僕の身近な人にも移民した人がいました。


僕のおばさん、父の姉もアルゼンチンに移民していました。


僕の親父は、今年82歳になりました。

ですから、僕のおばさんは85歳くらいでしょうか?


僕のおばさんの場合、第二次世界大戦のあと、

船でアルゼンチンへ渡ったようです。


第二次世界大戦が終わったあとの当時は、

まだまだ混乱していた時代で

今の時代とは、

本当に違っていたと思います。


別世界と表現してもいいかもしれません。


あの時代、いわゆる一般庶民は、

文明の利器(今時こんな言い方をするか疑問ですが)

の恩恵をほとんど受けていなかったと思います。


たとえば、携帯電話、

今は誰でも持っているような時代ですが、

あの当時、電話がある家は珍しかったと思います。


インターネットが普及している今と

本当に違っていたと思います。


緊急の連絡手段は、電報だけだったでしょう。


もちろん、通信手段としての手紙はありましたが、

外国へ出した場合、

相手に届くのに数ヶ月かかったのではないでしょうか?


今の時代、インターネットがつながれば

相手が外国にいても、

一瞬で連絡が取れます。


第二次世界大戦後、通信手段が発達していない時代に

おばさんは、どんな気持ちで

アルゼンチンへ行く決心したのだろう?

と想像することがあります。


アルゼンチン行きの船に乗るということは、

アルゼンチンで骨を埋(うず)める、

ということを意味していたと思います。


ですから、

文字通り、一世一代(いっせいちだい)の大決心をして

港で今生(こんじょう)の別れを身内に告げた

のではないかと想像します。


今の時代、

「一世一代」とか

「今生の別れ」というような表現は

あまり使わないでしょうね。


今、僕のブログでは、

東京大学の英語の入試問題を取り上げていて、

その問題文が移民に関するものだったので、

冒頭で僕の身近にいる移民について触れました。


あなたの近くにも「移民」の方がいるかもしれませんね。

その方を思い出しながら、

今回の英文を読むと

興味深く読めるかもしれません。


今取り上げている英文の第1パラグラフでは、

「移民のせいで、先進国では、

国のアイデンティテイが失われる恐れがあり、さらに

コミュニティーの崩壊も進行しているように見える」

ということでしたね。


そして、第2パラグラフの最初の分は、

There is, however, another side to such sparate, parallel lives.

でした。


There is(存在している)何が?

another side(別の面が)

to(方向を表す前置詞ですね)(~に対して)何に対してかというと

such(そのような)第1パラグラフで話しているような

sparate, parallel lives.(分離して交わらない生活)


There is, however, (しかしながら、存在している)

another side (別の面が)

to such sparate, parallel lives.(そのような分離して、交わらない生活には)


「分離して、交わらない生活」に

別の面がある、と言っていますが、

どのような面が存在しているのでしょか?


それは、今回取り上げる英文に書かれています。

読んでみましょう。


We now live in a world in which immigrants do not have to break

connections with friends and family to begin the generation-long

process of adopting a new identity.


英文を読むときの肝(きも)は何でしたか?


主語と動詞を見抜くことでしたね。


今回の文章の「主語と動詞」は、分かりましたか?


主語: We(私たちは)


動詞: live(住む)


どこに住むか?

というと次に書かれています。


in a world(ある世界の中に)


「world」に不定冠詞の「a」がついて

「a world」となっていますね。


この英文を書いている人は、

いろいろな観点から世界を見ることができると思っているので

いろいろな世界のうちのひとつの「ある世界」と表現するために

不定冠詞の「a」をつけて「a world」と表現していますね。


あなたも「いろいろな世界」を想像してみてください。


たとえば、

・犯罪が少ない世界

・日本語だけを話す世界

・みんなが好きなことをやっている世界

などなどいろいろ考え付くと思います。


もちろん、地理的に見た「世界」は、唯ひとつなので、

その場合には、定冠詞「the」をつけて

「the world」と表現します。


でも、「○○の世界」といったように

いろいろな観点から世界(world)を見る場合には

不定冠詞「a」をつけて「a world」と表現できるようです。


We now(私たちは、今)


live in a world(ある世界に住んでいる)


どんな世界に住んでいるのでしょうか?


We now live in a world

in which immigrants do not have to break connections


ここで関係代名詞「which」が出てきました。

関係代名詞は、名前のとおり「代名詞」です。

ですから、関係代名詞「which」がでできたら、何を指しているのか?

何の代名詞として使われているか確認しましょう。

関係代名詞「which」と遭遇したときの合言葉は、

「それって何?」です。


「which」を「それって何?」と訳するのではなく、

あくまで「それって何?」と思い、

「which」が指しているものを探してください。


We now live in a world(今、私たちは、ある世界に住んでいる)


in which(それって何?それって「a world(ある世界)」)


「どんな世界」かというと


immigrants do not have to break connections

(移民がつながりを切る必要がない)「世界」


「have to~」:~しなければいけない

I have to go now.(もう行かなければならない)


「don't have to~」:~する必要はない

You don't have to worry about that.(そのことを心配する必要はない)


We now live in a world

in which

immigrants do not have to break connections


「in which」を使った英文を3つ考えましょう。


なぜ「3つ」なのでしょうか?


3日前、初めて知ったことですが、

イスラム教では、離婚するとき、

相手に「3回」離婚することを宣言しないといけないらしいのです。


離婚を1度や2度宣言することは、

気の迷いからあるかもしれませんが、

3回続けて宣言するというのは、

明らかに離婚の意思がある、とみなされるのでしょうね。


ネットで調べると、夫が寝言で「離婚」という言葉を

3回言ったために、本当に離婚した夫婦が存在するらしいですよ。

http://abcdane.net/archives/200603/negoto_rikon.html


野球でも、ストライク3つとらないと、三振にならないし、

裁判も、地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所と

3回審議する場所がありますね。


「仏の顔も3度まで」という言葉もありますもんね。


ここで僕からの提言です。

英語で何か身につけたい単語や語法があれば、

「例文を3つ作りましょう」ということです。


さらに、その例文の絵を描き、物語を作ると完璧ですね。


「英語の例文3つまで」(訳の分からない標語ですね)



僕自身、今回「in which」を使った英文を3つ考えました。


例文1:ブルネイは所得税がないらしい。

    ブルネイ出身の人に対してこう言えるでしょう。

We live in a country in which we have to pay income taxes.


例文2:「お前の英語はわからん」、と言われたとき、

    こう理由を説明できるでしょう。

Because I live in a country in which I don't have to speak English every day.


例文3:「どこの出身ですか?」ときかれて答えるとき、

    自分自身の出身地方で有名なことを付け加えて、

    こう言えるでしょう。

Q: Where are you from?

A: I am from Okinawa in which Karate was born.

と、相手も知っていそうな情報を加えて答えることで

相手の印象に残る答え方ができると思います。

あなたも「in which」を使った「英文を3つ」考えてみてください。


例文ができたら、次のことも考えてみましょう。


発言者は誰か?

どんな状況で(いつ・どこで・誰に対して)使えるのか?

を考えて、ちょっとした物語を作ってみましょう。


そうすると、作り上げた例文に感情を込めることができます。

感情を込めながら、その例文を音読すれば

その例文は、もうあなたのものです。


「in which」を使った「英文を3つ」できましたか?

例文作成3つで関係代名詞「which」を完全にマスターです。


We now live in a world

in which

immigrants do not have to break connections

(移民がつながりを切る必要がない)誰とのつながりを?

with friends and family(友人や家族との)


We now live in a world

in which

immigrants do not have to break connections

with friends and family


「私たちが、住んでいる世界は、

移民が友人や家族とのつながりを切る必要がない世界だ」


現在の移民は、家族や友人とのつながりを切る必要がない、

ということは、

昔の移民は、友人や家族とのつながりを切って移民した、

ということですよね。


アルゼンチンへ移住した、僕のおばさんのことを思うと

約60年ほど前、故郷を出発するとき、

もうこれで家族や友人とのつながりが切れると思って

今生(こんじょう)の別れを告げたと思います。


そして、新しい人生を作り上げよう、との思いで

アルゼンチンへ向かったのではないかと想像します。


でも、今の移民は、家族や友人とのつながりを切らずに

移民しているということですね。


We now live in a world

in which

immigrants do not have to break connections

with friends and family


そして、文章が続きます。


to begin the generation-long process of adopting a new identity.


「to」が持つコアなイメージを覚えていますか?

「to」をスーパー・アンカー英和辞典で引くと、

「到着点・方向」(通例到着することを含意する)となっています。

方向性を矢印(→)で表し、到着点を丸(○)で表すと、

「to」は、「→○」という図に描けますね。

「to」のコアなイメージを例文で確認してみましょう。

 The apple dropped to the ground.(りんごは地面に落ちた)

 The apple dropped(りんごは、落ちた) 

 to the ground.(地面へ向かって、地面に到着した)

 
「to」のコアなイメージ、「方向性と到着点」がつかめたでしょうか?


 The apple dropped to the ground.


「目的を表すto不定詞」ということを聞いたことがあると思います。

どうしてそのようになるか、説明しますね。


ある場所へ到着するためには、
「目的」をもって「方向」を定めて出発しますね。

そうすると、目的地に「到着」できます。


前置詞「to」のイメージにぴったりだと思いませんか?


ですから、

「to」が「・・・のために」という目的を表すときに使われるのは、

自然なことのように思われます。

to begin the generation-long process of adopting a new identity.


to(へ向かって)→~のために


begin(始める)何を始めるの?

the generation-long process(一世代という時間がかかるプロセス・過程)


どのような過程か?というと


of adopting a new identity(新しい自分を身につける)プロセス


ここでクイズです。

「generation」ジェネレーション「一世代」は、何年くらいでしょうか?


その答えは、コンサイス・オックスフォード辞典に出ていました。

一世代は、約30年だそうです。


the average period in which children grow up

and have children of their own

(子供が成長して自分自身の子供を持つようになる平均的な期間)

(usually reckoned as about thirty years)(約30年とされる)


the average period in which children grow up

and have children of their own

(usually reckoned as about thirty years)


to begin the generation-long process of adopting a new identity.


to begin(始めるために)何を始めるため?

the generation-long process(一世代という時間がかかるプロセス)


of adopting a new identity(新しい自分を身につける)プロセス


一世代という時間がかかる、新しい自分を身につけるプロセスを始めるために


We now live in a world(私たちが今住んでいる世界は)

in which immigrants do not have to break connections with friends and family

(移民が家族や友人とのつながりを切る必要がない世界だ)

to begin the generation-long process of adopting a new identity.

(一世代という時間がかかる、新しい自分を身につけるプロセスを始めるために)


今回の英文からわかることは、

昔の移民は、家族や友人とのつながりを切って、

一世代かけて新しい自分を作り上げた、ということです。


でも、今はそうじゃないということですね。

もう一度、今回の英文を読んでみましょう。


We now live in a world

in which immigrants do not have to break connections

with friends and family

to begin the generation-long process of

adopting a new identity.


どうして、今の移民は、家族や友人とのつながりを切らずに

移民することができるのでしょうか?


その答えは、次回取り上げる英文に書いてあります。


Not only is it possible to retain close contact

with the 'home' community on a daily basis via email and telephone,

but it is also possible for people to read the same newspapers

as those being read in the community they have left,

watch the same television programmes on satellite television,

or borrow the same films on DVD.


次回取り上げる英文を読むときのヒントです。

not only A but also B


not only A(Aだけでなく)

but also B(Bでもある)⇒Bを強調する表現です。


He is not only a doctor(医者であるだけではなく)

but also a musician.(音楽家でもある)


「not only A but also B」のAとBのところには、

次回取り上げる英文のように、文章が来ることがあります。 


Not only is it possible to retain close contact

with the 'home' community on a daily basis via email and telephone,

but it is also possible for people to read the same newspapers

as those being read in the community they have left,

watch the same television programmes on satellite television,

or borrow the same films on DVD.


今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。


また次回もよろしくお願いします。