むかしむかし、あるところに
「さきたま」というおじいさんがいました。

見沼昔3

さきたまじいさんは
あさはやくからはたけをたがやし
よるおそくまではたらいていました。

ですが
いくらがんばっても
みずがこないはたけはおもうようによくなりません。

あるひ、はたけをたがやしていると
つちのなかから
おんぎゃー、おんぎゃー
かわがうまれました。
なまえは「しばかわ」といいました。
見沼昔2

しばかわは
みるみるおおきくなって
おじいさんにいいました
「おいらがみずをもってきてあげるよ」

ちょろちょろ、ちょろちょろ、ちょーろちょろ
さらさら、さらさら、さーらさら
見沼昔1

しばかわは
はたけにみずをいつもはこぶようになりました

さきたまじいさんは
おおよろこび

「おまえのおかげで、はたけもおおだすかり」
はたけはおおきくなり
いろんなたべものがとれるようになりました。
見沼湿地

おじいさんをふねにのせて
とおいところにはこんでもくれました
どんぶらこっこ、どんぶらこ
どんぶらこっこ、どんぶらこ
しばかわはおじいさんといっしょにたのしくてしかたがありません。
「しばかわやありがとう」
昔
さきたまじいさんはしあわせです。
いえもあたらしくなり、おかねもちになりました

ところが「しばかわ」はだんだん、だんだんおおきくなって
ちからがあまってあまってしかたがありません

あるひ
おおあめがふったとき

どかーん
どーどど、どーどど、どーどーどー
「しばかわ」はおおあばれ!
水害2

はたけも
いえも
みんな、ながしてしまいました
水害1

さきたまじいさんは
「えーい、こんなにあばれおって!
おまえはもういらん!」
といって
なんと
「しばかわ」の
あたまをちょっきん!
青木水門

あしをちょっきん!
領家水門

っと、きってしまいました。

するとどうでしょう、
「しばかわ」はみるみるうちに
しぼんでしまいました
下水

「えーん、ごめんなさーい
もうしません、
これからもっともっとがんばりますからー」

でも、しぼんでしまった「しばかわ」は
いくらがんばっても
ちからがでません

「なんだ、このかわは
ながれてないし、きたないし」
みんなは「しばかわ」をきらいになってしまいました

みんなは
そのうち「しばかわ」をわすれてしまいました
わすれるどころか
「しばかわ」にじぶんのごみや
きたないみずもながしてしまいました
ゴミ
もうだれもしばかわをおもいださなくなったころ
きたなくなった「しばかわ」のみずで
さきたまじいさんはびょうきになってしまいました。

さきたまじいさんはみんなにいいました。
「しばかわはわしのこどもみたいなものじゃ
わしのためにしばかわはがんばってくれたのじゃ」

「しばかわをたすけてお、く、れ」
さきたまじいさんはしんでしまいました。

さきたまじいさんのさいごのことばをきいて
みんなはかんがえました

どれがいい?
1ー「そんなのかんけーねー」
2—「たすけるとまたあばれだすかもしれん」
3—「またわしらといっしょにはたらいてもらおうじゃないか」

1.
「そんなのかんけーねー」
しばかわはどんどんよごれ、
みんなはさきたまじいさんのように、びょうきになっていまいました。
セメント砂に紛れたイソベの死骸
そのうち、ひとがすまない、さびしいかわになってしまいました。
もう、しばかわは、にどとながれることはありませんでした。

2.
「たすけるとまたあばれだすかもしれん」
「うめてしまえ」
朝日橋の下
しばかわはうめられ、ついにしんでしまいました。
しばかわのあとには、いえがたちがならびました。
そこにすんでいるひとは
はたらきもののさきたまじいさんも
ながれていたしばかわのことも
だれもしることはありませんでした。。

3.
「またわしらといっしょにはたらいてもらおうじゃないか」
しばかわはげんきがでて、みずもきれいになりました
「おーし、がんばるぞー」
青木水門インスタレーション
またまた、しばかわはだいかつやく!
でも、あまりちからをだしすぎて、あばれそうになるときは
おじいさんといっしょうけんめいはたらいたときのことをおもいだし、
やさしくみずをながすためにがんばるのでした。
魚?