蝸牛考 | Archive Redo Blog

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DBエンジニアのあれこれ備忘録


蝸牛考 (岩波文庫 青 138-7)/岩波書店
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デデムシ、マイマイ、カタツモリ、ツブリ、ナメクジ...


東北地方と九州地方、関東地方と四国地方、中部地方と中国地方などで似たような呼び方をするなど、カタツムリを言い表す様々な方言が、京都を中心として同心円状に分布することを見出し、言葉というものの変化は、文化の中心において起こるのが普通であり、波紋のように周辺に広がっていくという方言周圏論を提唱した柳田國男の本です。


その後、方言周圏論では説明できないような現象も多く確認されたことから、今では方言週圏論は言語地理学における一つの原則として生き残っているにすぎないとのことですが、完全に否定されるまでには至らず、いまだにこうして本が読まれるというのは、それだけの説得力をもつ興味深い論考であるからなのでしょう。


昔の文体で、ひたすらカタツムリのことをクドクドと書かれているので、読みにくい本ではありますが、方言の多様性、用法、分布、変遷、伝播の速度や方向性など、具体的な事象や仮説を読んでいると、言葉が生き物のように移動し、進化していく様が想像でき、また、自分なりの推論をしてみたりと、なかなか楽しめます。