不毛な普天間議論はもうやめよう | 永田町異聞

不毛な普天間議論はもうやめよう

マスメディアが普天間基地移設を論ずるさい、明確にしておいてほしいことがある。


政権交代を果たした鳩山政権が2005年の日米合意を見直そうとしていることの是非についてだ。


小泉政権時代の合意を守り、辺野古の海を埋め立ててV字型滑走路をつくるべきだというのなら、はっきりそう主張し続ければいい。


話がまとまっていたのに、なぜ蒸し返して、沖縄住民の基地撤去への期待値を高めたのか。すべてを台無しにした鳩山は阿呆だ。そう考えるのなら、そう書けばいい。


立脚点を明確にせず、論を進められると、読むほうは理解するのに骨が折れる。


今日の日経新聞社説。移設先が見つからず右往左往しているように見える鳩山政権の対応を、こういう話にたとえた。


「納品日に間に合わないメーカーが質をかえりみずに製品を仕立て、何とかその場をしのごうとする」


まるで他人事である。少なくとも主権者である国民の視点ではない。国家の経営陣を選び、切り盛りを託した主権者であるならば、質のいい商品が出来上がることを願うはずだ。


多少納品日を先に延ばしても支障がないのなら、「もう少し待つから良い商品つくれよ」と声をかけてもおかしくはない。すでに14年も待っているのだ。


自民党政権のころ、沖縄だけに押しつけようとしてきた問題に、新政権が光を当てた。全国民が向き合わざるを得なくなった。


鳩山首相が5月末決着を約束するからいけない。そりゃそうかもしれない。だからと言って、ここで新政権潰しに、生みの親である国民が血道をあげてどうする。


外務、防衛官僚に丸投げし、根回し、お膳立てを整えてもらい、最後の外交セレモニーで首相や大臣が存在感を見せつけるという、従来の密室型政治手法は変わったのだ。


省庁間や政治家の間をひそかに調整して回る官僚の動きを止め、政治家がガチンコでぶつかれば、閣内だって党内だって、意見対立はオモテに出る。


そのことを、混乱、混迷となじるか、全国民が問題意識を共有する手がかりとしてとらえるかは、マスメディアの見識しだいだ。


専門家ではない政治家が主導するなんて、絵に書いた餅だというのなら、いつまでたってもこの国は官僚支配、官僚天国だ。国民が選ぶ政治家は、未来永劫、官僚のお飾りであり続けるほかない。それでは国民主権なんて夢物語だろう。


さて、この日経社説。辺野古修正案、徳之島案、九州ローテーション案などの困難を指摘したうえ、最後にこういう文章で結んでいる。


「5月末に決着できない場合、首相の責任は重い。首相は迷走を反省し、抑止力のあり方をきちんと米側と協議して、本当に同盟を深める移設の最終案を決めるべきだ。つじつま合わせに走り、安保の機能を歪めてはならない」


これはいったい何を言わんとしているのだろう。元へ戻し、辺野古の海を埋め立ててV字滑走路をつくるべきだというのか。県外、海外に移設するよう、もっとがんばれというのか。それとも、責任をとって首相が退陣すればとりあえず納得なのか。


「迷走」も「抑止力」も「同盟の深化」も、思考停止状態を補うだけの記号か、呪文のようにしか伝わってこないのは、読者としていささか虚しい。


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