中国古典 一日一話
こんにちは。
コミュニケーションデザイナーの吉田幸弘です。
今日のご紹介は、守屋洋氏の著書です。
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■中国古典 一日一話
■守屋 洋(著)
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中国古典の代表作12話から180の言葉を選び、すぐ実践できるようにわかりやすく紹介された解説書です。
繰り返し読んで血肉にしていきたいものです。
古典に対して抵抗感がある方でも、読みやすい一冊ではないかと思います。
それでは特に参考になったエッセンスをご紹介していきます。
●「これは」という人物は、必ずといっていいほど中国古典を読んでいる。
古いからといっておろそかにせず、先人の知恵を上手く実生活に生かせる人間こそが、これからの厳しい社会を勝ち抜いていけるのである。
ただし、誤解を招く恐れがあるので、2つのことをお断りしておきたい。
第一は、役に立つからといって即効性を期待されては困るということだ。
中国古典というのはいわば漢方薬のようなもので、効いてくるまでに時間がかかる。
即効性は期待しないでいただきたい。
第二に、中国古典の説いているのは原理原則であるということである。
したがって、とっぴなことを期待される向きは失望されるかもしれない。
しかし、少なくとも、原理原則の確認には役立つであろう。
(P5~6 まえがき 引用)
中国古典に即効性を求めるのは難しい。
しかし、古今東西、人間の心の中やコミュニケーションに関しては変わることのないものです。
先人の知恵を得られる中国古典は非常に有用といえるでしょう。
●大国を治むるは小鮮を烹る(にる)が若し(ごとし)
為政者は、大所高所から黙って事態の推移を見守るのが、政治の理想である、という考え方にほかならない。
これはたんに政治にとどまらず、企業の組織管理にも当てはまる。
社長が社員ひとりひとりにハッパをかけ、細かい伝票にまで目を光らせたらたまったものではない。
社員がやる気をなくすばかりか、第一、社長自身が参ってしまう。
社長は、社員が働きやすい環境をつくり、日常業務はしかるべき管理者に任せて、企業経営の大計を考えていればよいのである。
ワンマン社長の会社が長続きして発展するかどうかは、そういう組織管理への切り替えができるかどうかにかかっている。
むろん、そのためには優秀な参謀役が必要になることはいうまでもないが。
(P33 引用)
これはプレイヤーだった人が初めて管理職になったときにも通ずるものがある。
営業マンとしてトップだった方がはじめて部下を持ったとき、つい部下に自分と同じことを求めてしまいがちである。
しかし、部下は思うように動かない。
当たり前である。
トップの営業マンしかできなかったから、リーダーになれたのである。
トップの営業マンと同じレベルの部下だったら、その人はリーダーになれないだろうし、あるいはその部下がリーダーになっているだろう。
そこでやってしまいがちなのが、細かい管理である。
細かい管理をしているリーダーのチームは残念ながら、たいてい業績の向上につながらない。
ある程度任せる。
そして参謀役を作り、権限を委譲する。
これが必要だ。
部下が能動的に動いてくれないと嘆いているリーダーに限って、たいていその部分が足りていない。
●人みな有用の用を知るも無用の用を知るなきなり(荘子)
「無用の用」とは、無用と思われているものこそ実は有用なのだ、という意味である。
かつて本田技研にあった「ワイガヤ」という一種のブレーン・ストーミングがあった。
この「ワイガヤ」も「無用の用」の一種であったかもしれない。
だが、世間の人々は、いたずらに有用性ばかり追求して「無用の用」に気づこうとしない、と『荘子』は嘆いているのだ。
「無用の用」のいちばん身近な例は、日常なにげなく日常なにげなく交わしている挨拶だろう。
あんなものは、なくてもいっこうに差し支えないように思えるが、さにあらず。
人間関係を円滑にするのに、たいへん役立っている。
ろくに挨拶もせず、先方の顔を見たとたんに商談を進めても、上手くいくはずがない。
有能なセールスマンというのは、例外なく世間話の大家でもある。
人間も同じで、「無用の用」が蓄積されてこそ大成されていく。
(P44 引用)
物事を効率的に考える人は、挨拶や雑談なんて必要ないと思うかもしれない。
しかし、それでは相手との人間関係の距離を縮めることはできない。
特に営業でいえば、昨今他社と商品やサービスの内容で差別化することが難しくなってきている。
いい商品やサービスを開発してとしても模倣されてしまうのである。
そんな時、差別化になるのが営業マン自身である。
そのためには相手から好かれなければならない。
もちろん無理に媚びる必要はない。
ただ、ある程度距離を縮める努力は必要だ。
一見、無駄に見えるものが大事な存在になっていることはある。
イメージだけで排除するのは避けたい。
●蝸牛角上の争い(かぎゅうかくじょうのあらそい) (荘子)
宇宙の彼方からみれば、国同士の戦争も「蝸牛角上の争い」みたいなものだ。
そんなちっぽけなくだらないことはやめて、もっと大きな目で政治をしなさい、と戴晋人は忠告したのである。
ここから、「蝸牛角上の争い」」は、ちっぽけなことの譬え(たとえ)に使われるようになった。
私たちは、何事につけて自分を正当化し、相手と黒白をつけたがる。
しかしそれは、大局的見地から見ればごくつまらないことかもしれない。
「蝸牛角上の争い」の譬えを思い起こせば、自分を客観視して頭を冷やす効果があるのではないかと思う。
(P51 引用)
ある会社では営業マンの成績を競わせていた。
それは悪い事ではない。
チーム単位でも競い合い、トップを獲ったチームに表彰するというインセンティブ制度を設けていた。
これはこれで悪いことではない。
ところが、この会社では悪い方に作用してしまった。
いつしか、部長が第1課の課長に「第2課に負けてしまうぞ」と、第2課の課長に「第1課の課長に負けてしまうぞ」としか言わなくなっていた。
そうなると各課の課長は、別の課の課長をライバルとしたどころか、競合のように思ってしまったのである。
本当の競合は、同業他社なのに。
この会社では社内での情報共有ができなくなってしまった。
各課が弱体化、それに伴い、その会社自体が弱体化してしまったのある。
視野を狭くしてはいけない。
大局を観る目が必要である。
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