶん賞 アートワーク参加/金沢、福島、北海道、千葉、愛知
     創作人形展2004/ギャラリーぶんかとう, 福岡
2005 個展「へいわののりもの」/B Gallery, 東京
     Another Movement 2005 イベント企画・運営・展示/Book&Cafeあうん堂, 金沢
     創作人形展2005/ギャラリーぶんかとう, 福岡
2006 個展「蒔絵のアクセサリー」/Gallery YORI,東京
     Another Movement エンジェルプロジェクト イベント企画・運営・展示
     /KIKU, 金沢
     創作人形展2006/ギャラリーぶんかとう, 福岡
2007 金とく・石川スペシャル「発見!これから人」NHK金沢放送局
     Another Movement 2007 イベント企画・運営・展示/KIKU, 金沢
     身の回りのもの展/ギャラリーぶんかとう, 福岡
2008 品-SHINA-, 京都 お正月店舗ディスプレイ
     蘇る江戸の化粧道具 紅板展/伊勢半本店 紅ミュージアム, 東京
2009 個展「かべのとも」/Gallery YORI, 東京
     Meet Kanazawa-2009,Of Craft 金沢の工藝」松本市美術館市民ギャラリー, 松本
2010 金沢アートグミ企画グループ展「手のなかのミクロコスモス」/金沢アートグミ 金沢