手のなかのミクロコスモス展 作家インタビュー( 小島ゆかり ) | 金沢アートグミ特集ページ

手のなかのミクロコスモス展 作家インタビュー( 小島ゆかり )

金沢の現代美術とは?を考えたとき、作品の緻密さがひとつの特徴として挙げられます。
金沢の手仕事に通ずる、ひとつひとつ、手で作り込む制作スタイル。
そんな、作品の細部に物語や小宇宙を感じさせる作品を選出した「手のなかのミクロコスモス」展
参加アーティストに、展覧会に寄せてインタビューを行いました。

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小島ゆかり
   

$金沢アートグミ特集ページ「袈裟」2009


──作品づくりのきっかけは?

作品づくりのきっかけを問われると、20代の頃に遡り、少し甘酸っぱい所を突かれるようで、現在の自分に似合わない、純粋な照れとか、その頃の空気感を否応なく思い出される。丁度、女友達四人で一軒家を借りて共同生活をしていた頃で、生活は、玩具箱をひっくり返したようだった。そんな中で、様々な表現を持った人達と出会い、ある緊張感を保ちつつ、私の視野は拡がり始めた。



──制作スタイルはどのようなものですか?


最初は、骨とか箱、錆びた釘やビー玉、好きなものを飽くなき欲求のまま集めては、組み合わせて、皆で笑っていた事が楽しかった。そして重要だったのが、部屋。ようやく自分のスペースとして、開放感を持って、お気に入りの方法で居場所をつくり出せた事が嬉しかった。

そんな頃から写真を撮り始め、部屋と自分との関係が始まった。それから 15年以上経った現在の私は、部屋と格闘している。この部屋で、白く蒸発した四角の部屋で、私は立ち振る舞い続ける。その次の瞬間にはセルフタイマーを準備し、何度も往復する。まるで、この部屋をそのままに運び出さなくては、気が済まないかのようだ。角度を変えては、行為を繰り返す。愛着の全てを、過去に変えるかのように。心には、幾度も波が押し寄せ、幕間に風が膨らむ。部屋には、窓がつきもので、やがては身体ごと飛び出して行きたい、そう考えている。


金沢アートグミ特集ページ「袈裟」2009



──金沢(石川)で作家として暮らし感じることは?


かつての賑わいや交流のあった、この地にいる事が、出発点を見直させられ、更に旅立ちのきっかけになるのではないかと思う。近頃、感じている事が、つくり手が、自分の見られ方を意識し過ぎるのは、しっくりこない。だから私は、欲する源の、つくりたいものをつくろうと思う。それに、信頼する人が加われば、幸せである。


──好きなものは?

覚醒する瞬間、恋慕、冬の風や木立、食事の跡。


──今後、やりたい事は?

ムービーを持ってアルメニアに行く、もしくは
部屋で立ち振る舞い続け、365 日うずくまり、愛のメッセージを送る。


──アートグミに一言お願いします。


出会えて良かったです。様々な角度からの発見があり、
これからも、作品を含め、いろいろな話をしていきたいと願っています。




小島ゆかり プロフィール

1973 石川県金沢市に生まれる
1996 Bゼミスクーリングシステム選修生 修了

個展
1993 本棚の女/TWO AD Hair ,金沢
1994 おむつを替える時間/TWO AD Hair ,金沢
1995 小島ゆかり展/INFORM gallery ,金沢
1996 小島ゆかり展/INFORM gallery ,金沢
1998 小島ゆかり展/INFORM gallery ,金沢
2000 小島ゆかり展 セツカハズム/INFORM gallery ,金沢
2002 lying awake/Seventh gallery ,Melboume
2004 左手の誰/deux egg gallery ,彗星倶楽部
2006 この南京虫/PUNCTUM photo + Graphix Tokyo

グループ展
1993 Boxes
1993 A water line
1994 I HATE NECKLCE/鞍月用水 ,金沢
1997 3 TRANS GIRLS/DELTA MIRAGE ,神田
2001 INNER CHILD PROJECT/金沢芸術村 ,金沢
2002 名古屋コンテンポラリーアートフェア/名古屋市民ギャラリー ,名古屋
2004 Beautiful Artist/アトリエ巡回 ,金沢
2006 THE EXPOSED/CASO ,大阪
2010 金沢アートグミ企画グループ展「手のなかのミクロコスモス」/金沢アートグミ 金沢

写真集
1996 シャッター&ラヴ/発行 インファス
1998 Strip/発行 ステイデル
1998 the lodge with a curtain/発行 ソフトマシーン