今夜発足、鳩山内閣の顔ぶれに思う | 永田町異聞

今夜発足、鳩山内閣の顔ぶれに思う

鳩山新政権が今夜、正式にスタートする。この国の歴史上初めて、国民が1票の力を実感して選んだ政権だ。


そのことを胸に、新しい政治のしくみを育む意思と責任感を、国民として持ち続けたい。この時点でもなお、揚げ足取りをしたがるメディアがあるだろうが、ほうっておけばよい。


週刊朝日9月25日号で、鳩山由紀夫のリーダー像を、鈴木宗男がこう語っている。


「竹下さん、小渕さんを足して二で割ったタイプでしょう。気配りの政治で、もちろん内心には“我”を持っている」


確かに、大きく分ければ、小泉純一郎のような独断専行型ではなく調整型だろう。しかし、「足して二で割る」、自民党伝統の妥協的調整ではなく、戦略的調整だと筆者は考える。


言い方を変えれば、やんわりとして、その実、したたかだということになろうか。


どうやら内閣の陣容が固まったようだ。


ざっと顔ぶれを見て、鳩山式人事の特徴をあげれば、党内の各グループの実力者と、連立相手の社民、国民新の党首を閣内に入れ、与党全体が結束して政策決定に責任を持つかたちにしていることだ。


民主党はとかく“寄り合い所帯”といわれるように、右から左まで多様な政治理念がぶつかりやすい。そこに連立二党が加われば、安保、外交や郵政などでやっかいな対立も生まれるだろう。


だから、党内や与党間で政策決定の議論をするのではなく、党で影響力のある人物を閣僚にして、政策決定を内閣に一元化するというのが鳩山民主党の方針だ。


入閣メンバーをあえてグループ分けすると、鳩山グループ(約50人)からは、官房長官に決まっている平野博文のほか、小沢鋭仁、原口一博の名があがっている。


財務大臣に内定した藤井裕久はもともと小沢側近だったが、鳩山が引退を決意していた藤井を「すべて私に任してください」と引き止めた経緯や、昨今の小沢との関係から、鳩山グループに入れたほうがよさそうだ。


外相の岡田克也は所属グループはないが、反小沢連合の野田グループ(約30人)と凌雲会(約30人)からの支持が強い。その反小沢グループからは前原誠司、仙谷由人の入閣が決まったようだ。


このほか菅グループ(約30人)から菅直人、小沢グループから中井洽。旧社会党グループ(約30人)から赤松広隆、千葉景子。旧民社党グルーから川端達夫、直嶋正行ら。


ミスター年金、長妻昭は一匹狼だが、スター議員だけに入閣は外せない。どううやら順当に、長妻が厚労相になるらしい。


自民党、安倍晋三以来の「お友達内閣」「論功行賞内閣」ではなく、適材の配置と党内の結束を重視した「多士済々内閣」といえそうだ。


菅や岡田はもちろん長妻、前原、仙谷といった政策通の論客は、官僚たちも侮れない。官僚メモなしに答弁してくれれば、国会の風景も変わるだろう。


ところで、鳩山の人事は、扱いにくい面々をあえて内閣に取り込もうとしているフシがある。


閣外に置いておけば反乱を起こしやすい人物も、しかるべき地位に就け、責任を与えれば、好き勝手なふるまいを少しは慎むだろう。


たとえば、亀井静香が閣外にいれば、来年の参院選における郵政ファミリー票獲得を意識して、郵政見直しを激しく民主党に迫り、連立関係がギクシャクすることも考えられる。


それならいっそのこと、郵政担当大臣にして責任を持たせたほうが、無茶なことはできないだろう。


一気に民営化を巻き戻すことまで亀井は考えていないのではないか。彼に関心があるのは郵政ファミリーの票とカネであり、まずは来年の参院選だ。


亀井にしてみれば、防衛大臣より、郵政担当大臣のほうが、日本郵政の西川社長更迭など、戦利品が得られやすいという思惑もあるはずだ。


一方、鳩山民主党としては、総選挙前、国民新党に配慮して西川更迭を明言したが、本音ではあまり積極的なわけではないだろう。


民営化推進派議員も多く、西川問題については亀井に斬らせたほうが得策だという判断もあったかもしれない。


今夜の正式発足を待たずに閣僚の顔ぶれはほぼ判明した。しかし、自民党政権と違うのは、副大臣や政務官、大臣補佐官の人事も重要であるということだ。


派閥のポスト配分を満たすため、大臣とともに省庁に送り込まれる副大臣や政務官は、官僚からは「盲腸」と揶揄されるほど、余計物扱いにされていた面がある。


それぞれがバラバラに活動し、政治主導という目的は完全に形骸化していたからだ。


民主党政権では、大臣、副大臣、政務官、大臣補佐官がチームを組んで省庁に乗り込み、緊密な連携で官僚をコントロールする仕組みだから、これまでのように大臣が官僚に取り込まれて省庁の代弁者になることは考えにくい。


副大臣、政務官クラスには民主党中堅若手のホープが送り込まれることが期待され、国会答弁で時間を割かれる大臣よりむしろ省庁改革の実行部隊として重要な存在になりうるだろう。


さて、いま午後1時前。もうすぐ特別国会が開かれ、鳩山首相が誕生する。テレビの前に移るとしよう。


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