舛添の政治勘を狂わせた世論調査の人気 | 永田町異聞

舛添の政治勘を狂わせた世論調査の人気

新党の旗揚げというには、いささか寂しい。「改革クラブ」あらため「新党改革」の党首になるという。


政党助成金の出る改革クラブに、自民党の公認漏れ議員二人を連れて入籍するインスタント新党。カネのない舛添要一としては仕方ない面もある。


舛添をのぞく5人の参院議員はみな今夏の改選組で、いずれも前回は自民、民主といった大政党の公認を得ての戦いだった。


今回はそれがなく、当選はおぼつかない。政治信条も舛添と改革クラブの面々ではまったく異なる。


舛添人気を唯一の頼りとして集まるだけの政党に国民の期待が集まるとは思えない。


自民党総裁を狙った舛添要一にとって、けっして本意ではないだろう。


舛添の目算はなぜ狂ったのか。筆者は世論調査が曲者だったとあえて言いたい。


ためしに、FNNの世論調査で「いま総理大臣にふさわしいのは誰だと思うか」という問いに対する回答の推移を追ってみる。


政権交代直後の昨年9月。1位は鳩山首相の22.6%、舛添は2位で13.1%だった。


同じFNN調査で、ことし3月には様相が一変する。鳩山の人気は急落し、舛添がダントツ1位の19%となって、2位の岡田克也9.9%を大きく引き離した。


舛添のなかで、気負いが日増しに高まったに違いない。


オレは政界一の人気者、自民党の看板。昨年の総裁選では森喜朗や青木幹雄の顔を立てて出馬を取りやめたが、本来は自分こそが総裁にふさわしい。二世議員でお公家さんのような谷垣ではだめだ。オレが自民党を率いれば参院選は勝てる。


小沢の自民党殲滅作戦で、党は危うい。だからこそチャンスだ。自分の力で参院選を勝利に導くことができたら、一気に党を掌握できる。


それは確信となっただろう。メディアや外国特派員協会の講演など、あらゆる機会をとらえて、谷垣批判を繰り返し、総裁交代の機運が盛り上がるのを待った。


中堅若手を集めた勉強会も開き、山本一太らそれなりの共鳴者が広がっているようにも舛添には見えていたかもしれない。


ところが、いくら舛添が火をつけようとしても党内世論はいっこうに燃え上がらない。逆に、与謝野薫らの離党で危機感をつのらせた自民党議員たちから舛添の言動に批判が強まり、反党分子として孤立し、追い込まれる羽目になった。


自民党に居場所を失った舛添は、新党結成しか手立てをなくし、10日ほど前から「改革クラブ」との奇怪な縁談に乗り出してゆく。


舛添は今月21日、舛添新党の結成を宣言し、党内の同調や引き留めの動きを最後まで期待したが、結局、舛添にくっついて自民党を離れるのは矢野哲朗と小池正勝だけになった。


矢野は、07年8月、安倍内閣改造での入閣を確信、モーニングを用意して待機していたのに、官邸からの呼び出しがなく、なぜ入閣できなかったのかと安倍首相に電話で執拗に問いただして、深刻な「大臣病」にかかっている印象を残した。


守旧派色の強い改革クラブの渡辺秀央、荒井広幸らと手をつないでも、舛添の声望は上がることはなく、むしろイメージダウンが懸念される。


厚労相としての能力を官僚から評価され、世論調査の人気で自信過剰になったことが、この重苦しい新党旗揚げにつながったように思えてならない。


覆水盆に返らず。いわゆる頭脳明晰と、政治的な勘の働きは、どうやらまったく別物らしい。


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