iPadがやってきたから、もう一度ウェブの話をしよう | Archive Redo Blog

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DBエンジニアのあれこれ備忘録

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ウェブ進化論 」などの著書でおなじみの梅田望夫氏の電子書籍です。


内容的には著者の過去の著作の延長線上にあるもので、タイトル通り、iPhone、iPad、Android、Kindleといった新たなデバイスが注目される中、改めてウェブの話をしようというものです。

前半が中島聡氏との往復書簡、後半が現在のウェブ文化の潮流や将来への展望などの話となっていますが、人々の生活をどう変えるかという点よりも、今の変化をビジネスにどう生かすかという点に重きを置いているように思います。


個人的には前半の往復書簡が面白かったです。

主にアップルVSグーグルという構図で両社のビジネスを中心に話を展開しているのですが、両社のビジネス思想を以下のように表現しているところが印象的でした。

Appleは最高の「おもてなし」を用意したディズニーランド的世界(普通に歩きまわれるところには塵ひとつ落ちていないような世界)を作ろうとしている。

Googleは混沌としたオープンなインターネットをありのまま「善きもの」と受け止めて、その全体を進化させようとする。光も闇もある混沌とした大都市をそのまま発展させようとする為政者のように。そこに至上の価値を感じている。

自由は制限されているが整然としている箱庭を選ぶか、限りなく開放的だが清濁併せ持つ混沌とした世界を選ぶか...

今のiPhone、iPadの勢いを見ている限りは、多くのユーザーはiPhone、iPadの箱庭的な世界を好んでいるようにも思えますが、この傾向はまだしばらく続くのでしょうか?

ただ、iPhone、iPad vs. Androidという対立軸で見ると、両社のビジネス思想は相反するように見えますが、別の見方をすれば両社は相互補完の関係とも言えます。

ハードウェア、ソフトウェア、サービス...様々な要素が複雑に絡み合っているウェブの世界が今後どのように変化してくのか、興味は尽きませんね。



ちなみに、本書の電子書籍としての使い勝手はいまいちでした。

iPhoneに合わせたページ構成になっているため、200ページのわりには中身が薄く、機能的にもページのスライダーやウェブコンテンツへのリンクボタンがあるくらいで、目次から該当ページへのリンク機能すらありません。

ウェブビジネスに携わる人の本だけに、もう少しこだわりを見せてほしかったですね。


梅田望夫 iPadがやってきたから、もう一度ウェブの.../株式会社産経デジタル
¥450
iTunes

※モバイル非対応