米紙に嫌米外交政策エリートとされた藤田幸久議員 | 永田町異聞

米紙に嫌米外交政策エリートとされた藤田幸久議員

今日の「朝ズバ」で、みのもんた氏に「何考えているんですか、あれだけたくさんの人が9.11で亡くなったというのに」と、ダメ議員の瞬間烙印を押されてしまったのが、民主党の藤田幸久参院議員だ。


ボードに貼り付けられていたのは昨日の産経を後追いした毎日の記事なのだが、本家本元の産経記事をもとに、藤田氏がいったい何をやらかしたのかを追ってみたい。


元毎日、現産経の著名記者、古森義久氏がワシントンから送ってきたその記事は、ワシントンポスト紙の藤田幸久に関する奇妙な社説を紹介したものだ。


社説が問題にしているのは藤田氏が「9.11テロ」に抱いている疑問についてであり、果ては日本の民主党批判、日米関係の危機にまで話が及んでいる。


その詳細は後述するとして、すこし予備知識の確認におつき合い願いたい。


藤田幸久といってもピンとこない人も多いだろう。いちおう、党の国際局長という肩書きを与えられてはいるが、政策に関与する立場ではなく、党の実力者でもない。失礼ながら、ヒラ議員に近い。


この方が、異彩を放ったのが2008年01月10日、 参議院外交防衛委員会における質疑だった。当ブログではその内容を「9.11ペンタゴンの謎、国会で質疑」 と題して下記のような記事にしている。


9.11テロで最も謎が多いとされるのは、アメリカ国防総省本庁舎(ペンタゴン)のケースである。2001年9月11日午前9時38分、乗客58名、乗員6名のアメリカン航空77便ボーイング757型機がほぼ水平に地面を滑走しながらペンタゴンに激突、炎上したとされる。


この事件について、藤田は資料写真を閣僚たちに配布して、疑問点を示した。その概要は以下の通りである。


「757型機は主翼の幅が38m、尾翼の高さが13.6mあるが、それが突っ込んだにしては破壊跡の幅や高さが小さいのはなぜか」


「厚い建物の壁に直径5メートルの穴を開けて貫通しているが、軽い素材を用いている飛行機に開けられる穴ではない」


「飛行機の残骸も、エンジンも、フライトレコーダーも見つかっていない」


もちろん、このナゾを日本政府に質問したところで、誰も答えられるわけはない。ペンタゴン発表を否定することなどできない。福田首相、居並ぶ閣僚、官僚たち、みんなただ写真をながめているだけだ。


藤田の質問のネタ元と思われるディラン・アヴェリー監督のドキュメンタリー映画「ルース・チェンジ」は、厚さ2.7mの鉄筋コンクリートの壁にきれいに直径5mの穴を開けられるのは、巡航ミサイルではないか、と指摘する。また、現場に、飛行機が地面を滑走した跡は残っていないという。


「ルース・チェンジ」は、「米政府と軍が、遠隔操作の貨物機やミサイル、建物内に仕掛けた爆薬を使ってツインタワーやペンタゴンを破壊し、テロ事件であると発表した」とする自作自演説を主張している。この事件で最も利益を享受できるのはブッシュ政権だという見方が背景にある。


ただし、藤田は自作自演説というわけではなく、新テロ特措法に反対する立場から、9.11の真相を今一度見直してみるべきだという議論を展開したかったのだろう。


(以上、2008年1月18日の当ブログより)


この藤田氏のもとを、ことし3月3日、ワシントン・ポスト紙のリー・ホックスタッダー記者が「日本の移民受け入れに対する姿勢、態度の変化」について取材したいという名目で訪れた。


本題の取材を終え、ラップトップを閉じたホックスタッダー記者は、藤田の略歴に9.11についての委員会質問が紹介されていることを取り上げ、何が疑問なのかをたずねた。


藤田は雑談だと思い、気楽に語ったが、9.11が陰謀だと断定的に話しておらず、「テロとの戦い」の原点の検証が必要との立場で国会質問などを行ってきた経緯を披瀝したという。


そして、その5日後、ワシントンポスト紙の社説で、藤田は徹底的にこき下ろされる。


では、産経、古森記者の記事からポスト紙社説の一部と思われる部分を抜粋する。


「米国のアジアでの最重要な同盟国の外交政策エリートであるはずなのに、9・11テロは巨大なでっちあげだと思っているようで、その見解はあまりに奇怪、かつ知的にインチキだ」


「本当に公表されたテロリストの犯行かどうか疑わしく、別の陰の勢力が株の利益を得るために実行したとして、19人の『実行犯』のうち8人はまだ健在だとする妄想的な話を広めている」


「珍奇なのは常軌を逸した想像を信じ込む人物が世界第二の経済大国の政権与党の重要な地位についているという点だ」


 「藤田議員の見解は激しい嫌米傾向に根ざし、その傾向は民主党や鳩山政権全体にも流れているようだ。鳩山由紀夫首相が藤田議員のような無謀で事実に反する要員を自党内に許容するとなると、日米関係は深刻な試練を受ける」


(以上、抜粋終わり)


藤田氏は9.11には様々な疑問が存在すること、それについての解明が必要であることを主張している。例えばCIAやモサドの関係者が事件の背後にいるというような、いわゆる「陰謀論」を唱えているわけではない。


最重要同盟国の外交政策エリートに、藤田氏が該当する政治家であるかどうかは古森氏ほどの超ベテラン記者ならずとも分かりそうなものであるが、それについて何らのコメントもなく、「ワシントンポスト紙ごもっとも」という取り上げ方をしているのは奇怪である。


しかも、日本の外交政策エリートの9.11に対する見解が嫌米傾向に根ざし、それは民主党や鳩山政権全体にも流れていると断じる、事実誤認と論理の飛躍にも古森記者は何ら言及していない。


ここで古森記者の思想信条を問題にするつもりはない。報道姿勢だけを問うている。


もし、ワシントンポスト紙に民主党の一議員についての論評が掲載された事実を、客観的事実として取り上げたいのなら、そのような記事の書き方があったであろう。


そうでない証拠を、古森記者が最後に付け足した次の一文が、静かに物語る。

 

「なお藤田議員は昨年3月、9・11の犯人特定に疑問をぶつける本を編著者として出版し、その推薦人には日本総研の寺島実郎氏らがなっている。同書の出版記念会には鳩山氏も出席したという」


藤田議員側がワシントンポスト紙の記事に対して、「事実を歪曲した扇動的報道と断ぜざるを得ない」と非難しているのは当然のことである。


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