クリントン長官の藤崎大使呼び出しは談合報道? | 永田町異聞

クリントン長官の藤崎大使呼び出しは談合報道?

21日、ワシントン発で、新聞、通信などメディア各社が、同じような推測記事を送ってきた。各社の記事をじっくり読むと、ほとんどが作文であることに気づく。


事実としてはこれだけだ。


記録的豪雪で休みとなった米国務省に、藤崎一郎駐米大使が出向き、クリントン長官と15分ほど話して出てきた。


会談にはキャンベル国務次官補(東アジア・太平洋担当)らが同席した。


米側から会談に関する発表はなく、会談後、藤崎大使が語ったことは次のような内容だった。


「今朝、クリントン長官から来て欲しいという連絡があった」(朝日)


「国務長官が大使を呼ぶということは、めったにないことだ。重く受け止める」」(読売)


各紙に目を通した限りでは、藤崎大使はそれ以上のことを語っていない。


事実だけをもとに原稿を送ればベタ記事で終わる。ところが、大使館からの連絡で駆けつけた記者たちは「めったにないこと」という大使の言葉に強く反応し、想像をふくらませた。


藤崎大使は多くを語らないし、国務省からもコメントはない。さあ、どんな記事にするべきか。


記者たちが恐れるのは、他社に大げさな「飛ばし」の記事を送稿されて、こちらが地味なベタ記事のケースだ。それでは、まるで「特オチ」のようになって、本社に格好がつかない。


そこで、海外の日本記者村によくあるのが談合記事だ。ああだ、こうだと話し合って、「そうだ、それに違いない」となれば、まずはひと安心。みんなで書けば怖くない。


人間の脳内回路が、直近の記憶に左右されやすいとすれば、クリントンで連想するのは、今月17日にコペンハーゲンで鳩山首相とクリントン国務長官が会ったことだ。


鳩山首相はそのあと「日本政府の方針を十分に理解していただいた」と発言した。


そこで「クリントン長官が急に日本に伝えなくてはならない用件は直前のコペンハーゲンでの会話以外にない」(日経)という勝手な判断がまず生まれる。


そして、次に「普天間移設問題で首相の発言に理解を示したかのような内容を公表されたという不快感があるようだ」(朝日)となり、さらには「鳩山政権に対する米側の憤りを、いっそう印象づけている」(産経)などと、日米関係がよほど大変なことになっているかのような話にふくらんでゆく。


本来なら、独自の視点から補強取材して、それぞれ違ったニュアンスの記事になるはずだが、筆者がチェックした限り、すべて同じ論調である。


さて、各紙がこのような論調で報じたあとの、23日朝のテレビニュースは米政府のコメントとして、まったく違う事実を伝えた。


国務省のクローリー次官補は次のように語ったという。「大使は(クリントン長官に)呼ばれたのではなく、国務省に立ち寄ったのだ」


そして、「普天間問題の解決には、さらに時間が必要だ」との日本側の立場を伝えるために藤崎大使が国務省を訪れたのだと、クローリー次官補は説明した。


藤崎大使、米政府のどちらかがウソをついていることになる。


それにしても、日本メディアの付和雷同ぶりは昔も今もちっとも変わっていない。


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