表舞台返り咲きを狙い、田中真紀子が民主党入り | 永田町異聞

表舞台返り咲きを狙い、田中真紀子が民主党入り

われわれは今まさに、政権交代前夜を目撃し、歴史的瞬間に立ち会おうとしているのではないか。


民主党の原子力行政構想を、民主党批判の急先鋒、産経新聞が一面トップで取り上げている。その扱い自体が、産経の社論とは別に、編集サイドの現状認識を示している。


原発など商業部門を経産省が所管し、研究開発を文科省が担当しているタテ割りをあらため、両方を経産省に集約、一元化して原子力政策を推進する。そういう方針を民主党が固めたという趣旨の記事である。


どんなに合理的であれ、野党の政策など、これまでだと歯牙にもかけられなかっただろう。


しかし、新しい国のかたちを求める国民の意思を世論調査でも街頭でも見せつけられ、民主党中心の政権誕生を前提にものを考えざるを得ない状況だといえる。


霞ヶ関の官僚たちが足しげく民主党の有力議員のもとに通って行革の本気度などを瀬踏みし、マスコミも記者の配置など、民主党に少しずつ重心を移しつつある。前掲の産経記事はその表れともいえよう。


昨日、夫婦そろって民主党入りを表明した田中真紀子の行動もまた、政権交代を意識したものだろう。


「無所属で実質7年間過ごしてまいりました(中略)私が一政治家として思っていることを実現するためには組織にいなければならないということを強く感じました」


この発言からも、民主党内で、政治の表舞台への返り咲きを狙っているのは明らかだ。


誰かが「政治漫談」と評した、彼女の歯に衣着せぬ物言いは、組織の論理に縛られる男の政治家にはとうてい真似できず、国民的人気は高い。逆に、人をばっさり斬って捨てる分、自らに向けられる批判も多い。


しかし、わがままで秘書泣かせといわれる女性も、うまくコントロールできる人物がいれば生かされる。


政治評論家の三宅久之のように「未熟な女だ」と彼女を酷評したい気持ちはよくわかるが、少しだけ彼女を弁護しておこう。


外務省を「伏魔殿」と称して改革しようとしたら、外務官僚たちの策謀の罠にはまり、鈴木宗男と相討ちさせられたのは周知の通りだ。彼女の人気のおかげで総理になったはずの小泉純一郎に、鈴木も真紀子も地位を追われる羽目になった。


もともと父、角栄を裏切った竹下登の旧経世会への怨念から、「自民党をぶっ壊す」と啖呵を切る小泉を応援したのだが、結局、外相を更迭されたあと、秘書給与疑惑で彼女自身が自民党を追い出されてしまった。


自民党には幾重もの恨みつらみがあるだろう。だから、同じ旧経世会であっても、小渕恵三を派閥の会長にした竹下登と袂を分かって自民党を離れた小沢一郎とは、どこか気脈が通じるのかもしれない。


1985年2月、田中派の竹下が創政会(経世会の前身)という事実上の派内派閥を結成したとき、怒り狂った角栄は毎日、酒をあおって20日後に脳梗塞で倒れた。


それに義憤を感じた右翼団体「日本皇民党」がほめ殺しの街宣活動で竹下を執拗に攻撃し、竹下は円形脱毛症になるほど悩んだ。


そこで、裏社会とつながりの深い東京佐川急便の渡辺広康が仲介に乗り出し、竹下が田中邸に謝罪に行くという条件で決着したが、真紀子はおそるおそるやって来た竹下を門前払いしている。


実は、このとき、小沢も竹下に同行していたのだが、真紀子に、竹下側近とみなされ、拒絶された。


しかし、その後自民党を離党して波乱の政治人生を送り、民主党代表にたどり着いた小沢に、無所属になった真紀子が接近し、「民主党・無所属クラブ」という衆院院内会派に参加していた。


田中真紀子の民主党入りは、角栄を「反面教師」としながらも、いまだに「田中のおやじ」と慕う小沢が橋渡しをしたのは間違いない。人をひきつける父親ゆずりの真紀子の弁舌は、選挙戦に大きな効果があると見ているだろう。


夫の田中直紀については、民主党の参院議員を一人でも増やしたいという狙いがある。


民主党は社民党や国民新党などと連携することでなんとか参院の主導権を握っている。


このために、どうしても両党との連立政権を前提に総選挙を戦わざるを得ず、そこが政策決定面での不安材料となっている。


総選挙に圧勝し、民主党が単独で過半数の241をこえる議席を得ようものなら、小沢は青木幹雄ががっちりまとめている参院自民党に手を突っ込み、引き抜き工作をしていくのではないか。


むろん、両院で単独過半数の議席を確保し、政権運営を安定軌道に乗せたいからだ。


政権党であるからこそ、参院自民党はまとまっていたが、野に下れば話は別だ。来年夏には参院選が迫っている。


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