そんな風に、何もやる気がおこらず、死んだような毎日を送っていたのですが、そんなとき、僕に転機が訪れます。


それは、3.11のあの大震災の日でした。


地震があったとき、ぼくは駒ヶ根のミーファというお気に入りの喫茶店にいました。


すごい揺れに、あわてて外に出たのですが、大きな地震だな、くらいにしか思っていませんでした。


帰ってから、テレビであの惨状を見るにつれ、大変なことが起こってしまったという実感がやっと沸いてきました。


同時に、人間をはじめ、この世に存在するものの、はかなさを実感しました。


このまま僕はこんな死んだような毎日を送っていていいものだろうか?


人間、いつ死ぬかわからない。


それなら生きているうちに何かしないといけないのではないだろうか?


自分にできることは何だろうか?


そう自分に問うたときに浮かんだのは、音楽しかありませんでした。



そうだ、音楽を作ろう。そう思い、その晩、自分のスタジオ(おじいちゃんの住んでいた離れ)で曲を作り、一晩で一気に録音しました。


その曲はジャズっぽい雰囲気を持ったトランスミュージックなのですが、一曲できたら、これをCDにしたい、と思いまじめました。


そこで、いままであった曲、「虹の中へ」や「宇宙の歌」ほか、自作曲を録音したCDをつくることを思い立ちました。


そうと決めたら、一気に動きだします。


毎日スタジオにこもり、曲を録音しました。


「宇宙の歌」だけは、女の人の声が必要だと思ったので、伊那に住む女性ヴォーカリストの福沢歩ちゃんにお願いしました。その曲だけ、ちょうど家に遊びにきていたベーシストの濱本銘二さん。

あとはすべての楽器を自分で演奏しました。



1週間ほどですべての曲が完成しました。


一曲目には、音楽の神様でもある弁財天の御真言を入れました。



そして、ミキシングとマスタリングを伊那のレッドイグアナスタジオの林さんにお願いしました。


挿絵は、東京のストリートで出逢った村田のりみちさんにお願いしました。


そしてデザインは、飯田の仲間の杉浦歩実ちゃん。


縁のある仲間たちだけの中で、CDが出来上がりました。


タイトルは、「虹の中へ」。


このCDで僕が伝えたかったのは、聴く人が自分の心の中にある光に気付き、自分の可能性の扉を開いていく、そんなイメージ。



さあ、CDが出来上がりました!あとは売るだけです。