2013年12月17日(火)

ニセ平和主義の安全保障戦略

テーマ:政治

なんでも、安倍内閣は国家安全保障戦略(NSS)なるものを閣議決定したそうだ。


新聞によると、「積極的平和主義を基本理念に、中国や北朝鮮への強い懸念を表明。武器輸出三原則に代わる新原則を定める方針を打ち出した」とか。


それだけではない。わざわざ愛国心について「我が国と郷土を愛する心を養う」との条項を入れたという。いつもながら、なんともおせっかいなことではないか。


誰でも国土や郷土、国民性や伝統文化などへの愛着、誇りは持っているだろう。ただ、それを「主義」にしたり、人に押しつけたり、そのことで他国といざこざを起こすような愚行は避けたいだけのことだ。


愛国心で中国や北朝鮮に立ち向かい、「積極的平和主義」に励むとなれば、行き着く先は…空恐ろしい。


そもそも「積極的平和主義」とは何だろうか。平和主義に積極も消極もあるものか、とそう思う。


もともと「積極的平和主義」という言葉は、戦前の軍国主義を否定するために使われた。


昭和22年09月25日、衆議院文教委員会において、当時の森戸辰男文部大臣が「軍国主義反対ということが、積極的平和主義への国民の確信にならなければならず、これにふさわしい平和主義教育が浸透しなければならない」と答弁した。国会でこの言葉が使われたのはこれが最初だろう。


当時はまだ軍国主義者がうようよしていた時代であり、それに対する意味での「積極的平和主義」にはリアリティがあった。


しかし、時の流れとともに軍国主義者も姿を消し、新憲法と経済的繁栄のもとで平和を享受する時代がやってくると、平和であることが当たり前となり、「積極的」の意味を自らの主義主張のために変える人々が現れる。


日本国際フォーラムという保守的有識者の団体が2009年10月に提言した「平和主義と日米同盟のあり方」における「積極的平和主義」はその到達点だ。


◇日本の平和と安全は、民主主義諸国の世界的な「不戦共同体」の一部であることを自覚し、米国との同盟関係を強化することによって、初めて担保される。「積極的平和主義」というドクトリンをもつことによって、初めて主体性をもって日米同盟に対処できる。…日本が、北朝鮮から米国に向けて発射された弾道ミサイルの迎撃を躊躇し、行動を共にする米軍艦船に対する北朝鮮の攻撃を防護しないとすれば、それは即「日米同盟の死」を意味しかねない。◇


集団的自衛権を行使して、同盟国アメリカとともに戦えるよう、憲法を解釈変更するか改正し、民主主義諸国の「不戦共同体」を守るために寄与すべきだという。たがいに協力し合って戦力を高め、場合によっては敵対国と戦火を交える覚悟を持つべきだという思想であろう。


すなわち、集団的自衛権を平和目的のものと装うための言葉として「積極的平和主義」が用いられているのである。平和は戦って勝ち取るものだという、戦争肯定論者のニセ平和主義にすぎない。


平和のために戦争をするというのでは、戦前の軍国主義思想と本質的には変わらないではないか。


古来、人類は対立を戦いで解消してきたが、それは憎しみの連鎖を生み、さらなる戦争をつくり出した。事情は、今も変わっていない。


その過程で、巨大化した軍需産業が国の経済を左右するようになり、各国の軍備の拡充は続く。

 
安倍首相は自らが参与として名を連ねる日本国際フォーラムの提言以来、心中に温めていたであろうその「積極平和主義」という言葉を、ことし9月26日の国連総会で、世界に向けて高らかに掲げた。


そして、その偽装平和主義のもと、武器輸出三原則の見直しや原発輸出などで軍需産業や原発産業の利をはかるとともに、自らの偏狭なナショナリズムを国民に押しつけようとしているかのように見える。


こういうことを言うと、一部の保守言論人は「平和ボケ」と決めつけ、中国などの脅威をすぐに持ち出すが、そういう人たちこそ平和に安住し、近隣諸国になめられないコワモテの虚栄を満たしたいだけに違いない。


外交力をつけるために強い軍事力が必要だというのは、もっともらしい理屈ではあるが、あまりにも陳腐で卑しい考え方だ。互いに経済を依存しあうグローバル時代の外交には、発想の転換が必要なはずである。


前例踏襲の官僚支配国家に、それを求めるのは無理な注文だろうか。


 新 恭  (ツイッターアカウント:aratakyo)

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