議事録係 | 悪態のプログラマ

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とある職業プログラマの悪態を綴る。
入門書が書かないプログラミングのための知識、会社の研修が教えないシステム開発業界の裏話は、新人プログラマや、これからプログラマを目指す人たちへのメッセージでもある。

自分が参加した会議の議事録を書いたり読んだりする機会は多い。最近は、誰かに書いてもらった議事録の内容をチェックすることがよくあるのだが、一度でOKが出せることはあまりない。


一般的にも、「議事録係」は若手に任されることが多いのではないかと思う。しかし、実は、議事録を書くのはそれほど簡単ではない。


よくある問題のひとつは、情報の抜け漏れである。といっても、メモを取っていなくて重要な内容が抜けてしまうようなのは論外である。問題は、会話を要約するときに、必要な内容を削ってしまうことだ。議事録といえども、全ての会話を全て残すわけにもいかない。しかし、重要な発言だけを適切にピックアップするには、十分な前提知識を持った上で、その会議の目的や位置づけをきちんと理解していなければ難しい。


もうひとつの困った問題は、議事録の大筋は違っていないものの、細かいニュアンスなどが違っていることだ。例えば、「個人的には○○ではないかと思う」といった軽い発言だったはずのものが、「○○である」と断定的な表現で記述されていたりする。言葉のニュアンスは聞き手によって受け止め方が違ってくることもあり、やっかいだ。


このように、議事録は会議の内容を機械的に記録するだけのものではない。議題に関する前提知識、メモ力、記憶力、理解力、文章力はもちろん、あちこちと飛躍する会話をまとめる能力、話し言葉をビジネス文書に適した言葉に変換するためのボキャブラリなど様々なスキルが必要だ。


そんなわけで、同じ会議であっても、書き手によって、全く違う議事録ができる。本来は客観的事実を記録するはずのものなのだが、現実はそんなものである。







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