普天間ヘリ部隊の仮移駐という選択肢 | 永田町異聞

普天間ヘリ部隊の仮移駐という選択肢

鳩山首相がつらい立場なのはテレビの画像でも顔を見ればわかる。ひとり、責任を背負って、宰相の孤独をいやというほど味わっているだろう。


もちろん、普天間移設問題で、「5月末絶望」「政治責任論不可避」と責め立てられているからだ。


もともと、基地を歓迎するところはない。米軍基地の75%が沖縄に集中している不公平を、少しでも解消するために、協力できるかどうかという話だ。


日本に駐留する海兵隊員は公式には1万8000人といわれているが、戦地や海外の訓練に出払っている部隊も多い。


将来、グアムに8000人が移転すれば、沖縄で緊急出動要員として残る実戦部隊は800人程度とされる。


たとえば朝鮮半島有事のさいに出動し、米人やグリーンカード(米永住権証明書)保持者の救出にあたるのが、この小部隊の主要な役割だ。日本の安全のための抑止力とはまったく無関係である。


本来なら、普天間返還合意が交わされた1996年に解決されていなければならない問題なのだ。


市街地に隣接している普天間基地の危険を取り除くためというのであれば、これまでの14年間、いったい日米政府は何をやっていたのか。


早急に手を打てないどんな正当な理由が双方にあったのかが大いなる疑問だ。


軍事評論家の小川和久は著書「日本の戦争力」(09年4月発行)でこう書いている。


これまでに政治が責任をもって実行しなければならなかった仕事、これから実行しなければならない仕事は明らかです。一つは、普天間の海兵隊のヘリコプターを仮の移設地へ早急に移駐させ、市民が直面している危険を取り除くことです。私が総理大臣であれば、1週間以内というように期限を切って移駐させるでしょう。普天間の海兵隊ヘリ部隊は有事即応部隊ですから、すぐに移動できなければ指揮官は更迭です。整備用の施設などはあとから移設すればよいのです。(中略)ヘリ部隊を仮に移設して当面の危険を取り除くための方策を、誰も議論しなかったのですから驚きです。


危険除去が目的なら、すぐに仮移駐して、それからゆっくりあとの計画を協議すればよかったというわけだ。


それをしなかったのは、日本側の利権や、米側の軍事戦略など、住民無視のさまざまな損得勘定が働いていたとみるほかない。


それはともかく、普天間の危険除去という原点に戻って、まずは小川の言うように、ヘリ部隊をどこかの仮施設に移駐させるという選択肢があってもいい。


米軍は嫌だろうが、「危険除去」という人道的な大義名分がある。日本も押すときは押さねばなるまい。


ところで、きょうの朝日新聞によると、「徳之島案」で関係閣僚会議の最終調整に入るという。


あくまで主催者発表だが、地元住民1万5000人が基地反対集会を開き、強烈な予防線を張ったあとだけに、常識的には実現困難な案といえるだろう。


ただ、あくまで常識的に言えばということであり、地元振興策の内容によっては、まったく耳を貸さないということもないのではないか。


谷深ければ山高し、という格言もある。


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