沖縄県外、国外、諦めるのはまだ早い | 永田町異聞

沖縄県外、国外、諦めるのはまだ早い

沖縄県外、国外。まだ諦めるのは早い。この期に及んでも、あえてそう言いたい。


鳩山政権は5月末にまとめる普天間基地移設についての日米共同文書に、移設先として「辺野古付近」を盛り込む方針だという。


いまさら、辺野古といっても、地元の理解が得られるはずはない。それは日米両政府とも承知のはずだ。


しかし、米側には共同文書にどうしても「辺野古」、すなわち「キャンプシュワブ沿岸部」の文言を必要とする事情がある。要は議会対策だ。


ここは冷静に考えなければならない。肝心なのは2014年の沖縄海兵隊グアム移転である。


米側はグアムに既存の空軍、海軍に海兵隊の基地を加えて中東方面をにらんだ世界軍事戦略を描いている。


日本側はヘリ部隊を含む海兵隊の大移動で、普天間の負担軽減をはかる。


両国とも、まずはこれを予定通り進めたいはずだ。


2009年2月17日に交わされたグアム協定の前文にはざっと以下の内容が明示されている。


2014年までに第三海兵機動展開部隊約8000人とその家族約9000人が沖縄からグアムに移転することを再確認する。


同部隊の沖縄からグアムへの移転は、普天間飛行場の代替施設の完成に向けての具体的な進展と、グアムの施設、インフラ整備への日本の資金貢献にかかっている。


つまり、日本がロードマップに従ってグアム移転コストの6割を負担するとともに、普天間代替基地が完成に向けて進展すれば、海兵隊8000人を2014年までに移転させるというわけである。


もちろん「普天間代替基地」とは、2006年のロードマップに示された辺野古崎への移設計画を念頭に置いたものだ。


ところが、鳩山政権が誕生し、県外、国外移設を打ち出したことから、米上院で、グアム移転に関する昨年11月の予算審議が難航した経緯がある。


米政府は共同文書に、グアム移転予算獲得のため議会を納得させる内容を盛り込まねばならない事情があるのだ。それが「辺野古」、すなわち「キャンプシュワブ沿岸部」である。


鳩山政権としては、こうした事情を背景とした米側の圧力に逆らうことはできなかったのだろう。


米側も、沖縄住民の激しい反対からみて、実現性に疑問を持ちながらも、とりあえず「辺野古」を文書に織り込ませ、実質的な協議は先送りにして事態の打開をはかったのではないか。


いずれにせよ、今月末の共同文書では、辺野古崎を埋め立てて1600メートルの滑走路を2本、V字型に配置するという新基地建設案はいちおう白紙に戻ることになる。


そもそも、もはや辺野古の海を埋め立てるのは現実的な計画ではない。


まずは沖縄県知事の許可を必要とする。仲井真知事が地元住民の猛烈な反対を無視して許可を出すとは思えない。


ジュゴンの保護を求める人々がサンフランシスコ連邦地裁に起こした訴訟で、一昨年1月、同地裁は被告の米国防省に対し、新基地建設が米国文化財保護法に違反するという判決を下している。最終判決はまだだが、原告勝利となると米国は根本的な見直しに迫られる。


さて、問題の5月末共同声明だが、辺野古付近と書き入れても、具体的な場所や工法が示されるわけではない。


実態としては、グアム移転計画の推進を優先し、普天間代替基地建設問題を先送りする文書になるといえよう。


沖縄県外、国外、まだあきらめる必要はないと、この記事の冒頭に書いたのはそういう意味である。


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