佐藤優氏が石川議員から聞いた検察の聴取実態 | 永田町異聞

佐藤優氏が石川議員から聞いた検察の聴取実態

国会が始まったというのに、いっこうに政治の中身に筆者の気が向かない。困ったものだ。


いきおい、小沢報道に関する検察とマスメディアの話ばかり取り上げることになる。これも、現下における自然の流れだと思って、おつき合い願いたい。


さて、18日の夜に「『新選組』化する警察&検察&官僚がニッポンを滅ぼす!」というシンポジウムが開かれたのはご承知の方も多いだろう。


筆者は所用があってライブ中継を見逃してしまったが、録画の一部を公開しているサイト で、元外交官の文筆家、佐藤優氏が以下のような証言をしていることを知った。


石川議員は今月13日午後5時から11時まで、東京地検特捜部の聴取を受けた。そのあとで、佐藤氏に会った彼は、担当検事から言われた内容を、こう話したそうだ。


「明日、故意に虚偽記載したということを認めないなら、(逮捕の)確率は5分5分だ。明日会うという約束すれば帰っていい。そうでなければいまからまだ聴取する」


石川議員は「水谷建設の元会長とは面識がなく、5000万円などもらっていない。なぜ信じてもらえないのか。理不尽だ」と話していたという。


このシンポジウムには佐藤のほか、田原総一朗、大谷昭宏、魚住昭といったジャーナリストや、元検事、弁護士らが出席して発言した。聴衆のなかにはマスメディアの記者たちも相当いたようだ。


しかし、筆者の知る限り、こういう検察批判のうねりが起きている事実を知らせたテレビの番組はなかったのではないかと思う。


確認できたのは、一部新聞がシンポの開催事実だけを、ごく簡単に紹介したことくらいだ。


マスメディアは、公権力の発表やリークには飛びつくが、草の根的なこうした会合には冷ややかな視線を浴びせがちだ。


シンポジウムの内容に強い関心と使命感を持つ記者が、しっかり書き込んだ記事を送っても、デスク段階で中身を切り刻まれて小さな記事にされたり、ボツにされるのがオチだろう。


そこには、寄らば大樹の陰という、サラリーマン記者気質が見てとれる。


警察や検察が言っていることなら、権力のお墨付きを得た情報だから安全だが、一個人が捜査に関してしゃべる内容は信頼できないとでも思っているのだろうか。


筆者の感覚では、石川議員が佐藤優に話した内容はきわめて重要だ。13日は逮捕される2日前で、任意の事情聴取中である。


にもかかわらず、前掲のように担当検事が石川に強い圧力をかけ、心身にダメージを与えて、検察の描くストーリーに従わせようとするのは、まともな捜査手法といえるだろうか。


検察の発表やリークを無条件に受け入れる一方、佐藤氏の暴露内容を、マスメディアが黙殺しているのは一般常識的には不可解というほかないが、メディア側には当局重視の理屈がある。


「刑法230条ノ2第2項」の、いわゆる「みなし規定」により、捜査当局から十分な取材をすれば、たとえそれが事実に反していたとしても、名誉毀損の罪からは免れるということになっている。


そこで、発表やリークがなくとも、相手が捜査の幹部であれば、こちらの描いた筋書きを問いかけて「ノー」と言われない限り、それを書いてもいいという、ペテンのようなテクニックがまかり通っているのだ。


だから新聞はまずよほどの自信がない限り「本社の調査によると」とは書かない。検察や警察の調べということにすれば、いざ名誉毀損ということになっても、新聞は責任逃れができるというわけだ。


事件記者の世界では、捜査当局の情報をいち早くつかんで記事にした者が「特ダネ記者」として賞賛される。その記事が社会的にどれほどの価値があるかは関係ない。


他者のライバル記者を出し抜く優越感と、社内で評価されたいという欲望の満足が彼らには大切なのだ。


国民や国家への影響が大きい事案について、ジャーナリズムが公正中立であろうとするならば、検察側の見解と同時に、それに対立する意見も同じくらいのスペースを割いて並列的に紹介するべきであろう。


電話取材による短い識者コメントをもって、第三者的な見解を掲載したから「事足れり」としてしまうのは、大新聞の驕りと独善である。


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