水増し税収見通しに苦悩の末、鳩山予算案決定 | 永田町異聞

水増し税収見通しに苦悩の末、鳩山予算案決定

92兆2992億円にのぼる来年度の政府予算案が昨日、閣議決定された。


沖縄海兵隊のグアム移転経費 の日本負担分472億円など米軍再編関連で1077億円を盛り込んでおり、それを当てにしてヤキモキしていた米政府も「やれやれ」というところだろう。


振り返れば、9月16日に交代した鳩山政権の100日間は、縮小する財源との格闘だった。


麻生政権が8月末にとりまとめた来年度予算の概算要求は92兆1300億円。この時点では、財務省の来年度税収見通しは46兆円とされていた。


鳩山政権は、麻生前首相が総選挙を意識して大盤振る舞いした14兆7000億円の補正予算へ切り込むと同時に、12月末をめざして「前政権概算要求」の中身の組み替えに取りかかった。


着任したばかりの大臣、副大臣、政務官が政治主導で、しかもゼロベースから予算を組み立てることは、現実には無理な話だ。


すでにある概算要求をもとに、時間の制約のなかで予算つけ替えを進めるしかなかった。


ところが、しばらくして心配していたことが起きた。財務省が税収見通しを「40兆円を切りそうだ」と修正しはじめたのである。


「さては、麻生政権が大型予算を組むために、税収見通しにふくらし粉を入れていたのでは」などと識者から疑念が広がった。財務当局がよく使う手であった。


そして最終的に予算案に計上された税収は37兆3960億円。何と当初見込みより、9兆円も減っていた。


46兆円の税収があれば、92兆円のうち半分の財源は税で確保できる。10兆円を特別会計の埋蔵金でまかなえば、国債発行は単純計算で36兆円ですむ。


44兆円も発行して「借金頼み予算」とメディアに揶揄されることもなかっただろう。


野党時代の民主党に、そんな「ふくらし粉入り税収見通し」が見通せるわけはない。46兆円前後の税収をあてにしてマニフェストを考えるのがふつうだ。


結果的に、それは甘かったことになるが、公共事業費を09年度当初より18.3%減らし、社会保障費を9.8%増やしたことは、「コンクリートから人へ」の政策目標実現へ一歩を踏み出したと概ね評価することができる。


ただし、国民に見えにくい霞が関の隠しポケット、特別会計への切り込み不足は否めない。


今回の予算編成では時間的に制約もあり、事業仕分けの俎上にのったのも、財務省が選んだごく一部に過ぎない。


仕分け結果をモデルに、全省庁で自主削減努力するよう行政刷新会議が求めたいわゆる「横串を通す」作業も、さすがにチェック項目の多さから、政務三役による政治主導はかなわなかったのが実情だ。


官僚任せではしょせん、微々たる成果しか出てこない。また、政務三役が新タイプの「族議員」にならないように願いたいものだ。


いずれにせよ、今後の予算編成では、一般会計、特別会計を問わず全ての国家事業を「仕分け」し、ゼロベースで予算を組み直さなければならないだろう。


そこで、当ブログでは、財源捻出のカギを握る特別会計のどんぶり勘定を洗い出し、近いうちに、できるだけ簡潔にまとめてみたいと考えている。


ともあれ、難産の末、なんとか年末までに予算編成を終えた鳩山首相。「ファミリー内献金虚偽記載」事件で神経をすり減らさねばならなかったのは、浮世離れした金銭感覚ゆえの自業自得だが、汚名返上には政治で国に大きな貢献をしてもらうほかない。


死んだ気になってとまでは言わない。辞めた気で開き直れば、少しは怖いものもなくなるだろう。守りから捨て身に転じて、大いにこの国の改革を進めてほしい。


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