小沢批判の読売・ナベツネが宮内庁をこきおろす理由 | 永田町異聞

小沢批判の読売・ナベツネが宮内庁をこきおろす理由

メディアにとって、憎まれ役の小沢一郎がオモテに出てくれるのは好都合だろう。


宇宙人ユッキーの料理法は意外とやっかいだが、シンプルな味つけでよく売れるメニューとなれば、剛腕ネタがいちばん。 あら探しをして辛い薬味をふりかけさえすればいい。


それだけ、小沢というメディア定番の素材そのものが複雑な味を持ち、しびれるような毒気もあって、つい手を出したくなるのかもしれない。


「誰がつくったのか、法律で決まっているわけでもないだろ」。 宮内庁の「1カ月ルール」にかみついた小沢一郎は、あきらかに、宮内庁発表を鵜呑みにしてものごとを判断するメディアに怒っていた。


羽毛田長官の肩を持ち、「天皇の政治利用ではないか」と、どこもが、同じ筋立てで記事を書く。1カ月より前に申し入れがあったオバマ大統領は「政治利用」ではなく、1カ月を過ぎた習近平は「政治利用」となる。


ここに論理的思考は感じられないが、それよりも小沢は、皇室情報を宮内庁に頼らざるをえない記者クラブと、報道を利用 したい宮内庁トップの、共同体的もたれあいを強く感じたのだろう。


政権交代した新内閣が、外国要人のもてなしにからみ、管理下にある宮内庁のその内規に初めて直面したとき、どう対処するべきなのか。


そういう論点に絞れば、それはそれで意味のないことではな く、小沢も国民に渋面を見せる必要はなかったに違いない。


そこで宮内庁がつくった「1カ月ルール」とは何なのか、実際の資料をひもといてみよう。平成7年3月13日、宮内庁から外務省へ送られた通達文がある。これがルールの始まりだと思われる。(一部省略)


「外国要人の謁見の正式願い出は、希望日の真近が多々あ り、好ましくないのみならず、日程調整にも支障をきたしています。ついては平成7年度から、原則として希望日の一か月以前に要請をされるよう願いたく関係方面にもこの趣旨が徹底されるようおとり計らいください」


次に、平成16年2月3日の通達では、外務省から1カ月ルール を無視した申請が多いことを「遺憾」としたうえで、次のように記している。


「やむを得ず一か月ルールに抵触する願い出については、儀典総括官から式武官(外事担当)へ可及的速やかに通報の上、その取り扱いにつき貴官の意見を添えた文書を持って打診願います」


おや?と思われた方が多いのではないか。「やむをえない」場合の打診の仕方にまで言及しているのである。


羽毛田氏は、厚生事務次官退職後、小泉政権に請われて宮内庁入り し、この通達をした当時は宮内庁次長だった。


平成7年通達では「やむをえない場合」の記述がないのに、 羽毛田氏が次長だった平成16年通達では、むしろそうしたケ ースへ配慮をしているようなのが不可解だ。


ただし、古巣の厚労省に“ミスター年金”を送り込んだ民主党政権に対し、羽毛田氏がどのような感情を抱いているかは、 筆者の関知するところではない。


なぜわざわざ記者会見まで開いて政府内部の事情を さらけ出したのかについても、天皇陛下をお守りする職務に忠実なあまり、と素直に信じることにしよう。


しかし、12月15日の当ブログ で書いたように、スケジュール調整のため1カ月が必要だというのは、面倒なことを避けたいお役所の都合という気がしないでもない。


ところで、19日の日テレの番組で、小沢幹事長への意外な援軍が現れた。 「不穏当だ」「不見識だ」と社説で小沢発言を批判した読売新聞の主筆、ナベツネこと渡邉恒雄氏である。


「本音激論!なかそね荘」という番組に出演した渡邉氏はこう言って、宮内庁の姿勢を斬り捨てた。


「国民の知らないところでそんなルールを勝手に決めている」 「官僚的なバカバカしいルール作りであって、弊習です。つまらぬ陋習だ」


ナベツネさんの登場によって、役者が揃った。そこで余談をひ とつ。


小沢一郎、ナベツネ。加えて、習近平副主席を天皇陛下と会わせるよう政府に働きかけたといわれる中曽根康弘元首相。


3人の人間関係について少しふれておくのも、まんざら意味のないことでもないだろう。


時は小沢が海部政権の自民党幹事長時代。渡邉は小沢と中曽根を極秘に料亭に招いた。中曽根がリクルート事件がらみで自民党を離党していた時期のようだ。


インタビュー形式の「渡邉恒雄回顧録」のなかで、渡邉は以下のようにそのときの模様を再現してみせる。


そのときの小沢さんは見事だったね。中曽根さんが少し遅れてくると、座布団をさっと外して正座して、「総理」と言うんだな 。中曽根さんはとっくに総理は辞めているんだけれど。 「総理、わざわざおいでいただきまして」という挨拶をして、そ れできちんと座りなおして、まったく冷静に話すんだ。 中曽根さんが小沢さんに惚れ込んだことは間違いない。いまでも愛着を持っていると思う。小沢という人は一面で、そういう 礼節と魅力を持っているんだよ。


渡邉は同じ本のなかで、小沢とのつき合いが続いていること 、それもこっそり秘密の場所で会っていることを明らかにしている。


そのように考えると、渡邉が今回の問題で小沢や中曽根をかばうような発言をしたことに何ら不思議はないと思える。


読売グループ本社の会長ながら、読売新聞の主筆も兼ねる渡邉は当然、社説の責任者でもある。 その社説が小沢を強く批判していても、責任者は小沢と同じ視点で宮内庁をこきおろしている。


保守層の多い読者の反発を恐れて、本音など社説ではとても書けない のだ。


これがメディアの一面の現実であることを、われわれ読者、視聴者はよく心得ておくべきで、どんなメディアのどんな論調も、まずは疑ってかかるくらいでちょうどいい。


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