アルバイト先の先輩女子社員ヨリコ(松本若菜)に憧れていた大学生ヒナタ(大東俊介)は,年上の彼女と付き合うことができるようになるが,彼女はBL好きの腐女子だった。



 ヒナタは彼女の趣味に合わせて,執事喫茶や声優のイベントに付き合うが,ヨリコは,ヒナタのこともセバス(いかにも執事っぽい名前のセバスチャンの略)と呼んで,それらしく振る舞うことも求める。



 ヒナタは大学の友人カップル(古川雄大,EMI)にすぐに彼女を紹介できないなど若干の抵抗も感じながらも,徐々に自分の立場になじんでいく。



 ところが,仕事では有能なヨリコは,以前からの希望であったロンドン勤務を命じられ,海外に行くことになる。



 ヒナタは引き留めるが,結局,彼女の夢を応援する。
 しかし,ふたりの仲をただ諦めたわけではなく,みずからもMBA取得のためにロンドンにやって来る。


 この映画は,オタクの世界や腐女子の実態の紹介部分がひとつの売りであり,海外のオタクには評判が良いようである。
 そしてヒナタがその世界にいちいち驚いたり突っ込んだりするところが,笑いを誘うのだが,今ではわりとポピュラーになってしまった部分もあり,やはり話題としては生もの感がある。

 一番残念なのは,ヒナタがヨリコに惹かれる理由があまり深く描かれていないところで,美男美女のカップルのため,ただの順当な組み合わせに見えてしまう。
 そのせいでヒナタが,愛情深いというよりは,ただの都合のいい男のように見えてしまう。