プログラマが学ぶ機会 | 悪態のプログラマ

悪態のプログラマ

とある職業プログラマの悪態を綴る。
入門書が書かないプログラミングのための知識、会社の研修が教えないシステム開発業界の裏話は、新人プログラマや、これからプログラマを目指す人たちへのメッセージでもある。

プログラマの評価というのは、かなり早いうちに定まる。新人プログラマが現場に配属されてから数日から数週間のうちに、リーダー達は、彼らをスキルの高いグループとそうでないグループに分けてしまうだろう(もちろん、会社組織としての正式な評価ではなく、自分の頭の中で、という意味だが)。

そして、スキルが高いグループには、比較的難易度の高い仕事が与えられ、そうでないグループには、単純で簡単な仕事が与えられる。

幸運にも工期や工数に余裕のあるプロジェクトに参加できれば、スキルの低いプログラマも、色々と指導してもらえるかもしれない。しかし、それも新人と呼ばれる間だけである。2、3年経ってもまだ芽が出ないということになれば、諦められてしまうだろう。


開発プロジェクトのリーダーは、スキルの低い人材が自分のプロジェクトに参加することをひどく恐れている。「仕事が遅い」というだけならまだいいが、「ミスが多い」とされる人には仕事を頼みたくない。特に、余裕のないプロジェクトにそういう人材が投入された場合、リーダーが考えるのは、彼らにやらせてもミスが出ないような「無難」な仕事をどうやって捻出するか、ということである(※)。

納期や品質が最優先される開発現場では、「学ぶ機会の平等」などないと思ったほうがいい。スキルの高い人はどんどん伸びていき、そうでない人との差は開いていく一方だ。

プログラマのスキルは、個人差が非常に大きい。人によって才能や素質の違いが大きいのも確かだが、こうした環境の影響も無視できなさそうだ。


この業界、スキル不足の人材は多い。しかし、さすがに「お前は足手まといだ」などと直接言ってくるような上司は少ないと思う。もし、自分のスキルがどの程度か知りたいなら、いつも自分にどんな仕事を与えられているか、ということを考えてみればいい。

もし、他の人に比べて単純な仕事しか与えてもらえていないなら、注意が必要だ。「簡単な仕事ばかりでよかった」なんて思っている人は一生そのままである(そのままでいいのなら、もはや何もいうことはない)。むしろ、「学ぶ機会を与えられていない」と認識すべきである。

自分のスキルに自信があるのなら、「もっと高度な仕事をさせてくれ」と主張すべきだろう(もっとも、自信だけでも困るのだが・・・)。自信がないなら、「学ぶ機会」は自分で作るしかない。それは業務時間外になってしまうが、仕方がない。「低スキルのグループ」から抜け出すまでの辛抱である。






※「簡単な仕事を探す難しさ 」を参照。つまり、私自身がそういうリーダーなのである。ただ、こうした問題について、ペアプログラミングはよい解決策かもしれないとは思う。



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