石川議員女性秘書への聴取に「正義」はあるのか
フリージャーナリスト、上杉隆氏は週刊朝日の2月5日、2月12日号に、石川議員の女性秘書に対する東京地検特捜部の取り調べについて、記事を寄稿した。
任意の聴取にもかかわらず、子供を保育園に迎えに行くことも許さず10時間にわたり検察庁内に「監禁」、「恫喝」し、証言を強要し続けたと上杉氏は書いた
これに対し、東京地検は谷川恒太次席検事名で、週刊朝日に抗議書 を送りつけてきた。
このため、上杉氏は2月19日の最新号で「東京地検の抗議に抗議する」というタイトルの記事を寄稿した。
同誌を読んでいただくのがベストだが、当ブログでは、上杉氏による3回分の記事について、より多くの人々に知っていただきたいと願い、勝手ながらそのダイジェスト版を以下にまとめた。
1月14日、石川議員が3回目の事情聴取に応じている最中、検事の口から出た言葉。
「あの女の秘書、小さな子どもがいるんだろう。(事情聴取に)呼ばれたら困るんじゃないか?」
上杉氏は「三文任侠ドラマのような脅し文句」と評する。
1月26日。女性秘書に民野健治検事から検察庁へ来てほしいとの電話。「押収品の返却ですか?」と女性秘書が確認すると、「そうです、あとちょっと確認したいこともあるので」と答えた。
検察庁で待ち受けていた民野検事は「被疑者として呼んだ」と言い、携帯の電源を切るよう命じた。上杉氏は「だまし討ちの監禁はこうして始まった」と綴る。
民野検事は小沢と石川が共謀していたことを認めるよう迫り続けた。だが、彼女がそんなことを知る由もない。石川が小沢の秘書だったころ、彼女は別の民主党議員事務所に勤めていたからだ。民野検事はこのように言葉を浴びせかけた。
「何でもいから認めればいいんだよ」「早く帰りたいなら、早く認めて楽になれよ」「なんで自分を守ろうとしないの。石川をかばってどうするの」
3歳と5歳の子どもが待っている保育園に迎えにいく時刻が迫っている。女性秘書は迎えの許可を懇願したが、民野検事は「そんなに人生、甘くないでしょ」と言い放った。
女性秘書はパニック状態になり過呼吸状態に陥りながらも、何度も何度も懇願し続け、夕刻になってようやく夫に子どもの迎えを頼む電話をかけることを許された。女性秘書が解放されたのは、霞ヶ関の検察庁へ向かうため永田町の議員会館を出て約10時間後の午後10時45分だった。
以上が2月5日号、2月12日号に掲載された内容の大筋である。これに対して、検察当局が行動を起こしたのは2月3日のことだった。
週刊朝日編集長、山口一臣氏に、谷川恒太次席検事から電話があった。事実でないことが書かれているので抗議したいという内容だった。「どうすればいいですか」という山口氏の問いに「「こちらに来ていただけますか?」と言う。九州出張中であることを告げると、「では、抗議書を送らせてもらいます」。
概ねそのようなやりとりであったことを「週刊朝日談」のサイト に山口氏が書いている。
そして、送られてきた抗議文には、記事に虚偽の事実が記載されていると指摘し、「真実は」として3項目をあげている。それぞれについて上杉氏の反論とともに以下に概略を記す。
1.当該検事は供述人に対し「何点か確認したいことがある」旨を告げて来庁を依頼した。
(上杉反論)正確には「押収品の返却のほかに、何点か確認したいことがある」と発言している。押収品の返却は結局、ウソだった。
2.夕刻、供述人から子供の迎えもあるので帰りたい旨申出があったので、当該検事が「家族の誰かに代わりに迎えに行ってもらうことはできませんか」と尋ねたところ、供述人が夫に電話をかけ、その結果、子供の迎えの都合が付いたことから事情聴取が続けられたものであり、その際、供述人が子供の迎えだけは行かせてほしい旨発言したり、取り乱したりしたことはない。
(上杉反論)真相は真逆だ。それ(代わりの迎え)は(検事からの要請ではなく)母親からの依頼である。繰り返しの哀願でようやく夫へ電話をかけることができたときも、夫は仕事中で、その時点では迎えの都合はついていない。だから、迎えの都合がついたから事情聴取が続けられたというのも虚偽である。
3.事情聴取中、供述人から、家族や事務所に連絡したい旨の申し出が何度かあったが、当該検事がこれを拒絶したことはなく、供述人は、その都度連絡を取った。当該検事は、本件事情聴取中、終始、冷静かつ丁寧に対応しており、「恫喝」「監禁」「拷問的」などと評されるような言動は一切とっていない。
(上杉反論)聴取の始まった13時45分直後から女性秘書は繰り返し外部への連絡を求めているが、民野検事はことごとく拒否している。初めて連絡が取れたのは夫への電話で、夕刻である。繰り返し要請した弁護人への連絡も、22時半に初めて許されている。
上杉氏は以上のように反論したうえで、「どちらが正しいかはっきりさせようではないか」と東京地検に呼びかける。そして、「録音テープの公開を求める」とし、以下のような逆質問を投げかけた。
1.抗議書に「真実は」とあるが、それを信じるに足る理由は何か。
2.真実とするからには録音テープなどの存在が推定される。録音、または録画はあるか。
3.なぜ確認事項のみで10時間近く拘束する必要があったのか。
4.押収品の返却と言いながら何一つ返却されなかったのはなぜか。
5.抗議書に記載のない内容はすべて真実と認めるのか。
6.外部への連絡を拒絶したことはないというが、なぜ女性秘書の携帯の電源を切るよう命じたのか。
7.なぜ、連絡したい旨を申し出て(13時45分)から、実際に連絡できるまでに何時間も要したのか。
週刊朝日編集部は東京地検に、記事を虚偽とする具体的かつ客観的な根拠を問う文書をファックスで送った。
それに対し、地検は電話で谷川次席検事の返事を読み上げた。「取材には応じかねる」。
上杉氏は自らの思いをこう語る。「それにしても、女性秘書に対する検察の“犯罪行為”を報じる新聞・テレビが皆無なのはなぜか。ワイドショーが飛びつきそうなネタではないか」
特捜検察と司法記者クラブの閉鎖的情報共同体のつくりだす「正義」のみが、みのもんた氏や古舘伊知郎氏ら、モンスター司会者にとっても「正義」なのだろう。
判断をすべて官憲に任せるのが楽なのだとしたら、「官尊民卑」が脳髄にしみついているとしか思えない。「民」が選んだ政治家は悪いことをするが、難関の試験に合格した「官」は正しいという、「民」である自らを貶めるような思い込みに支配されている姿は哀れというほかない。
彼らに哲学を求めるのはしょせん無理としても、報道局員やディレクターが締め切り時間に追われて差し出してくるペーパーを熟読し、その内容の信用性のレベルについて最低限の思考を働かせるくらいの心得がなければ、公共の電波を使って世論に影響を与える資格はない。
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