外務、防衛官僚に踊らされる「辺野古移設」報道 | 永田町異聞

外務、防衛官僚に踊らされる「辺野古移設」報道

昨日の読売新聞「辺野古埋め立て回帰」の記事を、後追いするメディアが目立っている。


とくに朝日新聞は読売以上に熱を帯びた報道ぶりだ。


たとえ「飛ばし」くさい記事でも一面トップでドンとやられたら気が悪い。担当記者は「読売を抜き返せ」と上司にハッパをかけられたかもしれないし、自らを鼓舞したかもしれない。


まず昨日の朝日夕刊で、辺野古埋め立ての新工法に焦点をあてた記事を書いた。公共工事で海に流れ込んだ赤土によるヘドロを掘り返して埋め立てに使うという。


読売の記事は現行案を滑走路の配置の修正ていどで調整するとしていた。朝日の記者は新工法を強調することによって、単純な後追いの印象を薄め、むしろ特ダネのごとく見せようと工夫したようだ。


多分、この新工法は多くの選択肢の一つとして、記者クラブでは知れ渡っていたのではないだろうか。


朝日の夕刊は、この工法を「検討していることが明らかになった」と書いている。「検討」というのは実現性に疑問符がつく場合が多い。


そのうえ「具体的な工法は日米の合意文書には盛り込まない方向」という政府高官、つまり官房副長官のうちの誰かのコメントを付け加えている。


つまるところ、昨日の朝日の新埋め立て工法報道は、読売にというより、本社のデスクや部長に対して記者の意地を見せただけの自己満足的な記事だろう。


さて、問題は今日の朝日新聞だ。一面トップに「普天間 日米共同声明へ」と大見出しを掲げた。


「移転先を辺野古周辺と明記した共同声明を取りまとめる方向で最終調整に入ったことがわかった」と書いている。


そもそもこんな共同声明、国民が納得するわけはない。どこから出た情報なのかと思い、一面の本記 に目を通したが、中身は昨日の読売と大差なく、政府の談話もない。


そこで、4面のサイド記事に目を凝らす。「普天間 結局現行案並み」という見出しは「結局、辺野古埋め立てへ・・・普天間移設」という昨日の読売とほぼ同じだ。


この記事には、何人かの発言、コメントが登場する。


まず岡田外相。「5月末までに日米間で何らかの合意に達したい」。衆院外務委員会での発言だ。


そして、普天間移設の実務者協議にかかわる複数の日本側関係者が明かしたというのが以下の内容だ。


「文書をまとめるために努力している」「中間的なものをとりまとめる」


これで分かるのは、何かの文書を日米間で5月末までにとりまとめようとしていることだけである。


ところが、これに続く部分で、記事は一気に飛躍する。


共同声明は、首相が約束した5月末決着を形だけでも主張するためのぎりぎりの策だ。日本側が米側に歩み寄って「現行案」に限りなく回帰する一方、米側は工法などを含めた最終合意の先送りを了承し、双方の顔を立てた。

しかし、その実態は、「最低でも県外移設」「現行案が受け入れられるような話があってはならない」とした首相の約束が完全に崩壊したことを意味する。


岡田外相の言う「合意」、日本側関係者の言う「とりまとめ」が、辺野古移設を明記した共同声明と、どうつながるのかを明らかにしていない。


5月末の鳩山総攻撃にむけて腕まくりしているようにさえ思える記事になっている。


このなかで、最もリアリティがあるのは以下のくだりだ。


「限りなく現行案」という落としどころがみえ、日米関係の最前線に立つ外務・防衛担当の官僚は、ほっとしている。「米国は、専門家まで大勢来て、(交渉に)よく付き合ってくれている」「腐っても同盟だ」などと、日米関係の冷却に歯止めがかかったとの声も出る。


外務、防衛官僚のブリーフィングに情報を依存する記者たちの姿が目に浮かぶようだ。


当然、実務者協議の日本側関係者とは、ひたすら米国の顔色をうかがう外務、防衛官僚たちのことである。


5月末まであと10日ほど、どんでん返しの鮮やかな政治主導を見せてもらいたい。


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