プログラミングの入門書は何が良いか? | 悪態のプログラマ

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とある職業プログラマの悪態を綴る。
入門書が書かないプログラミングのための知識、会社の研修が教えないシステム開発業界の裏話は、新人プログラマや、これからプログラマを目指す人たちへのメッセージでもある。

プログラミングの入門書として何が良いかと聞かれることがある。これが意外と困るのだ。自分が入門書の類を読まないので、具体的な書名を挙げることが出来ないのである。

もちろん、プログラマには、いつまでも新しいプログラミング言語を学ぶ機会がある。しかし、ある程度の経験者と、全くの初心者とでは、その学び方が異なるのである。ベテランのプログラマは、「入門書」を読むのではなく、文法書やリファレンス、既存のソースコードなどを読んで、その言語の「特徴」を押さえることで、新しい言語をマスターしようとするだろう。言語が違っても、プログラミングという仕事の基礎の部分は共通しているのである(※1)。


また、長年プログラマをやっていると、「初心」を忘れてしまうという問題もある。自分が初めてプログラミングを学んだときに、何が難しかったのか、何につまずいたのか、といったことを忘れてしまうのである(関連記事:「¥」について普通の感覚で考えてみる )。そんなわけで、実際に入門書を開いてみても、今ひとつ、どれが良いのか判断できないのだ。

「どういう本が良いか」と尋ねてくる人には申し訳ないのだが、無責任なことも言えない。結局、「自分で探してくれ」と言うしかないのである。


本を選ぶ際に他人の意見(周囲の人や書評系のブログ、オンライン書店のレビューなど)が参考になるのは確かである。しかし、人によってプログラミングの学び方は違うだろうし、苦手とする点も違うだろう。本との出会いは人との出会いと同じように、相性というものがあるのだ。

プログラミングの入門書に限らず、自分なりの「本の選び方」について、一度、考えてみるべきである(※2)。そのためには、やはり、色々な本を手に取り、読んでみることが必要だろう(立ち読みを含めて)。

そして、そういった努力が、最終的には「情報の価値」を判断する力を育てるのではないだろうか。情報過多の現代にあって、それは重要な力のひとつである。





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※1
例えば、経験のあるプログラマが Ruby を覚えるなら、「一時間で覚える Ruby(MAYAH.JPさん) 」。この程度の情報で十分なのである。
もちろん、言語によっては、ここでいう「基礎の部分」が異なる場合もある。例えば、C言語プログラマがC++ を習得するには、「オブジェクト指向」の基礎知識が必要だ。そういった場合は入門書が必要になるかもしれない。しかし、それは「はじめてのC++」ではなく「CプログラマのためのC++入門」あるいは、「オブジェクト指向入門」になるだろう。

※2
私が技術書を選ぶ際に(内容の質という点以外で)確認するのは、出版時期(古いと役に立たないこともある)、情報量(文字が小さくても情報量が多いものが好きだ)、索引の充実度(読み物ではなくリファレンスとして使えるかどうか)といったことだろうか。




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