Javaは知っていることにしている | 悪態のプログラマ

悪態のプログラマ

とある職業プログラマの悪態を綴る。
入門書が書かないプログラミングのための知識、会社の研修が教えないシステム開発業界の裏話は、新人プログラマや、これからプログラマを目指す人たちへのメッセージでもある。

一概にプログラマといっても、その知識はジャンル的にもレベル的にもバラバラである。同じ仕事を頼むにしても、頼む相手によっては、一言で済む場合もあれば、何時間掛けて説明しても全く話が通じないこともある。

例えば、誰かにオブジェクト指向でのプログラミングを依頼する時に、「クラスの継承やインターフェースはわかってるよね?」というような確認をしたとする。相手が「わかってます」と答えると、こちらはそのつもりで話をする。

しかし、実際に出来上がったプログラムを見ると、実は何にも分かってなかった、といったことがある。私と彼とでは「わかっている」というレベルが違うのかもしれないが。それにしても、あまりに違いすぎだ。



こうした、「知ってるつもり」プログラマは、まだいい。勉強してくれというだけだ。もっと酷いのがある。「知っていることにしている」プログラマである。

プログラマの要員採用の際には、例えば「Java による開発経験者求む」といった、スキル指定の求人をよくやる。それに対して、他の会社が、経験者と偽って未経験者を売り込んでくることがあるのだ。立派な犯罪だと思うが、結構ある話だ。スキルシート(職務履歴書)が偽造される場合すらあるらしい。

個人的には、プログラム言語などの経験の有無というのは大きな問題ではないと思っている。プログラミングのセンスがある人なら、開始時点では未経験でも、すぐに経験者以上の働きを見せてくれるからだ。しかし、そういう人たちは、絶対的に少ない。ましてや、会社が嘘をついてまで売り込まなければならない人材ではないはずだ。

結局、役に立たないプログラマが、即戦力となる人材のような顔をして投入されることになるのである。



その会社の営業的には、それでも捻じ込めればOKなのかもしれない。しかし、実作業に入ればすぐにボロが出る。

捻じ込まれたプログラマも不幸である。彼はどんなにボロが出ようと、自社の信用のために「知ってるフリ」を続けなければならない。

この業界に限らないのだろうが、「スキルが低い」ということ自体が咎められることはほとんどない。彼が「知ってるフリ」を最後まで続けることができれば、「彼は Java 経験者ではあるが、スキルが低かった」という評価になる。結局、彼を派遣した会社にお咎めがいくことはないのである。

彼のプロジェクトに参加している他のメンバー達は、まるでカッコウを育てるモズのように、貴重な開発工数を割いて彼を教育し、彼が仕込んだ大量のバグを直してやるだろう。そして、次からは彼も堂々と「経験者」を自称することができるようになるというわけだ。実に巧妙である。



システム開発は時間と人材が命だ。限りのある工数の中でこんなことをしていると、結局、納期に間に合わないか、品質を落とすことになるだろう。そして、信用を落とすのは、求人をした方の会社なのである。

真面目くさって書くのも情けないような話だが、このような悪質な営業はやめていただきたい。人間として。それとも人間やめますか?

雇う側の人間も、そんなのに騙されないでいただきたいのである。


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